機能性表示食品の市場規模推移と届出数推移2019

機能性表示制度が2015年4月1日に始まって4年以上が経過しました。開始前から勘がいい人たちには注目されており、開始とともに力を入れていた企業の中には急成長を遂げた企業もいました。

現在の機能性表示食品の市場規模や届出数推移を見ながら、現在の機能性表示食品市場を見ていきましょう。

目次

機能性表示食品の市場規模推移

機能性表示食品の市場規模推移のデータが、株式会社富士経済から発表されていました。以下引用を見てください。


引用先:富士経済グループ

・機能性表示食品全体2,420億円(前年比23.7%増)
・特定保健用食品3,781億円(前年比1.8%減)

と機能性表示食品市場は大きく成長しています。

三井住友銀行のレポートによると、2017年の健康食品市場規模は1.2兆円なので、健康食品市場の中で、機能性表示食品はすでにかなり大きな割合を占めていると言えます。

機能性表示食品は、トクホに比べると投資金額が安く済むうえに、同じような機能性を食品に表示して訴求できるため、企業も活発的に利用しています。

※機能性表示食品のメリット・デメリットや取得にかかる費用は以下記事で詳しく説明していますので、参考にしてください。

機能性表示食品の届出数推移

機能性表示食品の届出数は、2015年:307件、2016年:620件、2017年:452件、2018年:690件と件数が大きく増え続けているわけではありませんが、累計数が増えているため、市場に出回る機能性表示食品は増えています。

累計数は増えていますが、機能性表示食品が増えるに伴い、撤回数も増えています。撤回数が増えている要因については、後半で説明します。

機能性表示食品のトレンド

ヘルスクレーム(健康強調表示・訴求効能)のデータから、機能性表示食品のトレンドについて見ていきましょう。こちらも株式会社富士経済のデータです。


引用先:富士経済グループ

「腸内環境」と「脂肪」が飛び抜けています。

最近はテレビでも何度も「腸内環境」「腸内フローラ」「腸活」などが取り上げられています。また、腸内環境を良くすることが全身の健康にも関係することや、美肌やダイエットにも効果があると報道されることもあります。

「脂肪」は、ダイエットが関係していることですよね。このダイエットの中には、将来も考えて肥満解消することで病気を予防するものや、ボディメイクなども含まれていると考えられます。

つまり、生活習慣病予防やダイエットをしたい人たちのための商品が売れていると言えるでしょう。

機能性表示食品で売れている商品例

機能性表示食品は届出がたくさん出ていますが、すべての商品が売れているわけではありません。なかには大して売れないままのものもあります。

これから機能性表示食品の販売を考えている企業は、売れている商品を参考にしてみてください。

・カロリミット(ファンケル)
・えんきん(ファンケル)
・アラプラス糖ダウン(SBIアラプロモ)
・ネイチャーメイド(大塚製薬)
・DHCサプリメント(DHC)
・伊右衛門プラスコレステロール対策(サントリーフーズ)
・ルテイン(小林製薬)
・ロートV5(ロート製薬)
・パーフェクトフリー(キリンビール)
・日清健康オイル アマニプラス(日清オイリオグループ)
・おーいお茶 濃い茶(伊藤園)
・ヘルスエイド ビフィーナレギュラー(森下仁丹)
・カゴメトマトジュース(カゴメ)
・ネルノダ(ハウスウェルネスフーズ)
など

機能性表示食品で売上を伸ばしている企業例

機能性表示食品の市場規模拡大の波に乗り、売上を伸ばしている企業があります。ニュースから分かる範囲でまとめています。

東洋新薬

東洋新薬は、機能性表示食品の届出数1位の企業です。ODM/OEM企業なので消費者の方には馴染みのない会社かもしれませんが、機能性表示制度の開始当初から機能性表示食品に取り組んでいる会社です。上場はしていませんが、情報が出ていました。

「2018年9月期のグループ売上高が224億4,000万円。決算期変更前の21期との比較では129.1%(健康産業新聞)」

ファンケル

ファンケルは、カロリミット・えんきんなどが非常に売れています。こちらも機能性表示制度の開始当初から、機能性表示食品に取り組んでいました。

「2015年のサプリメントの売り上げは約232億円でしたが、今年(2018年)は約425億円にまで伸びる見込みです。その成長を牽引しているのが、機能性表示食品制度だと思っています。(FNN)」

カゴメ

カゴメは、飲料、食品、調味料の大手メーカーです。元々の主力商品の1つであるトマトジュースを機能性表示食品として届出を行いました。それによって、トマトジュースの機能性を訴求できるようになり、売上アップとなりました。

「カゴメは2016年2月から定番商品「カゴメトマトジュース」に含まれるリコピンが血中の善玉コレステロールを増やす働きがあることをアピールするなどした。その結果、同社の2018年の主力トマトジュースの売り上げが2015年の約3倍にも増えた。(朝日新聞デジタル)」

機能性表示食品の課題

機能性表示食品は、認知度が低いことが課題と言われることがあります。どのくらいの認知度があるのか、確認していきましょう。

2018年の消費者庁の意向調査結果(10,000人への調査)によると以下となっていました。

<機能性表示食品>
どのようなものか知っている・・・18.3%
聞いたことはあるが、どのようなものか知らない・・・63.9%
聞いたこともなく、どのようなものかも知らない・・・17.8%

機能性表示食品の認知度が低いのは確かですが、この調査での特定保健用食品(トクホ)の認知度にも注目です。

<特定保健用食品(トクホ)>
どのようなものか知っている・・・32.6%
聞いたことはあるが、どのようなものか知らない・・・59.6%
聞いたこともなく、どのようなものかも知らない・・・7.9%

特定保健用食品(トクホ)は、機能性表示食品よりも認知度が高いと言われますが、特定保健用食品(トクホ)もどのような制度なのか詳しく知っている人は多くないと言えるでしょう。

機能性表示食品の制度は、理解するのに簡単な制度とは言えず、多くの消費者に正確に知ってもらうのは難しい面があります。

ただ、機能性表示食品の制度を詳しく知っている人はまだ多くありませんが、市場規模は拡大しており、多くの人達が購入しています。

そのため、今後の認知度が低くとも、売上が増える可能性は高いと思われます。

機能性表示食品の懸念

すでに届出が行われていたグルコサミン関連サプリが、科学的・医学的にグルコサミンの有効性が否定されたため、消費者庁から届出企業に改善提案があり、多数の届出が撤回されたことがありました。

このように、届出のあとに撤回されるケースも増えています。そのため、機能性表示食品の信頼性の低下が懸念されています。

今後の機能性表示食品

機能性表示食品制度は、もともと届出制であり、国の審査がありません。そして、その食品を選択するかどうかは、企業が公開している情報をもとに消費者が自主的に判断することが求められています。

ただ、そもそも多くの人は、機能性表示食品を詳しく知りません。消費者にとっては、機能性表示食品に書かれてある明確な機能性(効果の訴求)にメリットを感じて、購入をしているのではないでしょうか。

今後も機能性表示食品の市場規模は拡大する可能性が高いでしょう。

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