最近、スーパーマーケットやコンビニで、機能性表示食品を多く見かけるようになってきたと感じられる人も多いでしょう。店舗だけではなく、インターネットの食品販売サイトでも機能性表示食品というカテゴリーが設けられていることもあります。
平成27年4月から新たに始まった制度である機能性表示食品の売れ行きは好調です。
背景には同じような商品を買うならより健康にいいものをといった消費者心理もあるものと考えられます。みなさんもそのような心理から思わず機能性表示食品に手を伸ばしたことはないでしょうか。
全体的に売れ行きが好調な機能性表示食品ですが、どのような商品が売れているのでしょうか。
特に人気のある商品を以下に紹介します。
機能性表示食品とは
そもそも機能性表示食品とは何でしょうか?機能性表示食品とは、「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」など、健康の維持及び増進に役立つという食品の機能性が表示されている食品のことをといいます。
かつては、機能性を表示することができる食品は、これまで国が個別に許可した特定保健用食品 (トクホ)と国の規格基準に適合した栄養機能食品に限られていました。 しかし、平成 27 年 4 月に、新しく「機能性表示食品」 制度がはじまりました。
この制度のもと、事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性の表示がされた商品が販売されるようになりました。機能性表示食品は事業者が、その機能の科学的根拠を示す論文など添付して消費者庁に届け出ることにより、国の審査なしに、機能性を表示できます。これがまさに「事業者の責任において」ということですが、トクホよりも手軽な点が事業者にとっても魅力なのです。
1.『カゴメトマトジュース』 カゴメ株式会社会社
引用先:カゴメトマトジュース商品ページ
カゴメ株式会社が販売するカゴメトマトジュースは、1933年の発売以来、健康飲料として多くの消費者に親しまれてきた商品で、トマトジュースといえばカゴメのトマトジュースを思い浮かべる方も多いかもしれません。
トマトの栄養素であるリコピンについて長年研究を続けてきた同社は、リコピンには、血中HDL(善玉)コレステロールを増やす働きがあるとして、カゴメトマトジュースシリーズのうち「カゴメトマトジュース 高リコピントマト使用」 (265g PET)、「カゴメトマトジュース スマートPET」 (720ml PET)、「カゴメトマトジュース 食塩無添加 スマートPET」 (720ml PET)、「カゴメトマトジュース 食塩無添加」 (200ml 紙)の4品について、機能性表示食品として届出をしました。
そして、2016年2月2日に“血中コレステロールが気になる方に”という機能性表示をした商品を、発売しました。
機能性表示食品となったカゴメトマトジュースは出荷前年比328%を達成するなど、当初から売上が好調で、カゴメ株式会社が売れ行き好調の報告をホームページに掲載したり、メディアにも取り上げられるなど注目を浴びています。
2.『えんきん』 ファンケルヘルスサイエンス
引用先:えんきん商品ページ
「えんきん」とはファンケルヘルスサイエンスが2015年6月19日から発売するソフトカプセル入りのサプリメントのことです。
「えんきん」にはルテイン・アスタキサンチン・シアニジン-3-グルコシド・DHAといった成分が含まれるので、『手元のピント調節機能』を助けると共に、目の使用による肩・首筋への負担を和らげると表示されています。目のサプリメントとしては日本初の機能性表示食品です。
同商品は年間売上高30億円を見込む人気商品で売れ行きが好調です。ファンケルのホームページでは、同商品が機能性表示食品であることが大きくアピールされています。
機能性表示食品であることは顧客に対する販売促進の効果があるようで、このような分かりやすく消費者に伝える表示が好調な売れ行きの一因と考えられているようです。
3.『ヒアロモイスチャー240』 キユーピー
キーピーは2015年6月12日から、自社通販で、ヒアルロン酸ナトリウム(ヒアルロン酸Na)を機能性成分として配合した「ヒアロモイスチャー240」を販売しています。同商品は、高純度に精製されたヒアルロン酸Naを1日当たりの摂取量に240㎎配合しており、「ヒアルロン酸Naは肌の水分保持に役立ち、乾燥を緩和する機能があることが報告されています。」と表示されています。
キユーピーといえばマヨネーズのイメージがある人も多いでしょうが、キユーピーは、マヨネーズの主原料である食酢の研究で培った微生物発酵技術と、ヒアルロン酸を用途に応じて高度に精製する技術を持ち、ヒアルロン酸を各種業界のメーカーに販売しているという実績があるのです。
同商品は、機能性表示である旨を記載した広告を出し、発売日にはWEB経由の注文が10倍になりました。従来品を販売していた2014年と比較し、定期顧客数は約1.5倍となったといいます。この商品の売上目標としては3億円が設定されており、今後も会社が販売に力を注ぐ期待の商品といえます。
4.『キリンメッツ』 キリンビバレッジ株式会社
引用先:キリンメッツ商品ページ
キリンビバレッジ株式会社の、炭酸飲料の主力ブランドといえば「キリン メッツ」シリーズがあります。
このシリーズから2015年8月4日に発売されたのが、難消化性デキストリンを配合した機能性表示食品である「キリン メッツ プラス スパークリングウォーター」「キリン メッツ プラス レモンスカッシュ」です。
「難消化性デキストリンは、食事から摂取した脂肪の吸収を抑えて排出を増加させるため、食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにすることが報告されています。本品は、脂肪の多い食事を摂りがちな方、食後の血中中性脂肪が気になる方に適した飲料です。」と表示され、ダイエットを気にする消費者に好評な商品となりました。
これらの販売数量は、発売から約1カ月で年間販売目標50万ケースを突破し、これを受けて年間販売予定数は当初の2倍となる100万ケースに上方修正されました。
5.『パーフェクトフリー』 キリン
引用先:パーフェクトフリー
2015年の夏の日経メディアマーケティングの機能性表示食品販売ランキングでトップに輝いていたのがキリンの販売するパーフェクトフリーです。機能性が表示されたノンアルコールビールは、機能性表示食品の制度が始まった2015年の春以降相次いで発売されました。
この商品の機能として届出された表示は、「本品には難消化性デキストリン(食物繊維)が含まれます。難消化性デキストリンは、食事から摂取した脂肪の吸収を抑えて排出を増加させるとともに、糖の吸収をおだやかにするため、食後の血中中性脂肪や血糖値の上昇をおだやかにすることが報告されています。本品は、脂肪の多い食事を摂りがちな方や食後の血糖値が気になる方に適しています。」です。
ノンアルコールビールでありながら、このような効果があるという点が消費者の心をつかみ、同商品は、発売初日に年間出荷量目標の1割を達成し、現在もなお、人気のある商品です。
まとめ
みなさんは、今回ご紹介した商品をご存知でしたか。これまであったおなじみの商品も、機能性表示食品として新たに売り出すことで飛躍的に売上が伸びる例もありました。これは消費者が食品を選ぶ際に、何か付加価値を求めているということを示すものとも考えられます。
今後、商品を手に取る際に機能性表示食品かどうか、またその機能はどのようなものなのかをじっくり見てみましょう。
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