血行促進という表現はよく見かけますが、薬機法上使用できるのでしょうか。
血行促進というキーワードと薬機法の関係について解説します。商品別のOK・NGの基準を確認してください。
⇒無料PDFプレゼント「薬機法OK・NG表現がわかる具体例集148個」
血行促進の意味とは?
血行促進とは、体内の血液の巡りを良くすることを意味します。
血行不良は、様々な体調不良にもつながるため、「血行促進」というキーワードが広告などで使われるケースはよく見られます。
ちなみに血行と血流の違いですが、「血行」は血液が体内を循環することを意味するのに対し、「血流」は血管内に血液が流れることを意味します。
血行促進は化粧品の広告表現で使える?
化粧品の効能効果で表現できるのは、次の56個です。血行促進はその範囲を逸脱しているため、表現できません。
化粧品の効果効能の範囲 |
---|
(1) 頭皮、毛髪を清浄にする。 (2) 香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。 (3) 頭皮、毛髪をすこやかに保つ。 (4) 毛髪にはり、こしを与える。 (5) 頭皮、毛髪にうるおいを与える。 (6) 頭皮、毛髪のうるおいを保つ。 (7) 毛髪をしなやかにする。 (8) クシどおりをよくする。 (9) 毛髪のつやを保つ。 (10)毛髪につやを与える。 (11)フケ、カユミがとれる。 (12)フケ、カユミを抑える。 (13)毛髪の水分、油分を補い保つ。 (14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。 (15)髪型を整え、保持する。 (16)毛髪の帯電を防止する。 (17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。 (18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。 (19)肌を整える。 (20)肌のキメを整える。 (21)皮膚をすこやかに保つ。 (22)肌荒れを防ぐ。 (23)肌をひきしめる。 (24)皮膚にうるおいを与える。 (25)皮膚の水分、油分を補い保つ。 (26)皮膚の柔軟性を保つ。 (27)皮膚を保護する。 (28)皮膚の乾燥を防ぐ。 (29)肌を柔らげる。 (30)肌にはりを与える。 (31)肌にツヤを与える。 (32)肌を滑らかにする。 (33)ひげを剃りやすくする。 (34)ひげそり後の肌を整える。 (35)あせもを防ぐ(打粉)。 (36)日やけを防ぐ。 (37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。 (38)芳香を与える。 (39)爪を保護する。 (40)爪をすこやかに保つ。 (41)爪にうるおいを与える。 (42)口唇の荒れを防ぐ。 (43)口唇のキメを整える。 (44)口唇にうるおいを与える。 (45)口唇をすこやかにする。 (46)口唇を保護する。 口唇の乾燥を防ぐ。 (47)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。 (48)口唇を滑らかにする。 (49)ムシ歯を防ぐ(※)。 (50)歯を白くする(※)。 (51)歯垢を除去する(※)。 (52)口中を浄化する(歯みがき類)。 (53)口臭を防ぐ(歯みがき類)。 (54)歯のやにを取る(※)。 (55)歯石の沈着を防ぐ(※)。 (56)乾燥による小ジワを目立たなくする。 (※使用時にブラッシングを行う歯みがき類) |
血行促進は健康食品の広告表現で使える?
血行促進は、身体の組織機能の一般的増強・増進を主たる目的とする効果に該当します。
つまり、医薬品的効能効果になるため、健康食品やサプリメントで「血行促進」を表現した場合、薬機法違反になります。
血行促進は浴用剤(医薬部外品)の広告表現で使える?
浴用剤・入浴剤(医薬部外品)で、血行促進というワードが使えるかどうかですが、場合によって使用することができます。浴用剤(医薬部外品)の表示については厚生労働省から通知が出ています。
<NG表現>
・血行促進薬用入浴剤
・入浴感グラフで血行促進効果を示す
・血行促進効果のある有効成分配合
<OK表現>
・「有効成分(生薬・炭酸ガス等)が、温浴効果を高めて、血行促進・新陳代謝を活発化する」のように、温浴効果(入浴効果)による旨を必ず併記する
血行促進は育毛剤の広告表現で使える?
通常の育毛剤(医薬部外品)の効能効果は次のとおりです。
厚生労働省が承認した有効成分が含まれている場合には、血行促進という表現を使うことができます。
血行促進は健康器具の広告表現で使える?
健康器具の中でも、指圧代用器(単に突起物やてこ等を応用し背筋等にあてて指圧する器具類)であれば、次に紹介する効能効果の範囲内でのみ、医療機器の承認や許可を得ていなくても、表現できます。
(1)あんま、指圧の代用(読みかえはしない。)
(2)健康によい
(3)血行をよくする
(4)筋肉の疲れをとる
(5)筋肉のこりをほぐす
つまり、指圧代用器であれば、血行促進をうたうことができます。
血行促進はサポーターの広告表現で使える?
サポーターが、雑貨に該当する場合は、基本的に血行促進を表現することはできません。
医療機器であれば、表現することができます。
その他、血行促進のエビデンスがあれば、雑貨でもうたえる可能性があります。
血行促進は美容機器の広告表現で使える?
美顔器などの美容機器が、雑貨に該当する場合は、血行促進を表現することはできません。
薬機法上の分類を確認するようにしてください。そして医療機器だった場合には、承認された効能効果の範囲に注意が必要です。
血行促進は医療機器の広告表現で使える?
医療機器であれば、血行促進を表現することが可能です。
例えば、令和4年には一般医療機器として「家庭用遠赤外線血行促進用衣」が新設されました。
「家庭用遠赤外線血行促進用衣」とは、血行改善による疲労回復等を行う目的で使用する、体熱等を伝導及び吸収し、一定程度の遠赤外線として放出する機能を持たせた衣類形状の医療機器のことです。
このような商品では、血行促進を表現できます。
血行促進の言い換え表現は?
◯化粧品の場合
「肌の血行促進」⇒「肌の健康をサポート」
◯サポーターの場合
「足の血行促進」⇒「足の負担や動きをサポート」
◯美顔器の場合
「顔の血行促進」⇒「顔の肌にハリを与える」
まとめ
血行促進は様々な美容健康商品でよく使われがちな表現ですが、使っていい場合と使ってはいけない場合があります。
広告表現を制作する場合は、その商品が使っていい場合なのかを確認するようにしてください。
コメント