健康食品の販売に許可や届出は必要?法律と販売方法

健康食品の販売に許可や届出は必要?法律と販売方法

健康食品ビジネスをしたいと思ったときに、健康食品を販売するためにはどんな許可や届出が必要なのか、どんな法律が関係するのか気になりますよね。

それぞれ詳しく説明しますので参考にしてください。

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目次

健康食品とは?

健康食品とは、医薬品以外で健康の維持や増進に役立つものとして販売されたり、健康効果を期待して摂取されている食品全般のことを指します。法律上の定義はありません。

例えば、いかにも健康効果を意識した商品もあれば、健康に良いという訴求を特にしていない加工食品なども含まれます。

健康食品の販売に許可や届出は必要?

すでに完成しているパッケージの健康食品を販売するだけであれば、特に許可や届出は必要ありません。

ただ、自分で企画した健康食品を製造して販売したいとなると、注意すべき規制や許可・届出が必要な場合があります。

例えば、食品の安全性の確保のために食品衛生法があり、営業許可が必要な業種があります。また、食品の安全性や合理的な選択の機会の確保のために食品表示法があり、食品表示ルールが決められています。

届出等が必要な健康食品の具体例

健康食品の中には、国が定めた安全性や有効性に関する基準を満たした保健機能食品として、次の3つがあります。

・特定保健用食品(個別許可制)
・栄養機能食品(自己認証性)
・機能性表示食品(届出制)

これら3つは一般健康食品と異なり、販売するためには届出や基準などを満たすことが必要です。


参照:消費者庁資料

各保健機能食品の特徴としては以下になります。

特定保健用食品栄養機能食品機能性表示食品
届出必要なし必要
審査ありなしなし

最近の健康食品では、機能性表示食品を発売する企業が増えています。特定保健用食品(トクホ)よりも低い投資金額で開始でき、明確な効果をうたうことができるためです。

機能性表示食品の市場規模は2020年が3,044億円と大きく増えています。(参照:矢野経済研究所

また、商品数においても、2022年に発売された健康食品・保健機能食品の新商品のうち機能性表示食品は全体の57.5%という調査もあります。(参照:健康博覧会

健康食品に関連する法律6個

健康食品を製造・販売するにあたっては様々な法律が関係します。その中から代表的なものを紹介します。

食品衛生法

食品衛生法は、食品の安全性を確保するための法律です。食品と添加物などの基準、表示、検査などが規定されています。

食品衛生法で許可が必要な業種には以下があります。

分類業種
調理業・飲食店営業・調理の機能を有する自動販売機により食品を調理し、調理された食品を販売する営業
製造業・菓子製造業・アイスクリーム類製造業・乳製品製造業・清涼飲料水製造業・食肉製品製造業・水産製品製造業・氷雪製造業・液卵製造業・食用油脂製造業・みそ又はしょうゆ製造業・酒類製造業・豆腐製造業・納豆製造業・麺類製造業・そうざい製造業・複合型そうざい製造業・冷凍食品製造業・複合型冷凍食品製造業・漬物製造業・密封包装食品製造業・食品の小分け業・添加物製造業
処理業・集乳業・乳処理業・ 特別牛乳搾取処理業・食肉処理業・食品の放射線照射業
販売業・食肉販売業※・魚介類販売業※・魚介類競り売り営業

※包装品の販売のみの場合を除く

参考:食品関係営業許可

食品表示法

食品表示法は、食品の安全性や合理的な選択の機会の確保のために定められた法律です。

食品衛生法、JAS法及び健康増進法の食品の表示に関する規定を統合し、食品の表示に関する包括的かつ一元的な制度として創設され、2015年4月1日に施行されました。

例えば、栄養成分表示やアレルギー表示について定められています。

健康増進法

健康増進法とは、国民の健康増進、栄養改善、現代病予防を目的として定められた法律です。

健康増進法第65条1項では、食品の健康保持増進効果等について虚偽誇大広告を禁止しています。

第六十五条 何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項(次条第三項において「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。

薬機法

薬機法の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。

薬機法は、医薬品や医療機器等の規制を行う法律で、健康食品は対象ではありませんが、病気の治療や予防に役立つことを表示したり、ほのめかしたりしたような場合には、医薬品と判断され、薬機法の規制が及びます。

例えば、健康食品で「〜〜の病気が改善する」「〜〜の症状が良くなる」などの文言を広告で表示した場合には、薬機法違反となります。

薬機法違反を行った場合、最悪逮捕される可能性もあります。

景品表示法

景品表示法の正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」です。

景品表示法は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示の防止、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止に定められています。

例えば、ダイエット商品で「これを食べるだけで!? 1ヶ月でマイナス5キロ」と表示しているような商品は、景品表示法の優良誤認表示となります。

そして景品表示法違反で措置命令を受けた場合、過去3年の売上の3%の金額を、課徴金として納付するように命じられる可能性があります。

特定商取引法

特定商取引法は、事業者による違法または悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とした法律です。

