美顔器の広告規制と薬機法!可能表現・リフトアップは?

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、おうち時間が増える中で、自宅で手軽にセルフケアできる美容グッズとして、「美顔器」が注目を集めています。安いものから高価なものまで色んな商品がありますが、美顔器の広告では、「薬機法」を意識する必要があります。

この記事では、薬機法に抵触しない美顔器の広告表現やNGな表現などについて説明します。

目次

美顔器とは?

美顔器とは、肌はもちろん、顔の筋肉にもアプローチし、肌がより美しくなるよう働きかける美容機器です。

手軽にホームエステが行うことができ、リフトケアやマッサージ効果、肌ケアなどの効果があるとして、男女問わず人気の美容グッズです。

ただし、美顔器の効果を謳う際は、薬機法や景品表示法の規制に注意が必要です。

美顔器は医療機器ではない?

美顔器は医療機器ではなく、「雑貨(雑品)」に当たります。薬機法上、雑貨に関しては表現を規制するルールはありません。

ただし、美顔器については、表現できる範囲は、概ね化粧品の効能効果の範囲であれば、表現してよいとされています。(参照:家庭向け美容・健康関連機器適正広告表示ガイド

とはいえ、医療機器のように、①疾病の診断、治療、予防を目的とする効能効果や、②身体の構造、機能に影響を及ぼすような効能効果を謳うことは禁止されています。

例えば、美顔器の効果として、「シミ・ソバカスを除去する」、「顔のたるみが解消する」、「シワが無くなる」、「使えば使うほど小顔に」などと謳うことは薬機法に抵触します。

薬機法で美顔器が使える広告表現

美顔器は、単に「美容目的」を標ぼうするものであれば謳うことができます。

美容目的とは、薬機法上、化粧品の効果として認められる56個の表現の範囲内にとどめることです。

以下が、美顔器の効果として使うことができる表現です。

「(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。」
「(洗浄により)ニキビ、あせもを防ぐ。」
「肌を整える。」
「肌のキメを整える。」
「皮膚をすこやかに保つ。」
「肌荒れを防ぐ。」
「肌をひきしめる。」
「皮膚にうるおいを与える。」
「皮膚に水分、油分を補い保つ。」
「皮膚の柔軟性を保つ。」
「皮膚を保護する。」
「皮膚の乾燥を防ぐ。」
「肌をやわらげる。」
「肌にはりを与える。」
「肌にツヤを与える。」
「肌を滑らかにする。」

ただし、事実に基づかない内容や根拠のない効果を謳うことは当然禁止されています。また、治療効果や、身体の構造・機能への効果などを謳う表現になっていないか注意する必要があります。

美顔器のリフトアップ効果はOK?

美顔器の効果を「リフトアップ」と表現することはできません。なぜなら、「リフトアップ」は、顔の形状変化を想起させる表現だからです。

リフトアップは承認された医療機器でしか謳えない表現で、「身体の構造、機能に影響を及ぼす効果があると一般消費者に認識させる表現である」と判断される可能性があるのです。

リフトアップの言い換え表現としては、「お肌のハリアップ」と化粧品の効果として謳える表現や、「表情筋をトレーニングする」と事実を述べた表現や、「お肌を上向きの印象へ」など印象の表現、に留める必要があります。

一般的に、「美顔器=リフトアップ」というイメージが強いですが、薬機法上は使用できないので、注意が必要です。

美顔器のビフォアアフターは?

薬機法上認められた表現の範囲内であれば、美顔器のビフォアアフターの写真や画像を表示することができます。

ただし、写真や画像を載せる場合、使用前後に関わらず、化粧品として認められない効果を想起させる表現や、効果の発現時間や効果の持続時間等を保証する表現や、安全性を保証する表現は禁止されています。

例えば、美顔器を使用前後で明らかに顔が小さくなったようなビフォアアフターの写真を表示することは、美容目的を逸脱した表現と判断される可能性があります。

美顔器のNG表現事例10個

次のような表現はNGです。実際に取り締まられた事例で使われた表現もあります。

・ほうれい線がなくなります。
・シミを薄くすることができます。
・医療機器と同様の機能があるので安全です。
・微細な振動が角質層を通って真皮層も活性化。新陳代謝を促します。
・超音波機能により、顔の脂肪を分解。顔やせ効果があります。
・皮膚の下まで浸透し、老廃物を排出させます。
・肌が白くなります。
・アクネ菌や皮脂腺の殺菌効果でニキビケアに効果的です。
・電流を利用して美容成分をイオン化し、肌の深部へ送り込みます。そして美肌成分が電気の力で肌へ浸透します。
・マイナスイオンの力で肌の汚れを吸着します。

美顔器の広告事例

美顔器の有名メーカーのひとつにパナソニックがあります。パナソニックでは以下のような表現が使われています。注記が多用され、表現に非常に注意しているのがよく分かります。

引用元

美顔器の景品表示法違反事例

平成24年(2012年)8月1日に、株式会社ドクターシーラボが販売する美顔器について措置命令がありました。

株式会社ドクターシーラボは、「DRソニック L・I」と称する美容機器(以下「本件商品」という。)を供給するに当たり、例えば、平成23年1
2月5日発行の「Ci:Lover 2011年年末増刊号」と称する会報誌において、

「微細な振動が角質層を通って真皮層も活性化。新陳代謝が促され、肌の弾力を支えるエラスチンやコラーゲンの産生をサポートします。」等と記載し、本件商品を使用することにより、細胞の活性化、脂肪分解効果、殺菌効果、肌の汚れの除去効果又は肌への美容成分の浸透効果が得られると認識される表示をしていた。

消費者庁が同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出されたが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められないものであった。

参照:消費者庁資料

まとめ

美顔器は、小顔効果やリフトアップ効果があるというイメージがあり、つい医療機器的な表現をしたくなる商品かもしれません。色んな美容グッズが増える中で、広告表現の規制も厳しくなっているので、正しい知識を知っておくことが重要です。

広告を出す際、少しでも表現に不安があれば詳しい専門家に相談しましょう。美顔器を宣伝する際には、この記事の内容をぜひ役立ててください。

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