漢方の資格10種類と違いは?仕事内容と取得方法・費用まで徹底解説

「漢方」「薬膳」という言葉を知っていますか?
「漢方」は植物や動物、鉱物などの「生薬」を使用して体質の改善して症状を緩和するもの、「薬膳」は、体質やその季節に合った食材を適した調理法で調理することで、健康の増進や体の不調の改善を行う食事法をいいます。

近年、「漢方」を取り入れたエステサロンや薬膳レストラン、カフェなどが増えてきていますが、漢方を取り扱うために資格はいるのでしょうか?

漢方にはどんな資格があるのか?またその取得方法や費用などについて詳しくご紹介します。

目次

漢方とは?

漢方は、5~6世紀頃に中国から伝わった伝統医学(中医学)が、日本の気候や日本人の体質に合わせて発展したもので、江戸時代に漢の時代に伝わった医学ということで「漢方」といわれるようになりました。

漢方は、西洋医学のように診察や検査結果から病名を明確にして治療を行うのではなく、漢方の考え方に従い、体質を「実証」と「虚証」、体の状態を「気・血・水」の概念によって診断し、改善を試みます。

「気・血・水」とはそれぞれ、「気」は体内のエネルギー(気力)、「血」は血液、「水」は血液以外の液体(リンパ液など)をいい、これらが不足しているのか、過剰なのか、流れが停滞しているのかなどを診断し、不足している場合はそれを補い、過剰な場合は放出し、停滞している場合は流れをよくするようにして改善を促します。

そのため、病名のわからない症状の改善は漢方の得意とするものです。

また、西洋薬は、細菌感染であれば細菌を殺菌する薬、がんであればがん細胞を攻撃する薬というように単一成分で原因を取り除くように作用しますが、漢方の治療に用いられる漢方薬は基本的に2種類以上の生薬が配合され、症状を引き起こしている体質自体の改善を促します。

漢方の資格10種類と違い

漢方による治療は病気の症状を起こす体質自体を改善するため、病気になりにくい体つくりに役立ちます。

漢方の治療に用いられる生薬の材料は植物や動物、鉱物であり、毎日食している食材を状態や季節に合わせて調理する食事法「薬膳」は健康な体を維持、増進するために身近な方法でとても有用です。

漢方や薬膳の勉強をする中で、資格をとってこの領域を極めていきたいと望む人も多いのではないでしょうか?漢方にはいくつかの資格がありますので、その違いについてご紹介します。

①国際中医師

「国際中医師」とは、中国政府の衛生部(日本でいう厚生労働省)が国際的に許可した名称で、中医と同程度の漢方の知識を有する専門家をいいます。

中国政府が委託している「世界中医薬学会連合会」が認定する国際資格です。
ただし、国際中医師資格は、日本の医師免許とは異なり、「国際中医師」の資格では医療行為は行えません。

②漢方薬剤師

漢方薬剤師は、中医学の考え方に基づき、生薬を用いて漢方薬を調合する薬剤師をいいます。

③漢方養生指導士(漢方スタイリスト)

漢方スタイリストは、体質や症状に合わせた漢方薬の選定ができ、養生法をアドバイスできる人をいいます。「日本漢方養生学協会」が認定する民間の資格です。

④漢方臨床指導士(漢方カウンセラー)

漢方カウンセラーは、状態を的確に見立てることができ、症状改善のための処方の選択ができ、また、予防や予後の養生法を指導できる人をいいます。
「日本漢方養生学協会」が認定する民間の資格です。

⑤中国漢方ライフアドバイザー

中国漢方ライフアドバイザーは、漢方の基礎知識、一般的な漢方薬の知識を身につけ、漢方を使った生活をアドバイスできる人をいいます。
「日本能力開発推進協会(JADP)」が認定する民間の資格です。

⑥国際薬膳師

中医学の基礎理論に基づき、食事のレシピを考えることができる人をいいます。中国国務院の科学技術部の委託を受けた「中国薬膳研究会」が認定する資格です。

⑦薬膳アドバイザー

薬膳アドバイザーは、薬膳の基礎を習得した人に与えられる資格です。
「日本中医食養学会」が認定する民間の資格です。

⑧中医薬膳指導員

中医学薬膳指導員は、中医学の基礎理論や栄養学、薬膳学に基づく、不調の症状を改善する食事レシピを考えられる人をいいます。
「日本中医食養学会」が認定する民間の資格です。

