機能性表示食品の広告ガイドラインから考える広告基準5つの注意点

PDF無料プレゼント「機能性表示制度では認められない表現例35」

機能性表示食品とは、事業者が、特定の保健の目的が期待できる旨の表示を自己の責任において行うものとして、消費者庁長官に届け出られたものを言います。

この制度によって、消費者は自主的で合理的な食品選びをすることが可能になることが期待されますが、そのためには、適正な表示による消費者への情報提供がきちんとなされることがとても重要になるのです。

目次

機能性表示食品の必要な表示事項

驚く女性
消費者へ適切な情報提供をするために、事業者が機能性表示食品を販売するときには、まず消費者が手にする商品の容器包装に以下を表示する必要があります。

①機能性表示食品である旨
②科学的根拠を有する機能性関与成分及び当該成分又は当該成分を含有する食品が有する機能性
③養成分の量及び熱量
④一日当たりの摂取目安量当たりの機能性関与成分の含有量
⑤一日当たりの摂取目安量
⑥届出番号
⑦食品関連事業者の連絡先
⑧摂取の方法
⑨摂取する上での注意事項
⑩調理又は保存の方法に関し特に注意を必要とするものにあっては当該注意事項
⑪その他

また、これらの商品の広告をする際にも同様の注意が必要なことがあります。
以下で詳しく見ていきましょう。

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①機能性を容器包装に表示する際の注意点

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その商品が有する機能については、冒頭に「届出表示」と書いた上で、届け出た内容を表示しなくてはなりません。そして、機能性表示をするには科学的根拠が必要ですが、その実験などが、機能性に関係する成分について行われたものなのか、その成分を含有する食品であるその製品について行われたものなのかがはっきりと分かる表現にしなくてはなりません。

成分に基づく科学的根拠である場合には、その商品自体が表示された機能を有することについては科学的根拠があるわけではないということをはっきり表示しなくてはならないのです。また臨床試験ではなく、研究レビューによる根拠である場合には、「報告されている」ということが明確になる表現をします。

以上をまとめた具体的な表現例は機能性表示食品の届出等に関するガイドラインによると以下のようになります。

ア 最終製品を用いた臨床試験で科学的根拠を説明した場合

(例)「本品にはA(機能性関与成分)が含まれるので、Bの機能があります(機能性)。」
※ 複数の機能性関与成分を含み、表現が複雑になる場合は、「本品にはBの機能があります。」と表示し、機能性関与成分名をそのすぐ近くに表示してもよい。その場合は、他の成分と混同しないような表示とする。

イ 最終製品に関する研究レビューで科学的根拠を説明した場合

(例)「本品にはA(機能性関与成分)が含まれ、Bの機能がある(機能性)ことが報告されています。」
※ 複数の機能性関与成分を含み、表現が複雑になる場合は、「本品にはBの機能があることが報告されています。」と表示し、機能性関与成分名をそのすぐ近くに表示してもよい。その場合は、他の成分と混同しないような表示とする。

ウ 機能性関与成分に関する研究レビューで科学的根拠を説明した場合

(例)「本品にはA(機能性関与成分)が含まれます。AにはBの機能がある(機能性)ことが報告されています。」

②一日当たりの摂取目安量当たりの機能性関与成分の含有量を表示するときの注意点


前述の機能性表示食品の届出等に関するガイドラインによると、一日当たりの摂取目安量当たりの機能性に関する成分についても厳密な表示方法が定められています。

すなわち、「機能性関与成分」や「機能性関与成分(一日当たりの摂取目安量当たり)」等、機能性関与成分であることを示した上で、消費期限又は賞味期限を通じて含有する値を表示することになります。含有する量は、一定の値でもいいし、下限値及び上限値でも構いません。

しかし、もちろん一定の量を表示すれば、分析値はこの値を下回ってはなりませんし、当該下限値及び上限値を表示すれば、分析値はこの範囲内になくてはなりません。

機能性表示食品が、生鮮食品であったり、農林水産物のみが原材料である加工食品(乾しいたけ、煮干し、押麦、ストレートジュース、緑茶など)である場合は、機能性関与成分の含有量にばらつきが生じることがあります。

このような商品でも、まずはばらつきを生じない企業努力をするべきですが、どうしても表示値を下回る可能性がある場合は、「○○(機能性関与成分)の含有量が一定の範囲内に収まるよう、栽培・出荷等の管理を実施しています。しかし、△△は生鮮食品ですので、◇◇(ばらつきの要因)などによって、○○(機能性関与成分)の含有量が表示されている量を下回る場合があります。」等の注意書きを付することが必要となります。

