コロナウイルスによって注目度が大きく上がっている効能効果である「免疫力」。商品として表現できれば、売上に大きく寄与しそうなため、使いたいところですよね。
免疫力アップは薬機法(旧薬事法)違反にならずに、広告表現として使えるのかどうか詳しく説明します。
免疫力とは?
免疫力とはウイルスや細菌から体を守る防御力のことです。
免疫力アップは薬機法で違法?
「免疫力アップ」「免疫力を高める」「免疫力を上げる」。このような表現は、人の身体構造または機能に影響を及ぼす効果と言えるため、医薬品的効能効果となります。
そのため、医薬品ではない食品やサプリメントで「免疫力アップ」と表現することは薬機法第68条の違反となります。第68条の文言は以下のとおりです。
(承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止)
第六十八条 何人も、第十四条第一項、第二十三条の二の五第一項若しくは第二十三条の二の二十三第一項に規定する医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、まだ第十四条第一項、第十九条の二第一項、第二十三条の二の五第一項、第二十三条の二の十七第一項、第二十三条の二十五第一項若しくは第二十三条の三十七第一項の承認又は第二十三条の二の二十三第一項の認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。
薬機法の医薬品の定義は以下です。薬機法第2条に書かれています。
第二条 この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。
一 日本薬局方に収められている物二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)
医薬品の種類についてはこちらを参考にしてください。
免疫力は食品で全く表現できない?
免疫力について健康食品やサプリメントで全く表現できないかというとそうではありません。
「免疫力アップ」は違法ですが、「免疫力を維持する」は表現として使うことができます。
ただ、どんな商品でも使うことができるわけではありません。
免疫力について表現可能な商品の具体例をいくつか紹介します。
キリンiMUSE(イミューズ)水
キリンビバレッジが販売する「iMUSE水」です。商品パッケージにも大きく「免疫機能の維持をサポート」を書かれています。機能性表示食品として届出が出ています。
この機能性の根拠となる成分は「プラズマ乳酸菌」です。
プラズマ乳酸菌は、キリングループが特許を取得している乳酸菌です。そのため、他の企業ではこれを使うことはできません。
その代わり、キリンはプラズマ乳酸菌を原料として販売しているため、キリンから購入すれば、プラズマ乳酸菌を使った商品を販売することができます。
iMUSEの安全性やシステマティックレビューが見たい人はこちらのページです。
免疫サポートチュアブルタイプ
ファンケルが販売する「免疫サポートチュアブルタイプ」です。商品パッケージには「免疫機能の維持を助ける」と書かれています。こちらも機能性表示食品です。
さらに、根拠となる成分はこちらも「プラズマ乳酸菌」です。
ファンケルは、キリンと資本業務提携しており、キリンのプラズマ乳酸菌を利用した商品だと思われます。
免疫サポートの安全性やシステマティックレビューが見たい人はこちらのページです。
まとめ
インターネットのサイトを見ると、免疫力アップと表現する健康食品やサプリメントが少し探しただけでもいくつか見つけることができました。
2021年8月からは薬機法でも課徴金が始まります。そうなると大手企業の課徴金事例が出てくるかもしれません。薬機法違反は企業の業績に大きくかかわるので、注意が必要です。
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