機能性表示食品の広告表現OK/NGと違反事例

商品を広告する際、その表現について様々な法律規制があります。食品の広告についても同様で、商品に医療的な効能効果があるような表現をすると、薬機法上の規制を受けることがあります。

この記事では、食品のひとつである「機能性表示食品」の広告規制について分かりやすく解説します。

目次

機能性表示食品とは?


引用元

機能性表示食品とは、事業者の責任で、科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示するものとして、消費者庁に届け出られた食品のことです。

安全性や機能性の根拠については、販売前に事業者が消費者庁長官に届出をした上で、一般消費者に誤認を与えないよう、適正な表示による情報提供が必要となります。

そして、次のような特徴もあります。
疾病に罹患していない人を対象とした食品
・生鮮食品を含め、全ての食品が対象
・特定保健用食品とは異なり、国が安全性と機能性の審査を行っていない

機能性表示食品の広告判断基準

以下3つの基準を満たした場合、機能性表示食品の広告と判断されます。

①顧客を誘引する意図が明確であること。
②特定食品の商品名等が明確であること。
③一般人が認知できる状態であること。

なお、「これは広告ではありません」や、「顧客の誘引を目的としません」や、「表示しているのは物質名であって商品名ではありません」などの表示をしても、具体的な商品名や効果などを、一般消費者が容易に認知できる形で掲載している場合は広告として扱われます。

また、特定食品やその成分、健康保持増進効果などに関する書籍やホームページに掲載した場合であっても、付近にその商品の販売業者の連絡先やホームページのリンクを一般消費者が容易に認知できる形で掲載すると広告として扱われます。

機能性表示食品の容器に必要な表示


引用元

一般消費者が、自主的かつ合理的に食品を選択するため、機能性表示食品の容器には以下を表示する必要があります。

1機能性表示食品であること
2学的根拠を有する機能性関与成分と当該成分、または当該成分を含有する食品が有する機能性(本商品には●●が含まれるので、〇〇の機能がありますなど、科学的根拠を基にした機能性について、消費者庁長官に届出た内容を表示する。)
3栄養成分の量と熱量
41日あたりの摂取目安量あたりの機能性関与成分の含有量
51日あたりの摂取目安量
6届出番号
7食品関連事業者の連絡先
8摂取の方法
9摂取する上での注意事項(「機能性表示食品は医薬品ではありません」など、疾病の治療や予防や診断を目的としたものではないこと、「疾病のある方、薬を服用されている方は必ず医師・薬剤師にご相談ください」などの注意事項の表示)
10調理または保存の方法に関して特に注意が必要なものは、当該注意事項

機能性表示食品の広告表現OK/NG

認められる表現認められない表現
容易に測定可能な体調の指標の維持に適する、または改善に役立つこと「診断」「予防」「治療」「処置」など医学的な表現や、疾病の治療効果や予防効果を暗示させる表現(「糖尿病の人に」「高血圧の人に」など)
身体の生理機能、組織機能の良好な維持に適する、または改善に役立つこと健康の維持・増進の範囲を超えた、意図的な健康の増強を標ぼうする表現(「肉体改造」「増毛」「美白」など)
身体の状態を本人が自覚でき、一時的な体調の変化(継続的、慢性的でないもの)の改善に役立つこと科学的根拠に基づき説明されていない機能性に関する表現(限られた免疫指標のデータを用いて、身体全体の免疫に関する機能があると誤認する表現、抗体や補体、in vitro試験やin vivo試験で説明された根拠のみに基づいた表現など)

機能性表示食品の適正広告自主基準で記載が必要な内容

機能性表示食品の広告作成にあたっては、以下の5つを記載することが推奨されています。

①「機能性表示食品」である旨の表示
②「届出表示」
③「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」
④「国の許可を受けたものではない」ことの表示
⑤「本品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。」

なお、上記の表示は、必ず記載しなければならないのではなく、あくまで推奨されている内容です。どの媒体にどこまで記載するのかなどは事業者の判断によります。

ただ、文字が小さすぎるなど、一般消費者が認識できない表示については、記載されていると認められないので注意が必要です。

機能性表示食品の広告作成の注意点7個

1. 機能性の表現

機能性関与成分に関する研究の届出商品の場合、研究レビューの届出であるにもかかわらず、あたかもその商品そのものに機能があると一般消費者に誤認させる表現や、届出された機能性を超える機能があると誤認させる表現は認められません。

