化粧品では、誇大広告を行うと、罰則や課徴金などがあります。これは消費者が安心して購入できるようにするためです。
誇大広告にかかわる化粧品の規制内容や誇大広告事例を解説します。
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誇大広告とは?
誇大広告とは、商品やサービスの内容が、実際のものより良い、または有利であると誤認するような広告のことです。
化粧品の誇大広告では、景品表示法や薬機法の規制が及びます。
景品表示法の規制
景品表示法では、優良誤認表示や有利誤認表示などが禁止されています。
優良誤認表示とは、商品やサービスの品質が実際より優れていると偽って宣伝したり、競合が販売する商品やサービスよりも優れていると偽って宣伝したりする行為です。
有利誤認表示とは、商品やサービスの取引条件が実際より有利であると偽って宣伝したり、競合が販売する商品やサービスよりも著しく安いかのように偽って宣伝したりする行為です。
薬機法で化粧品広告が表現できる効能効果
化粧品には、一般化粧品と薬用化粧品(医薬部外品)があり、薬機法の分類や表現可能な効能効果が異なります。それぞれどんな効能効果が認められているのか解説します。
一般化粧品の場合
効能・効果 |
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1. 頭皮、毛髪を清浄にする。 2. 香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。 3. 頭皮、毛髪をすこやかに保つ。 4. 毛髪にはり、こしを与える。 5. 頭皮、毛髪にうるおいを与える。 6. 頭皮、毛髪のうるおいを保つ。 7. 毛髪をしなやかにする。 8. クシどおりをよくする。 9. 毛髪のつやを保つ。 10. 毛髪につやを与える。 11. フケ、カユミがとれる。 12. フケ、カユミを抑える。 13. 毛髪の水分、油分を補い保つ。 14. 裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。 15. 髪型を整え、保持する。 16. 毛髪の帯電を防止する。 17. (汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。 18. (洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。 19. 肌を整える。 20. 肌のキメを整える。 21. 皮膚をすこやかに保つ。 22. 肌荒れを防ぐ。 23. 肌をひきしめる。 24. 皮膚にうるおいを与える。 25. 皮膚の水分、油分を補い保つ。 26. 皮膚の柔軟性を保つ。 27. 皮膚を保護する。 28. 皮膚の乾燥を防ぐ。 29. 肌を柔らげる。 30. 肌にはりを与える。 31. 肌にツヤを与える。 32. 肌を滑らかにする。 33. ひげを剃りやすくする。 34. ひがそり後の肌を整える。 35. あせもを防ぐ(打粉)。 36. 日やけを防ぐ。 37. 日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。 38. 芳香を与える。 39. 爪を保護する。 40. 爪をすこやかに保つ。 41. 爪にうるおいを与える。 42. 口唇の荒れを防ぐ。 43. 口唇のキメを整える。 44. 口唇にうるおいを与える。 45. 口唇をすこやかにする。 46. 口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。 47. 口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。 48. 口唇を滑らかにする。 49. ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。 50. 歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。 51. 歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。 52. 口中を浄化する(歯みがき類)。 53. 口臭を防ぐ(歯みがき類)。 54. 歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。 55. 歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。 56. 乾燥による小ジワを目立たなくする。 |
薬用化粧品の場合
種類 | 効能・効果 |
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1. シャンプー | ふけ・かゆみを防ぐ。 毛髪・頭皮の汗臭を防ぐ。 毛髪・頭皮を清浄にする。 毛髪・頭皮をすこやかに保つ。 毛髪をしなやかにする。 |
2. リンス | ふけ・かゆみを防ぐ。 毛髪・頭皮の汗臭を防ぐ。 毛髪の水分・脂肪を補い保つ。 裂毛・切毛・枝毛を防ぐ。 毛髪・頭皮をすこやかに保つ。 毛髪をしなやかにする。 |
3. 化粧水 | 肌あれ・あれ性。 あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ。 油性肌。 かみそりまけを防ぐ。 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。 日やけ・雪やけ後のほてり。 肌をひきしめる。肌を清浄にする。肌を整える。 皮膚をすこやかに保つ。 皮膚にうるおいを与える。 |
4. クリーム、乳液、ハンドクリーム 、化粧用油 | 肌あれ・あれ性。 あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ。 油性肌。 かみそりまけを防ぐ。 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。 日やけ・雪やけ後のほてり。 肌をひきしめる。肌を清浄にする。肌を整える。 皮膚をすこやかに保つ。 皮膚にうるおいを与える。 皮膚を保護する。皮膚の乾燥を防ぐ。 |
5. ひげそり用剤 | かみそりまけを防ぐ。 皮膚を保護し、ひげをそりやすくする。 |
6. 日やけ止め剤 | 日やけ・雪やけによる肌あれを防ぐ。 日やけ・雪やけを防ぐ。 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。 皮膚を保護する。 |
7. パック | 肌あれ。あれ性。 にきびを防ぐ。 油性肌。 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。 日やけ・雪やけ後のほてり。 肌をなめらかにする。 皮膚を清浄にする。 |
8. 薬用石鹸(洗顔料を含む) | <殺菌剤主剤のもの> (消炎剤主剤をあわせて配合するものを含む) 皮膚の清浄・殺菌・消毒。 体臭・汗臭及びにきびを防ぐ。 <消炎剤主剤のもの> 皮膚の清浄、にきび・かみそりまけ及び肌あれを防ぐ。 |
化粧品でシミが剥がれる・シミがポロッと取れるは嘘?本当?
