化粧品業界の原価率・広告宣伝費・利益率!高い?平均は?

化粧品業界の原価率・広告宣伝費・利益率!高い?平均は?

化粧品業界はイメージやブランドが重要で、きらびやかな広告を見たことがある人も多いでしょう。日本の有名な女優やハリウッド女優が広告のモデルになっていることも珍しくありません。

そんな化粧品業界の原価率や広告宣伝費率、利益率などについて説明します。化粧品ビジネスを考えている人は、どのようなコスト構造にすべきか考える際の参考にしてください。

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目次

化粧品業界の原価率・広告宣伝費・利益率

化粧品業界のコスト構造や利益率などについて、上場している企業の決算資料をもとに数値をまとめて紹介します。

今回紹介する会社は、資生堂、コーセー、ポーラオルビスホールディングス、マンダム、新日本製薬、プレミアアンチエイジング、I-neです。

※決算資料の数値は、事業年度にしています。これは上期に広告費を多めにする会社や、事業年度の最後に利益金額を見ながら、広告費を調整する会社などがあるからです。

※大手化粧品会社には花王がありますが、消費財などの割合が大きく、セグメント別の詳細数値が不明のため、入れていません。

※広告宣伝費を公開していない企業はハイフンにしています。

(単位:億円)   ※横スクロールできます

会社名資生堂コーセーポーラマンダム新日本製薬プレミア
アンチ
エイジング
I-ne
事業年度2022/122022/122022/122022/32022/92022/72022/12
売上10,6742,8911,663574361339353
売上原価3,2328363103406773170
広告宣伝費2581103297129
営業利益466221126-23352432
原価率30.3%28.9%18.6%59.2%18.6%21.5%48.1%
広告宣伝費率8.9%6.6%5.6%26.9%38.1%
営業利益率4.4%7.6%7.6%–4.0%9.7%7.1%9.2%

企業によって原価率や広告宣伝費率は異なりますが、以下のことには注意が必要です。

化粧品会社といっても、商品は化粧水・乳液・ファンデーション・シャンプー・ワックス・美容パック・美容家電・美容周辺サービスなど様々なものがあります。

店舗販売を行う会社は通販を中心に化粧品を売る会社と違って、広告宣伝費率が低い傾向にありますが、広告宣伝費の代わりに、店舗家賃・販売員の人件費等がかかっています。

資生堂

日本の化粧品会社と言えば、資生堂が最初に思いつく人も多いでしょう。グローバル展開しており、会社規模も他企業とは桁が違います。

展開しているブランドも多く、マキアージュ、エリクシール、HAKU、アネッサなど合計90以上。原価率や販管費の内訳は決算説明会資料で説明されています。

決算説明会資料

コーセー

コーセーもグローバル展開に力を入れており、約半分が海外売上です。原価率は資生堂より高くなっています。

「究極の高ロイヤルティ企業」をビジョンに掲げるとともに、化粧品以外の市場にも参入しています。

決算説明会資料

ポーラオルビスホールディングス

ポーラ・オルビスホールディングスも、海外展開に力を入れており、オーストラリアや中国に展開しています。

ポーラは元々訪問販売から始まった会社で、現在でも「ビューティーディレクター」と呼ばれる販売員が全国に数万人いるのが特徴です。

決算説明会資料

マンダム

マンダムは男性用化粧品に強い会社で、有名なブランドとしてはギャッツビーがあります。事業割合としては、女性用より男性用が上回ります。また、原価率が高いのも特徴です。

決算説明会資料

新日本製薬

新日本製薬は、福岡市に本社を置く会社で、化粧品の他に健康食品や医薬品も取り扱っています。現在は、化粧品の売上割合が9割以上で、チャネルはほとんどが通販です。

決算説明会資料

プレミアアンチエイジング

プレミアアンチエイジングは、2009年に設立され、2020年に上場した会社です。有名ブランドとしては、DUO(デュオ)やCANADEL(カナデル)があります。

販売の主力チャネルは通信販売。生産を外部に委託するファブレスメーカーです。

決算説明会資料

I-ne

I-ne(アイエヌイー)は、2007年に設立され、2020年に上場、大阪市に本社を置く会社です。有名ブランドには、BOTANISTやSALONIAがあります。I-neも生産を外部に委託するファブレスメーカーです。

また、ニュースサイト・口コミサイト・SNSなどの媒体から収集したビッグデータを解析し、消費者の潜在的ニーズを読み取るAIシステムを自社で開発しています。

決算説明会資料

化粧品の原価率は高い?本当は原価が安い?

