新たにコスメブランドを立ち上げるのに必要な費用はいくらくらいでしょうか。化粧品ビジネスを始めるときの資金や失敗パターンなどについて説明します。
コスメブランドの立ち上げにはいくら必要?
コスメブランドの立ち上げといっても会社の規模や狙う事業規模によって大きく異なりますが、少なくとも数十万円は必要になります。
| 規模・目的 | 主な内訳 | 初期費用目安 |
| ミニマム検証 | OEM試作・少量生産、既製容器+ラベル、物撮り、簡易EC、表現チェック、少額広告 | 50〜200万円 |
| 本格参入 | 複数SKUの製造、容器/箱デザイン、撮影、LP/EC整備、PR/インフルエンサー | 300〜800万円 |
| スケール前提 | シリーズ展開、複数販路、在庫・物流設計、広報体制 | 1000万円〜 |
小ロット生産の場合、少ない初期投資で始められるメリットがありますが、製品1本あたりの金額は高くなるため、売るのが難しくなったり、利益が出づらかったりとデメリットもあります。
コスメブランドの立ち上げ費用の内訳

商品の中身(処方・試作・生産)
| 内訳 | 目安金額 | 補足 |
| 処方設計・試作(2〜3回) | 3〜15万円 | 再試作が増えると加算 |
| 各種試験 | 3万円〜 | 本格試験は数十万円〜 |
| 生産(500〜1,000本) | 25〜150万円 | 1本原価200〜1200円※内容で変動 |
| 充填・包装 | 5〜30万円 | 充填粘度・形状で変動 |
最小検証なら1SKU=50〜120万円が目安。高機能原料の多用、香り設計、粘度調整などは原価と再試作回数を押し上げます。
まずは“ヒーローSKU”を1品に絞ると資金効率が上がります。
容器・パッケージ・デザイン
| 内訳 | 目安金額 | 補足 |
| ボトル・キャップ | 100〜400円/本 | 最低発注数 数百本〜 |
| 外箱・ラベル | 40〜200円/セット | 箔・エンボスで+α |
| パッケージ制作・DTP | 10〜40万円 | 複数SKUで割安化 |
| 金型(オリジナル) | 50万〜 | 数百万円かかることも |
最初は既製容器+オリジナルラベルがおすすめ。世界観はラベルと箱で作り、売上が伸びてきたら金型投資へ。
LP・ECサイト・撮影などの制作
| 内訳 | 目安金額 | 補足 |
| 商品撮影 | 3〜12万円 | 画像レタッチ込が安心 |
| モデル・ライフスタイル撮影 | 15〜80万円 | ヘアメイク・スタジオ含むと増 |
| 商品LP(1枚) | 20〜80万円 | 構成/コピー/デザイン/実装 |
| 自社EC構築 | 20〜100万円 | テンプレート活用で圧縮可 |
| クリエイティブ一式セット | 50〜200万円 | 写真+LP+ECのパッケージ |
写真は“営業マン”。どのようなクリエイティブにするかは重要です。上記についてタレントの起用や動画の追加を行うと効果は上がりますが、費用も跳ねます。
広告・PR・インフルエンサー
| 施策 | 目安金額 | 期待効果/注意 |
| 広告運用テスト | 月10〜30万円 | CPA把握のため最低2〜4週継続 |
| マイクロインフルエンサー | 1〜10万円/件 | ギフティング+少額報酬が現実的 |
| 中堅〜有名インフルエンサー | 30〜300万円/件 | 権利期間・二次利用に注意 |
| PR代行(3ヶ月) | 30〜150万円 | メディア露出/サンプル配布 |
初月はテスト予算として10〜30万円で“1本売るコスト(CPA)”を掴むのが先。黒字CPAが見えた施策に集中投下するとムダが減ります。
また、自社の別事業などで顧客リストがある場合は、その顧客への販促を行いましょう。
薬機法チェックなど法対応
| 内訳 | 目安金額 | 補足 |
| 広告表現監修(LP/バナー) | 5〜20万円/本 | NG→OK表現の置換提案含む |
| エビデンス取得※臨床試験やリサーチなど | 数十万円〜 | エビデンス強化目的。数百万円かかる場合も |
| 許認可申請 | 数十万円〜 | 必要な許認可を要確認 |
「開発費」ではなく「保険料」と捉えるのがコツ。発売後の差し替え・返金・炎上対応は桁違いに高くつきます。
コスメブランドの立ち上げ方法の種類
コスメブランドを立ち上げる場合、OEM・ODM・OBMの3種類の方法があります。
| 方式 | 定義 |
| OEM(Original Equipment Manufacturer) | 企画開発は自社、製造は委託 |
| ODM(Original Design Manufacturer) | 企画〜処方〜製造まで一括委託し、自社のブランドで販売。 |
| OBM(Original Brand Manufacturer) | ブランドの企画開発、製造、販売、マーケティングまですべてを受託側が行う |
それぞれの方法にメリット・デメリットがあり、自社の状況に合わせて選びましょう。
| 方式 | メリット | デメリット |
| OEM | ・自社世界観や成分ポリシーを反映しやすい ・設備投資不要で量産品質は安定 ・既存処方の改良活用でコスト/期間を圧縮可能 | ・要件定義・品質/表示管理の内製工数が重い ・最小ロットや充填条件により在庫リスク ・革新的な差別化は処方自由度の範囲に制約 |
| ODM | ・ゼロベース開発で独自性 / 高付加価値を作りやすい ・社内開発リソース不足を外部で補完 ・技術/原料ネットワークを活用できる | ・開発/検証費が嵩み初期費用や期間が増大 ・知財・成果物の権利帰属契約が難易度高 ・委託先依存が強まり乗り換えコストが上がる |
| OBM | ・企画/製造/EC/PRまでワンストップで立ち上げ可 ・人材やノウハウが乏しくても短期で参入できる ・KPI設計〜販路開拓まで実行伴走が期待できる | ・外部にブランド中枢を依存しがち(学習が社内に残りにくい) ・費用はパッケージ化で高止まりする傾向 ・成果連動やデータ帰属など契約設計を誤ると主導権喪失 |
OBMは、製造・ノウハウのないスタートアップやインターネット企業の他、インフルエンサーや芸能人、さらに大手小売・美容サロン・クリニックなどが新規ブランドを立ち上げたい場合に便利です。
一番安く早い方法で立ち上げるには?
方法はOEMで、OEM企業が持つ既製処方の香り・色味だけ変更し、既製容器/汎用ポンプを採用すると2〜3ヶ月で立ち上げることができます。
外箱は無しでラベル貼付、撮影は商品撮影中心、ECはテンプレ+LP1枚なら安い費用で立ち上げられます。1SKUを低原価・短納期で検証できます。
在庫はどのくらい作るべき?ロット数は?