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③景品表示法及び健康増進法上の注意点~省略・簡略化に際しての注意点~


健康増進法31条1項は、「何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項(次条第三項において「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。」と規定します。

また、景品表示法4条1号は、商品の品質、規格その他の内容について、実際のものや競争事業者のよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示を禁止します。

平成27年6月19日に消費者庁によって公表された「機能性表示食品の広告等に関する主な留意点」のなかでは、届出表示の省略・簡略化について、特に例に挙げて注意喚起しています。つまり、商品自体に機能があるとの根拠を有していないにもかかわらず、届出表示の一部を省略することにより、あたかも、商品自体に機能があるかのように示す広告は、景品表示法及び健康増進法上問題となるおそれがあると注意喚起をしています。

例として、届出表示が「本品には○○(機能性関与成分の名称)が含まれます。○○には、血中コレステロールを低下させる機能があることが報告されています。」であるにもかかわらず、「コレステロールを下げる。」と広告することを、消費者は商品自体に「コレステロールを下げる」機能があると期待すると考えるから、このような広告は景品表示法及び健康増進法上問題となるおそれがあるとしています。

消費者庁は、健康増進法に違反して表示した事業者には、当該表示を改善するよう指導が行います。また、国民の健康の保持増進及び国民に対する正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、その者に対し、当該表示に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をし、勧告を行ったことを公表することになります。

また、消費者庁は、景品表示法違反被疑事件に対しては、調査を行います。違反行為があれば、当該事業者に対し、一般消費者に与えた誤認を排除すること、再発防止のための必要事項、その違反行為を取りやめることなどを命じることができ、措置命令を行った際はその旨を公表することになります。

④景品表示法及び健康増進法上の注意点~届け出た成分以外の成分についての注意点~

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「機能性表示食品の広告等に関する主な留意点」のなかでは届け出た機能性関与成分以外の成分を強調することについても、事業者に注意を呼びかけています。届け出をした成分以外の成分を、あたかも、当該成分が機能性関与成分であるかのように示す広告は、景品表示法及び健康増進法上問題となるおそれがあるのです。

同留意点に挙げられている例としては、機能性関与成分が「難消化性デキストリン」のみであるにもかかわらず、「難消化性デキストリン及び大豆イソフラボンが含まれるので内臓脂肪を減らすのを助ける機能があります。」 と広告した場合があります。

このような広告をすれば、消費者は「大豆イソフラボン」も機能性関与成分であるとの印象を抱き、これを根拠に商品を選択することになりその判断を誤ってしまうおそれがあるのです。このような広告は③同様、景品表示法および健康増進法上問題があると考えられるでしょう。

なお、機能性表示の内容に関する科学的根拠情報等については、消費者庁のウェブサイト等で、販売前から詳細に情報開示する必要があります。

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⑤国や公的機関の関与の表示についての注意点

見張るビジネスマン
機能性表示食品は冒頭でも説明したように、消費者庁の個別の審査を経て機能を表示するものではなく、あくまで事業者が自己の責任で機能性を表示するものです。

確かに機能性についての臨床試験の結果などを届出の際に添付したりしますが、届け出という簡易な手続きで商品に機能が表示できる代わりに、あくまで自己責任というところにトクホなどと異なる特徴があるのがこの制度なのです。

そこで、消費者庁長官の評価、許可等を受けたものと誤認させるような用語たとえば、「消費者庁承認」、「消費者庁長官許可」、「○○省承認」、「○○省推薦」、「○○政府機関も認めた」、「世界保健機関(WHO)許可」等、国や公的な機関の承認を受けた、と誤認させる表現を用いることは禁じられています。

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まとめ

機能性表示食品の広告はどのようにされるべきなのか、どのような規制を課すべきなのかは、事業者の関心ごとでありましたが、消費者庁が一定の方針を示しました。消費者の選択の幅を広げるためにスタートした制度であるという原点にかんがみると、消費者に誤解を与えない広告であるべきことは当然といえるかもしれません。

機能性表示食品の売り上げは好調です。健康に関心のある現代人にとって、商品に健康に資するというメリットは、商品購入のための大きなインセンティブになっているようです。

事業者にとって商品にどのようなパッケージにするかは、商品開発の中でも大きなポイントとなるでしょうが、機能性表示食品については、その商品の容器包装には表示すべきことがらが多いので、より一層法律遵守を意識した上で工夫が必要となるでしょう。

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