化粧品で認められている化粧品の効能効果は基本的に上記の段落で説明したものです。
では、シミがかさぶたみたいに剥がれる・ポロッと取れるクリームや化粧品は本当なのでしょうか?
「シミが剥がれる」「シミがポロッと取れる」という表現は、「今あるシミが剥がれ落ちてなくなる」という効果を表現しているものと思われ、虚偽誇大広告と見なされると考えてよいでしょう。
つまり、嘘の効果を謳った広告ということになります。
化粧品の誇大広告事例6選
1. シワ改善効果を表示した医薬部外品の措置命令
2023年3月28日、東京都は、医薬部外品を販売する株式会社エムアンドエムに景品表示法にもとづく措置命令を行いました。
エムアンドエムが販売する「アンリンクル」と称する医薬部外品について、広告代理店が制作したウェブページで、数秒間等の極めて短い時間で、目や口の周辺等について、いわゆる美容医療と同様のシワ改善効果を得られるかのように示す表示していたためです。
表示は広告代理店やアフィリエイターが行ったものでしたが、広告主の責任となりました。
<表示文言例>
「目元のたるみが消えた!? “10秒で目元ピーン”の噂は本当だった!!」と記載し、「凄い!!全然違う!!」と付記した上で使用前・使用後の目元の写真を2枚掲載。
「自宅で簡単にシワ・たるみを解決できるのは、“日本唯一※のシワ改善成分配合”「アンリンクル」だけ! これを塗るだけであっという間に肌が若返りますよ~~~」
2. シミが消える化粧品のアフィリエイト広告に関する注意喚起
2021年3月1日、消費者庁から「虚偽・誇大なアフィリエイト広告に関する注意喚起」が行われました。
内容としては、次の2商品について虚偽誇大広告が確認されたためです。
・株式会社Libeiroが販売する「エゴイプセビライズ」と称する化粧品
・株式会社シズカニューヨークが販売する「シズカゲル」と称する医薬部外品
<エゴイプセビライズのアフィリエイト広告表現例>
「『確実にシミが取れる!!』とテレビで取り上げられ、とにかく売れに売れま くって常に在庫僅かなんです…。」
「たった5日でこの感じです♥思いっきり笑ってもシワは残りません!笑」
「試した方の多くが、✓5日でほうれい線が消えた ✓シワがなくなった な ど、1週間以内に効果を実感している方がほとんどでした。」
「シワというシワが、ぜーんぶ消えたっ!!!」
<シズカゲルのアフィリエイト広告表現例>
「だからこそ、3日でシミを消せるんです。」 「しかもシズカゲルが『確実にシミがとれる!!』とテレビで取り上げられてか ら、さらに全国的に人気が爆発!!」
※実際の表示内容一例
参照:消費者庁資料
3. シミ消しクリームの措置命令
2019年3月28日、株式会社Growasが販売する「アルバニアSPホワイトニングクリーム」の表示について、優良誤認表示が認められ、措置命令が行われました。
具体的には以下のような表示が行われていました。
「塗って寝るだけ翌朝にはもう変わってる!! 薬用シミ消しクリーム」
「レーザー治療が必要な濃いシミでも4日で剥がれ落ちる」
参照:消費者庁資料
4. 洗顔でシミが消える石鹸の措置命令
2020年6月26日、有限会社ファミリア薬品が販売する「朱の実」と称する石けんの表示について、優良誤認表示が認められ、措置命令が行われました。
具体的には以下のような表示が行われていました。
「毎日、顔を洗うだけで、シミが輪郭からぼやけて薄くなっていくのが分かります。」
「今すでに出来ているシミを薄くする。」
参照:消費者庁資料
5. まつ毛美容液の措置命令
2021年6月3日、株式会社ハウワイが販売する「エターナルアイラッシュ」の表示について、優良誤認表示が認められ、措置命令が行われました。
人物のまつ毛の長さの比較画像と一緒に、以下のような表示で著しいまつ毛の育毛効果が得られるかのように示していたためです。
「たった2週間でこんなにまつ毛が伸びてきた」
参照:消費者庁資料
6. 化粧品の原産国誤表示の措置命令
2019年6月13日、株式会社髙島屋が販売する化粧品や雑貨の原産国の表示が実際の国と異なっていたため、景品表示法第5条第3号の規定に基づく告示である「商品の原産国に関する不当な表示」となり、措置命令が行われました。
例えば、表示された国名が「フランス」だったものが実際は「中国」「韓国」だった、など。
参照:消費者庁資料
まとめ
化粧品の誇大広告は長年の問題で、薬機法や景品表示法の規制はますます厳しくなっています。
景品表示法違反の場合には、措置命令で公表され、課徴金を受ける可能性があり、薬機法違反の場合には逮捕もありえます。
化粧品の広告やアフィリエイトなどには十分に注意しましょう。
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