⑨中医薬膳調理師

中医薬膳調理師は、調理師の資格があり、中医学の基礎理論や栄養学、薬膳学に基づく、不調の症状を改善する食事レシピを考えられる人をいいます。
「日本中医食養学会」が認定する民間の資格です。

⑩薬膳インストラクター

薬膳インストラクターは、中医学の基本的な知識、各食材、食材を用いて作る薬膳の効能に対する知識を持つ人をいいます。
「日本能力開発推進協会(JADP)」が認定する民間の資格です。

漢方資格10種類の仕事内容と取得方法・難易度・費用

①国際中医師の仕事内容・取得方法・難易度・費用

■仕事内容
国際中医師の資格を有することで、医師であれば西洋医学と中医学の双方から診断のアプローチが可能になり、処方の幅も広がります。薬剤師であれば、病気の予防や改善に適切な漢方薬の提案ができるようになり活躍の場が広がります。他にも整体師や鍼灸師などの仕事にも役立ちます。

■取得方法
世界中医薬学会連合会が認定した教育施設で指定の講座を受講し、「国際中医師試験(国際中医師標準試験)」に合格することで取得できます。

■難易度
6教科各60点以上で合計360点以上が合格となります。中医学アカデミーの過去の合格率は約85~100%となっています。

■取得費用
中医学アカデミーのEラーニングスクールの「国際中医師試験資格取得講座」(受講期間:最長15ヶ月)で取得を目指す場合、学費が約40万円、受験料が18万2,000円かかります。

②漢方薬剤師の仕事内容・取得方法・難易度・費用

■仕事内容
漢方薬局で、患者さんの体質、症状に合わせて漢方薬を調合することができます。また、薬局や病院などで患者さんや医療従事者からの漢方相談を受ける際に役立ちます。

■取得方法
薬剤師の資格を取得するには、大学の薬学部にて学び薬剤師国家試験に合格する必要があります。その後漢方薬剤師になるにはその他の資格は必要なく、主に漢方薬局等で漢方の知識を身につけ、経験を積むことで「漢方薬剤師」となることができます。資格としては、公益財団法人日本薬剤師研修センターと日本生薬学会が行う「漢方薬・生薬研修会」を受講し、試験に合格することで取得できる認定資格、「漢方薬・生薬認定薬剤師」があります。取得後も漢方薬・生薬研修会に参加し、定められた単位を取得しながら、3年毎の更新が必要です。

■難易度
大学の薬学部で6年間学び、薬剤師国家試験を受験して薬剤師免許を取得が前提となる点で、難易度は高めといえるでしょう。

■取得費用
大学の薬学部の学費は、国公立、私立で差がありますが6年間で約350万~1200万円くらいになります。その他、薬剤師国家試験の受験手数料が6,800円、漢方薬・生薬認定薬剤師の認定資格を取得するには、認定証申請に3年毎に約2万円かかります。

③漢方養生指導士の仕事内容・取得方法・難易度・費用

■仕事内容
漢方の基礎を身につけ、日々の生活に漢方を取り入れることができます。

■取得方法
日本漢方養生学協会認定指定の漢方スクールで漢方養生指導士養成講座を受講し、認定試験に合格することで取得できます。

■難易度
初級に合格したら中級の受験資格となり、中級に合格したら上級の受験資格となり、段階的に資格試験を受験していくため、徐々に知識を深めていくことができ、極端に難しいということにはならないのではないでしょうか。

■取得費用
初級、中級、上級で学費が異なりますが、約5万~15万円、受験料が約6,500~9,000円かかります。

④漢方臨床指導士(漢方カウンセラー)の仕事内容・取得方法・難易度・費用

■仕事内容
的確に病気の原因となっている状態を把握して、病気を改善するための漢方処方の選択をします。また、病気の予防や予後のために生活の指導を行います。

■取得方法
漢方養生指導士中級合格者で、漢方日本漢方養生学協会認定指定の漢方スクールで「漢方薬物コース」「漢方診断学コース」を修了し、認定試験に合格することで取得できます。

■難易度
2つのコースで合計114単位(1単位:1時間)の受講が必要で、取得難易度は少し高めといえるのではないでしょうか。

■取得費用
漢方スクールの学費に約60万円、受験料が1万7,280円かかります。

⑤中国漢方ライフアドバイザーの仕事内容・取得方法・難易度・費用

■仕事内容
漢方の基礎知識を身につけ、薬剤師であれば漢方薬局に限らず、薬局やドラッグストア、病院で漢方相談に役立ちます。また、漢方を取り入れている福祉施設や介護施設、薬膳レストランなどでも活躍できます。