在庫は「想定月販×2〜3ヶ月+安全在庫20%」が目安です。想定月販は広告予算÷想定CPAやサイト流入×CVRで見積もります。
初回はリードタイム(発注〜納品6〜10週)内に欠品しない最小量に留め、再発注点=1か月分+安全在庫を設定。
目安の初回ロットはD2Cなら500〜1000本、卸併用で1500〜3000本です。
色や香りのバリエーションは後回しにして“売れる1SKU”へ集中。容器は既製で小ロット対応工場を選び、使用期限・保管スペース・資金繰りも同時に試算しましょう。
売れなかったらどうなる?
売れないと、現金が減って在庫が滞留し、広告費も回収できないため、資金繰りが悪化します。
また在庫は保管費がかかるため、コストも増えます。さらに使用期限があるため、値引き処分すると粗利低下・ブランド毀損が発生し、取引先の信用も落ちることになります。
対処法としては早期に撤退基準(CPA・CVR・回転日数)を設定しましょう。
そのうえで以下の対策手段も検討してください。
①セット化・容量/価格改定
②訴求/LP刷新と再撮影・レビュー強化
③販路拡張
④アウトレット/業務用で在庫圧縮
コスメを売る場所と方法7つ!EC?店頭?

1. 自社EC(D2C)
まずは“1枚LP+定番EC”で制作し、最短で立ち上げましょう。UGC(購入者写真・口コミ)を商品下に並べ、FAQで不安を潰すことも大切です。
初月は広告費10〜30万円でCPAを把握し、黒字ラインの訴求に集中投下します。
定期割・まとめ買い・次回割クーポンでLTVを底上げし、発送は当日~翌日で満足度を稼ぎましょう。
2. ECモール
ECモール(Amazon/楽天/Yahooショッピング/Qoo10)は検索とレビューが命。
キーワード最適化(競合上位のワード抽出)、画像6〜8枚でベネフィット→成分→使い方→差別化の順に訴求しましょう。
発売直後はクーポン・タイムセール・共同購入で“初速レビュー”を集めてください。イベント(お買い物マラソン等)に合わせ在庫と広告を前倒ししましょう。
3. 定期・サブスク
定期・サブスクでは継続率(リテンション)が利益を決めます。初回は割引しすぎず“2回目以降の価値”を同梱物で明確化(使用スケジュール、Before→After記録シート)しましょう。
マイページで周期変更・スキップを自由化して解約抑止。さらに、誕生月特典や“次は色違い”提案でアップセルしましょう。
4. 実店舗
実店舗(小売チェーン・セレクトショップ)は「手に取れる」体験で勝負。
棚1面をミニ世界観化し、テスター・香り・使用感を前面に。店頭POPは“3秒で価値が伝わる一言+根拠”。
販促は店員教育(30秒トークスクリプト)とインセンティブで回転を作る。週次で売れ筋・欠品・クレームを吸い上げ改善を早回し。
5. ポップアップ/イベント
短期で話題とUGCを獲得。来店者限定セット、無料ミニ施術、フォトスポットでSNS投稿を誘発しましょう。
予約制+来場特典で来場質を担保し、QRでその場購入→ECへ誘導して“イベント後も売れる”導線を作ります。会期前後はインフルエンサー来店動画で波及させましょう。
6. サロン/クリニック/美容室
プロの推奨は強力。施術とのセット提案・ホームケア導入で継続購入を狙いましょう。
スタッフ向けに効果の伝え方・禁句集・クレーム対応をまとめた“1枚トレーニング”を配布します。
