近年、色んな種類の口紅やリップが販売されていて、季節の新色や流行色に敏感な女性は多いと思われます。また乾燥する季節にリップクリームは必需品であり、男女問わず携帯している方も多いのではないでしょうか。
テレビCMや雑誌だけでなく、インターネット広告でも口紅やリップがよく広告で出ています。今回は、口紅やリップの広告規制やキャッチコピーについて分かりやすく解説します。
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口紅・リップ系商品の種類
近年、口紅やリップ系商品の種類が豊富になっていますが、基本の種類は以下のとおりとなります。
リップスティック | スティック型の口紅で、一般的にイメージされる口紅の形です。発色がよく、きちんと感を出したいときにおすすめのアイテムです。またアイテム数が多いので、自分に合ったものや好みのものを見つけやすいと思われます。 |
リップグロス | リップグロスは、唇にツヤとうるおいを与えるアイテムです。基本的に、色は薄付きで透明感のあるものが多いので、色を出したい場合はリップスティックなどと併用するのがおすすめです。 |
リキッドルージュ | リップスティックにリップグロスがプラスされたようなアイテムです。1本で発色良く、うるおいのある唇に仕上げたい方におすすめのアイテムです。 |
ティントリップ | リップティントは、唇そのものを色付けるため色落ちしにくいのが特徴のアイテムです。長時間発色を持続させたい方におすすめです。 |
リップクリーム | リップクリームは、保湿成分が入ったアイテムで、唇に塗ることで潤いを保つことができます。基本的には無色透明ですが、色付きのリップクリームもあり、1本で唇を仕上げることもできます。 |
口紅・リップ系商品の薬機法分類
口紅・リップ系商品は、薬機法分類でいくつかに分かれています。具体的には以下の3つです。
・薬用化粧品(医薬部外品)
・医薬品
どれに分類されるかで広告で表現できる内容が異なります。広告を制作する際には、どれに該当する商品なのか確認しましょう。
化粧品の口紅・リップの広告可能表現
薬機法上「化粧品」に分類される口紅やリップの効果として認められるのは、化粧品で認められている効能効果56個のうち以下の表現です。
(42)口唇の荒れを防ぐ。
(43)口唇のキメを整える。
(44)口唇にうるおいを与える。
(45)口唇をすこやかにする。
(46)口唇を保護する。 口唇の乾燥を防ぐ。
(47)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
(48)口唇を滑らかにする。
※化粧品で表現できる効能効果56項目はこちらを参考にしてください。
これらの効果を逸脱しない広告表現であれば使用できます。例えば、「乾燥した唇にうるおいを」、「プルンとうるおう唇」などの表現であればOKです。
また、メーキャップ効果であれば、「(色彩効果により)唇の縦ジワが目立たなくなる」などの表現はOKです。
一方で、注意すべきなのが、「血行促進効果」などの医薬品的効能効果への言及です。こういった医薬品的効能効果にかんする表現は、薬機法違反となります。例えば、「唇の血行を良くし、縦ジワを目立たなくする」などの表現はNGとなります。
他には、リップグロスなどの効果で、「唇にうるおい成分を浸透させる」といった浸透表現をする場合は、肌への浸透表現と同様で、必ず「※角質層まで」と記載する必要があります。
さらに、メーキャップ効果であっても、「縦ジワが消えて無くなる」など、効果が確実であるかのような表現はNGとなります。
医薬部外品のリップ商品の広告表現
口紅やリップの医薬部外品の場合、承認された効能効果の範囲内であれば、効果を広告で表現できます。医薬部外品は、病気の発生の防止を目的としたものです。
具体的な商品でどんな効能効果が表現されているのか確認します。
◯メンソレータム 薬用リップジェリー(ロート製薬)
「ビタミンE誘導体やメントールなど各種有効成分の働きで、血行を促進し、寒さや乾燥・紫外線でいたみがちな唇にうるおいをあたえます。」
「密着コート処方。唇内部の潤いをしっかり閉じこめながら、ぴったり密着し続けます。潤い成分(セラミド機能成分※)が唇の角層に浸透し、乾燥などの外部刺激から保護します。唇の荒れ・ひび割れを防ぎます。消炎剤(有効成分)配合。」
医薬品のリップ商品の広告表現
医薬品も、審査を受けて承認された効能効果の範囲内であれば、表現可能です。医薬品は病気の治療を目的としたものです。
具体的な商品を確認してみましょう。
「荒れた唇を治療し、しっとりなめらかにする医薬品のリップです。アラントインが荒れた唇の修復を促進し、ビタミンB6(ピリドキシン塩酸塩)が皮フの新陳代謝を促すのでひびわれに効果的。」
この商品は、第3類医薬品に分類されています。
医薬品の種類について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
口紅・リップ商品のキャッチコピー具体例
商品名 | キャッチコピー |
リップモンスター(ケイト) | つけたての色がそのまま持続。落ちにくい口紅 |
リップ マキシマイザー(ディオール) | 瞬時に唇をボリュームアップする |
リップティント N(オペラ) | 透けるキレイ色。落ちずに続く |
ヴィジョナリー ジェルリップスティック(資生堂) | ほんのりつやのあるクリアな発色 |
ニベア ディープモイスチャーリップ(花王) | ひと塗りでしっかり潤う。高保湿・ツヤ続くリップクリーム。 |
薬機法違反した場合の罰則
薬機法第66条の誇大広告等に違反した場合の罰則は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはこれを併科です。
そして、措置命令や課徴金納付命令のおそれもあります。
措置命令
措置命令は、薬機法第72条の5、に定められており、違反広告の中止や再発防止などを求められます。
<対象>
・第66条第1項
・第68条
<具体例>
・違反したことを関係者及び消費者に周知徹底すること
・再発防止策を講ずること
・その違反行為を将来繰り返さないこと
など
課徴金納付命令
課徴金納付命令は、薬機法第75条の5の2、に定められており、課徴金の納付が求められます。
・第66条第1項
<課徴金の金額>
・課徴金対象期間の商品売上の4.5%(最長3年間)
・225万円未満の場合は課徴金なし
<減額>
・同一事案に対し、景品表示法の課徴金納付命令がある場合
⇒3%を減額して1.5%
・自ら報告した場合は、50%相当額を減額
まとめ
口紅やリップも他の化粧品などと同様に薬機法の規制を受けます。色んなキャッチコピーのアイテムがありますが、表現できる効能効果は限られていますので、広告を行う際は注意してください。
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