■取得方法
一般財団法人日本能力開発推進協会(JADP)が認定するスクールや通信教育の定められた講座を受講し、資格試験に合格して取得することができます。

■難易度
得点率70%以上で合格となります。

■取得費用
4ヶ月の通信教育の場合で、約4万~5万円、プラス受験料が5,600円必要です。

⑥国際薬膳師の仕事内容・取得方法・難易度・費用

■仕事内容
体の不調を整える食事のレシピを考え提案することができます。たとえば、薬膳料理教室の講師や薬膳サロン、福祉施設、介護施設、医療機関などさまざまな職場で活躍できます。

■取得方法
薬膳専門学校の「本草薬膳学院」で学び、「中医薬膳師」の資格を取得することで、「国際薬膳師」の受験資格を得ることができます。

■難易度
薬膳の最高の資格といわれており、取得難易度は高いといえます。

■取得費用
本草薬膳学院の通信教育のコースで、中医薬膳師資格取得する場合で、約20万円かかります。プラス国際薬膳師の受験料が必要です。通学コースの場合の学費や国際薬膳師の受験料等は、本草薬膳学院に問い合わせが必要となっています。

⑦薬膳アドバイザーの仕事内容・取得方法・難易度・費用

■仕事内容
薬膳料理を扱う飲食店などで簡単な薬膳料理を提供することができます。

■取得方法
日本中医食養学会が主催する講座や学会と契約している教育施設で40時間以上指定の薬膳講習を履修することで取得できます。

■難易度
指定のカリキュラムで薬膳講習を履修すれば、無試験で認定される資格であるため、講習は対面指導に限られていますが、講習に通う時間的余裕のある人にとっては、難易度はとてもやさしい資格といえるでしょう。

■取得費用
教育施設によって異なりますが、指定の講習を履修するために学費に約10万円前後、そのほか申請の際に認定料が必要です。

⑧中医薬膳指導員の仕事内容・取得方法・難易度・費用

■仕事内容
体の不調を改善する食事レシピを考えることができるため、管理栄養士や薬剤師、鍼灸師、介護士などの仕事の幅が広がります。

■取得方法
日本中医食養学会が主催する講座や学会の登録施設で60時間以上指定の薬膳講習を履修することで受験資格を得ることができ、試験に合格すると取得できます。

■難易度
講習を受け、試験に合格しなければ取得できない点では、取得はそれほど容易ではないといえます。しっかり学ぶことが必要です。

■取得費用
教育施設によって異なりますが、指定の講習を履修するために学費に約20万円、そのほか受験料などが必要です。

⑨中医薬膳調理師の仕事内容・取得方法・難易度・費用

■仕事内容
体の不調を改善する食事レシピを考え、調理して提供することができます。

■取得方法
調理師の資格を取得し、日本中医食養学会が主催する講座や学会の登録施設で60時間以上指定の薬膳講習を履修することで受験資格を得ることができ、試験に合格すると取得できます。

■難易度
中医薬膳調理師の受験資格には、調理師資格が必要であるため、調理師になるための勉強、中医薬膳調理師になるための勉強が必要で、その点では、取得はそれほど容易ではないといえます。

■取得費用
調理師の資格取得に2万~7万円、中医薬膳調理師資格に約20万円、そのほか受験料などが必要です。

⑩薬膳インストラクターの仕事内容・取得方法・難易度・費用

■仕事内容
薬膳インストラクターの資格を取得することで、薬膳料理を扱う飲食店で働く際のプラスになったり、料理教室の講師などの仕事もあります。また、医療機関や食品メーカーでも薬膳の知識に基づく食材や調理法などの提案をすることもできます。

■取得方法
一般財団法人日本能力開発推進協会(JADP)が認定するスクールや通信教育の定められた講座を受講し、資格試験に合格して取得することができます。

■難易度
薬膳インストラクターは、得点率70%以上で合格となりますが、年々難易度が上がっている資格のひとつです。

■取得費用
4ヶ月の通信教育の場合で、約4万~5万円、プラス受験料が5,600円必要です。

まとめ

漢方の資格には専門の大学を卒業しなければ取得できないものもありますが、薬膳アドバイザーなどのように、普段の食事に薬膳を取り入れるために勉強したことを資格に繋げることも可能です。

毎日の食事から健康を保つため薬膳について学んでいる方は、ぜひ資格取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。

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