化粧品の原価率は上場企業の数字を見てもわかるように、企業によって異なりますが、他の製造業や食品メーカーなどよりは原価率は低い傾向にあります。

また、化粧品の原価が安いかどうかについてですが、化粧品といっても研究開発した新しい技術を使って製造されたものもあり、原価は商品によって異なるでしょう。

化粧品業界の営業利益率の平均は?

今回取り上げた7社の営業利益率の平均は、5.94%です。

同じ化粧品会社といっても、店舗販売に取り組む企業もあれば、通販をメインにする企業もあり、コスト構造は異なります。

またコロナによる影響もありました。

化粧品業界は新商品が次々と出てくるため、調査・開発・マーケティングなどにもコストがかかります。営業利益率がそれほど高い業界とは言えないでしょう。

化粧品業界と他業界の比較

化粧品業界の特徴を理解するためにも、他業界の原価率や営業利益率が分かるように、いくつかの大手企業を紹介します。

(単位:億円)

会社名トヨタユニクロ味の素
事業年度2022/32022/82022/3
売上313,79523,01111,494
売上原価242,50810,9437,235
広告宣伝費
営業利益29,9562,9731,209
原価率77.3%47.6%62.9%
広告宣伝費率
営業利益率9.5%12.9%10.5%

決算資料からは広告宣伝費の金額が分かりませんでしたが、化粧品業界とはコスト構造が異なることが分かります。

車、衣料品、食料品といった業界と比べると、化粧品業界は原価率が低く、販管費率が高い業種と言えます。

化粧品業界の広告宣伝費の割合が高い理由

化粧品業界は、広告宣伝費の割合が他の業界に比べて高いと言われます。その理由について説明します。

化粧品業界ではブランドイメージが非常に重要です。CMで起用されている美しい女優と同じ商品を使っているという連帯感や、理想的な美しさへの憧れ等は購買意欲を掻き立てます。

さらに、ブランドとして定着すれば商品に対する信用につながりますし、ブランドイメージが良ければ、他の化粧品ジャンルや美容ジャンルの商品も、ブランド名を付けることで、高い値段で売ることができます。このため、各社ともブランドの認知度を上げ、イメージを良くするために多額の広告宣伝費を使用します。

人気女優やインフルエンサーに高額の報酬を支払い、CMやSNSで宣伝します。そして、話題を作り、人の注目を集め、商品を売るとともに、ブランド自体の価値も上げます。

このような理由から、化粧品業界の売上に対する広告宣伝費の割合は高くなります。

化粧品業界はボロ儲け?

多くの企業があるため、化粧品会社の中にはボロ儲けしている企業もあるでしょう。しかし、流行の移り変わりが早く、マーケティングコストも高いため、簡単にボロ儲けできるとは言えません。

上場している企業の決算資料を見てもらえればわかるように、新商品の開発や広告などを常に行い、次の投資も行っているため、ボロ儲けするのは難易度が高いでしょう。

まとめ

化粧品業界といっても、上場している企業のコスト構造を見ると、かなり異なることがわかります。自社の状況に合わせて、コスト構造を参考にしてみましょう。

また、化粧品業界は、原価率が低く、広告宣伝費が高いと言われています。これは、単純に商品を売るための宣伝のみならず、ブランドの認知度やイメージを上げるためにお金がかかるからです。長期的に売上を伸ばすためには、戦略を立て、ブランドを育てることが大切です。

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