特定商取引法の対象となる類型には以下があります。

類型内容
訪問販売事業者が消費者の自宅等に訪問して、商品や権利の販売又は役務の提供を行う契約をする取引のこと。 キャッチセールス、アポイントメントセールスを含みます。
通信販売事業者が新聞、雑誌、インターネット等で広告し、郵便、電話等の通信手段により申込みを受ける取引のこと。 「電話勧誘販売」に該当するものを除きます。
電話勧誘販売事業者が電話で勧誘を行い、申込みを受ける取引のこと。 電話を一旦切った後、消費者が郵便や電話等によって申込みを行う場合にも該当します。
連鎖販売取引個人を販売員として勧誘し、更にその個人に次の販売員の勧誘をさせる形で、販売組織を連鎖的に拡大して行う商品(権利)・役務の取引のこと。
特定継続的役務提供長期・継続的な役務の提供と、これに対する高額の対価を約する取引のこと。 現在、エステティックサロン、語学教室など7つの役務が対象とされています。
業務提供誘引販売取引「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で消費者を誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引のこと。
訪問購入事業者が消費者の自宅等を訪問して、物品の購入を行う取引のこと。

参照:特定商取引法ガイド

この中の「通信販売」においては、健康食品を含む商品の定期購入トラブルが多いことから、詐欺的な定期購入商法を規制するために、2022年6月1日に改正特定商取引法が施行され、取引の基本的な事項を最終確認画面等で明確に表示することが義務付けられました。

健康食品の販売方法3個

健康食品の代表的な販売方法について説明します。

定期購入の通信販売

定期購入で販売することによって、継続的な売上が見込めるため、広告投資を積極的に行うことができます。定期購入は、インターネットで健康食品やサプリメントを売る場合の代表的な販売方法と言えるでしょう。

広告は、リスティング・SNS・DSP・アフィリエイトなどの様々な媒体に出稿します。

広告は新規顧客を獲得する手段ですが、定期購入の場合は、お客様の継続率も重要です。

お客様の継続率が悪ければ、広告の費用対効果が合わなくなり、赤字になるため、お客様にとって価値のある商品を届けるとともに、継続してもらうためのCRM施策が大切です。

大手ECモールへの出品

大手ECモールも大きな売上をあげるうえで重要です。ただ、競合商品と横並びになるため、商品の内容や値段などが比較検討されやすくなります。

大手ECモールには、Amazon・楽天・Yahooショッピングなどがあります。

企業によっては、大手ECモールには出品せず、自社のECサイトのみで販売しているところもあり、戦略によって変わります。

店頭販売

大手ドラッグストア、スーパーマーケット、コンビニなどの店頭に並べて販売する方法です。大手企業の健康食品は、通信販売だけでなく、店頭でも販売しているケースが多いでしょう。

店舗展開しているビジネスを行っている事業者は、自社の店舗で競合と比較検討されることなく販売することができるのが強みです。

健康食品の輸入販売

健康食品を輸入販売する場合は、医薬品成分が商品に含まれていないか確認することが必要です。

医薬品成分が含まれているものを販売した場合、「無承認無許可医薬品」として薬機法違反となります。

過去に海外の健康食品に医薬品成分が含まれていることを知らずに販売して逮捕された事例もあります。

また、医薬品と思われる形状をしている場合も、国内で販売できないので注意してください。

健康食品の販売で成功する方法3個

健康食品で成功している企業を見て、自社で始めても表面を真似ただけでは失敗する可能性が高くなります。

健康食品の販売で成功する方法について説明します。

1. 顧客の徹底的なリサーチを行う

年齢・悩み・用途など、どんな人がどんなことで悩んでいてどんなときに使用するのか、といった顧客の調査を徹底的に行うことが大切です。

どんな生活で、どんなことを求めていて、どんな訴求や言葉が響くのか、といった詳細が明確になってくれば、商品戦略だけでなく、マーケティング戦略まで立てやすくなります。

また調べていくうちに、既存の商品で満たされない悩みが見つかるかもしれません。そういったことが分かれば、売れる商品が作れるようになります。

2. 競合調査をする

競合になる商品にはどんな商品があり、どんな成分がどのくらい含まれているのか、商品パッケージや広告戦略はどのようなことを行っているのか調査しましょう。

競合に隙がなく、自社の企画している商品に勝てるポイントがない場合は、そのまま販売しても難しいことがわかります。そして、勝つためにはどうすればいいかが分かるでしょう。

例えば、競合より成分量を多くする、成分の種類を増やす、訴求ポイントを変える、などが考えられます。

3. 販売戦略を調べて考える

商品の特性に合った販売戦略を考えましょう。ターゲットが違えば、広告で伝えるメッセージや、出稿する媒体が変わります。

商品の特性とすべての媒体のメッセージなどが一貫していることで、顧客に正しく商品のことを伝えることができ、売りやすくなります。

最近は、SNSの種類も多く、様々な媒体で商品のことをチェックして購入するユーザーが増えています。一貫した内容が伝わるようにコントロールすることが大切です。

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まとめ

健康食品は、役に立つ商品を届けることも大切ですが、食品であるため、お客様の健康を害さないように成分や衛生面にも細かい配慮が必要です。

まずは安全な商品であることを確認したうえで、商品を届けるようにしましょう。

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