卸値・リピート報酬・院内POPを整え、症例写真やカウンセリング台本で販売再現性を高めてください。
7. 越境EC
越境EC(海外マーケットプレイス)では現地の禁句・成分規制・ラベリングを先に確認してください。
英語/中国語の訴求は「肌タイプ・使い方・安全性」を先頭に。
初期は越境モールの共同プロモを活用し、発送は現地フルフィルメントで配送体験を担保。現地KOLのショート動画×クーポンで初速を作りましょう。
立ち上げ失敗のよくあるパターンと防ぎ方5つ

1. 初回から在庫を積みすぎて資金ショート
需要検証前に数千本を発注→回転せず現金が在庫で凍結、使用期限も迫り値引きでブランド毀損。
<防ぎ方>
初回は500〜1000本/1SKUで開始。想定月販=「広告予算÷想定CPA」から逆算し、在庫=月販×2〜3+安全在庫20%。
リードタイム内に欠品しない量で再発注点=1か月分+安全在庫を設定。販路拡張は回転実績が出てからにします。
2. “誰に何を約束するか”が曖昧
保湿・美白・エイジング…と全部盛りで訴求が分散、価格も中途半端。比較軸が不明で広告も刺さらない。ポジショニング崩壊。
<防ぎ方>
最初に1ペルソナ×1ジョブへ絞りましょう(例:30代混合肌の“毛穴つるん”)。
競合の上位レビューをテキストマイニングして強い一言ベネフィットを決めてください。価格は競合リサーチを行ったうえで根拠付きで決定。
全クリエイティブとLPをベネフィットの約束に統一しましょう。
3. クリエイティブ弱く、LPと写真が売場になっていない
写真が暗い/比較がない/使い方が伝わらない → カゴ落ち・CVR低下。
<防ぎ方>
画像は1枚目=“3秒で価値”、以降は「ベネフィット→根拠→使用法→比較→レビュー」の順で6〜8枚を構成してください。
LPはファーストビューで約束+証拠(成分・試験・第三者コメント)、FAQで不安を潰します。
発売直後は初速レビュー20件を目標(ギフティング/購入特典)にしましょう。
4. 表現・表示の違反で差し替え地獄
“シミが消える”等のNG表現を使用 → 指摘や行政処分でLP/パッケージ改修・返金でコスト爆発。信用失墜。
<防ぎ方>
発売前に薬機法・景品表示法などの法的観点から広告表現チェック(NG→OK置換)、さらに全成分表示チェックを実施。
表現でエビデンスが必要なものは揃えましょう。社内に禁句リストを共有し、広告・マーケティングで誰かが違反しないように注意してください。
またインフルエンサーを活用する場合は事前にガイドラインを配布しましょう。
5. 単発売り切りでLTV設計がなく、広告が回らない
初回値引き→2回目以降の動線が無く「CPA<LTV」を達成できず撤退。
<防ぎ方>
発売時から定期/まとめ買いを用意し、同梱物で使用スケジュール・次回特典・クロスセルなどを設計しましょう。
マイページで周期変更・スキップ可にして解約を抑止。
月次で継続率・解約理由・レビューを分析し、処方/訴求/同梱物をABテスト。黒字CPAが見えたら、その施策に予算を集中投下しましょう。
まとめ
コスメブランドの立ち上げにはいくつかの障壁がありますが、それを乗り越えれば売上が大きく伸びる可能性があります。
化粧品の市場規模は大きいため、同ブランドで複数商品を展開すれば、さらに大きなビジネスになります。
自社に合った商品コンセプト、製造体制、売り方などを模索し、ビジネスを成功させていきましょう。












コメント