例えば、「●●は体脂肪の燃焼を助け、スッキリしたボディラインを作ります。」という表現はNGです。

あくまで、「~の効果があると報告されています」など、研究レビューに基づいたものであることを明確に標ぼうする必要があります。また、「スッキリしたボディラインを作ります。」という表現が機能性表示食品の届出にかかれていないのであれば、過大な機能があるかのように誤認されていると判断されます。

2. 文言の省略

文言を省略するなどして、一般消費者に誤認を与える表現をすることは認められません。

例えば、「血圧が高めな方の健康な血圧をサポートする」という表現を「健康な血圧をサポートする」と省略すると、血圧が高い人の血圧を低くする機能、血圧が低い人の血圧を高くする機能の両方が含まれるかのように誤認する可能性があります。

文言を省略せず、正確に表示することが重要です。

3. 作用機序の表現

商品の作用機序について、消費者の理解を手助けする意味合いで、文章やイラストや動画などを表示することは問題ありませんが、届出資料の範囲内の表現に留める必要があります。

また、あくまで機能性関与成分の作用機序であって、その商品の効果を保証するものと誤認させる表現にならないよう注意が必要です。

4. アンケート・モニター結果について

商品について実施したアンケートやモニター結果を引用して、広告に表示することは問題ありませんが、嗜好・食感・感想などの結果に限り表示する必要があります。

引用する際は、あたかもその商品の機能性を保証するような表現にならないよう注意する必要があります。

5. 個人の感想等について

事実に基づいているのであれば、商品の広告に個人の感想を表示することは問題ありません。

ただし、届出表示の範囲を超える表現をしたり、機能性表示食品を摂取すれば疾病の治療が不要であるかのような表現や、過度な効果や、効果が確実であるかのような表現をすることはNGです。

また、「※個人の感想です。効果には個人差があります。」などと付記しても、認められないので注意が必要です。

6. 医師などの専門家による説明

商品の機能性などについて医師や研究者などの専門家による説明を表示することは可能ですが、こちらもあくまで届出資料の範囲内で行う必要があります。

例えば、専門家の説明により、特定の疾病の治療に効果的であるかのような表現や、効果を保証するかのような記載をすることは認められません。

なお、「※効果を保証するものでありません」などと付記しても、結果的に一般消費者が誤認すれば不当表示となる可能性があります。

7. 臨床試験について

広告に使用するデータの引用元は、届出資料として提出したものとし、また、広告にデータを表示する際は、必ず引用元も記載する必要があります。

また、試験条件や摂取期間や対象者の属性などの概要についても表示する必要があります。

さらに、データやグラフに説明などを付記する場合は、一般消費者に誤認させないよう注意し、論文などの掲載には著作権の許諾を確認しておく必要がある点にも注意が必要です。

機能性表示食品の広告違反事例2個

①葛の花由来イソフラボン

葛の花由来イソフラボンを機能性関与成分として、機能性表示食品を販売した事業者
ウェブサイト上に、あたかも商品を摂取するだけで、誰でも容易に内臓脂肪を落とすことができ、外見で認識できるレベルの痩身効果があるかのような表示を行いました。

しかし、提出された根拠資料は表示の裏付けとなる合理的なものではなく、景品表示法の優良誤認に該当するとして、事業者16社が措置命令を下されました。

②「認知機能」訴求の機能性表示食品

インターネット広告で、多数事業者が機能性表示食品の「認知機能」について標ぼうし、その内容が景品表示法・健康増進法に抵触すると判断されました。

違反表示の一部として、「認知症予防の救世主〇〇大学教授監修」など、あたかも商品に医薬品的な効果があるかのような表示をしたり、届出表示が「空間認知能や場所を理解するといった記憶力を維持する効果があると報告されている」と機能を限定しているにも関わらず「記憶力維持」と表示し、届出表示の一部を強調することで、届出の機能性を逸脱したものがありました。

消費者庁は不当表示をした115事業者に改善指導を行いました。

まとめ

機能性表示食品は、一般の健康食品などと比べて標ぼうできる表現が多くあります。ただ、人の身体に効果的であるからこそ、遵守すべきルールや規制も多いため注意する必要があります。

SNSでも機能性表示食品がたくさん紹介されていますが、PR表現に少しでも不安があれば詳しい専門家などに相談することをお勧めします。

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