医薬品の種類分類一覧!定義・違い・特徴は?

日頃ドラッグストアや保険薬局を利用する際に、医師などから処方される薬やドラッグストアに置いてある薬のパッケージや棚には分類がされているのを目にしたことがあると思います。

どう違うのか気になったことはありませんか?医薬品には細かく区分されてわかりづらいですのでまとめていきたいと思います。

目次

医薬品の定義と大きな分類

医薬品の定義

医薬品の定義は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以後薬機法とする)の第2条第1項に記されています。

①日本薬局方に収められているもの
②人または動物の疾病の診断、治療または予防に使用されることが目的とされているものであって、機械器具等でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く)
③人または動物の身体構造または機能に影響を及ぼすことが目的とされているものであって、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く)

2種類の医薬品

そして、医薬品は医療用医薬品一般用医薬品の2種類に分けられます。

医療用医薬品には処方箋医薬品と処方箋医薬品以外の医療用医薬品に分類されています。

一般用医薬品は、「医薬品のうち、その作用及び効果において人体に対する作用が著しくないものであって、薬剤師その他の医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択により作用されることが目的とされているもの」と規定されています。ここで言うその他の医薬関係者とは登録販売者を指します。作用が緩和で、安全性の比較的高いものが選ばれています。

一般用医薬品の薬効別分類

一般用医薬品を薬効別に分類すると以下のようになります。

①精神神経薬:風邪薬(内用・外用)、解熱鎮痛薬、催眠鎮静薬、眠気防止薬、鎮暈薬(乗り物酔い、悪阻用薬など)小児鎮静薬など

②消化器官用薬:ヒスタミンH2受容体拮抗薬含有薬、制酸薬、健胃薬、整腸薬、消化薬、胃腸鎮痛鎮痙薬、止瀉薬、瀉下薬、浣腸薬、駆虫薬

③循環器・血液用薬:強心薬(センソ含有製剤など)、血管補強薬、動脈硬化用薬(リノール酸、レシチン主薬製剤など)、貧血用薬など

④呼吸器官用薬:鎮咳去痰薬、含嗽薬

⑤泌尿生殖器官及び肛門用薬:内用痔疾用薬、外用痔疾用薬

⑥滋養強壮保健薬:ビタミン主薬製剤、カルシウム主薬製剤、タンパク・アミノ酸主薬製剤、生薬主薬製剤、薬用酒など

⑦女性用薬:婦人薬、避妊薬など

⑧アレルギー用薬:抗ヒスタミン薬主薬製剤など

⑨外皮用薬:殺菌消毒薬、化膿性疾患用薬、鎮痛・鎮痒・収斂・消炎薬、外用湿疹・皮膚炎用薬、みずむし・たむし用薬、皮膚軟化薬、毛髪用薬など

⑩眼科用薬:一般点眼薬、抗菌性点眼薬

⑪耳鼻科用薬:鼻炎用内服薬、鼻炎用点鼻薬、点耳薬など

⑫歯科口腔用薬:口腔咽喉薬(せき、たんを標榜しないトローチ剤含む)口内炎用薬、歯痛・歯槽膿漏薬など

⑬禁煙補助薬:禁煙補助薬

⑭漢方製剤:漢方製剤

⑮生薬製剤:生薬製剤

⑯公衆衛生用薬:消毒薬、殺虫薬

⑰一般用検査薬:尿糖、尿たんぱく、妊娠検査薬

⑱その他

医薬品の種類分類一覧を図解で解説

言葉だけではイメージしづらいため、図解で紹介します。医薬品と一言で言ってもこのように細かく分類されています。

一般用医薬品は、OTC医薬品とも呼ばれます。この記事の後半で紹介している医薬部外品は、医薬品には含まれません。

医療用医薬品とは

医療用医薬品は処方箋医薬品、処方箋医薬品以外の医療用医薬品に分けられています。

処方箋医薬品は薬機法第49条に、
「薬局開設者又は医薬品の販売業者は、医師、歯科医師又は獣医師から処方箋の交付を受けたもの以外に対して、正当な理由なく、厚生労働大臣の指定する医薬品を販売し、又は授与してはならない。ただし、薬剤師等に販売し、又は授与するときは、この限りでない。」
と規定されています。

医療用医薬品は医師の指示や処方箋によって使用されていますが、全てが処方箋医薬品ではありません。その理由として、一般用医薬品の中にも医療用医薬品と同一の成分である医薬品が数多くあるためです。

具体的には胃腸薬、消化酵素薬、ビタミン剤、アスピリンなどの鎮痛剤がありますが、医療用医薬品にも不可欠なので、医療用医薬品の中でも特に薬理作用が強い、あるいは副作用に注意が必要、注射剤のような手技が必要な薬剤、医師の診断や治療が不可欠な疾患に対する医薬品を処方箋医薬品と指定しています。

つまり処方箋医薬品以外の医療用医薬品は、作用が緩和なため、処方箋医薬品ではなくとも医療用医薬品であるため、処方箋によって交付されるべきもの、とされています。

要指導医薬品とは

要指導医薬品とは、次の要件を満たすものです。

a)その効能及び効果において人体に対する作用が著しくないもの、かつ
b)薬剤師その他の医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択により使用されることが目的とされているもの、かつ
c)その適正な使用のために薬剤師の体面による情報の提供および薬学的知見に基づく指導が行われることが必要なものとして厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するもの

a)とb)は一般医薬品の要件と同じものです。

つまり、一般用医薬品の中で薬剤師の対面による情報提供、指導が必要なものとして厚生労働大臣が指定する医薬品のことです。

どのような医薬品が該当するかというと、
1.申請にかかる医薬品、医薬部外品又は化粧品が既に製造販売の承認を与えられている医薬品、医薬部外品又は化粧品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果が明らかに異なるもの
2.1に掲げる医薬品の有効成分、分量用法用量効能効果などが同一性を有すると認められた医薬品であって、承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの
3.毒薬に指定されている医薬品
4.劇薬に指定されている医薬品

次に説明する第1類医薬品と要指導医薬品の違いですが、要指導医薬品は薬剤師の体面による情報提供及び薬学的知見に基づく指導が行われることが必要かどうかを薬事・食品衛生審議会に諮問し、必要であれば要指導医薬品、必要でなければ第1類医薬品となることもあります。

また、要指導医薬品は調査期間が終了した時点で要指導医薬品の指定から外され一般用医薬品に移行し、まずは第1類に区分されます。

一般用医薬品とは

一般用医薬品は基本的には作用が緩和な医薬品ですが、リスクがないわけではありません。中には稀ではありますが重篤な副作用の発現の報告があるものもあるため、リスクの程度を勘案して3つの区分を設けています。

<第1類医薬品>
①副作用などにより日常生活に支障をきたす程度の健康被害を生ずるおそれがある医薬品のうちその使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するもの
②承認の申請に際して第14条第8項に該当するとされた医薬品であって当該申請にかかる承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの

<第2類医薬品>
その副作用等により日常生活に支障をきたす程度の健康被害が生ずる恐れがある医薬品(第1類医薬品を除く)であって厚生労働大臣が指定するもの

<指定第2類医薬品>
第2類医薬品のうち、特別の注意を要するものとして厚生労働大臣が指定するもの

<第3類医薬品>
第1類医薬品及び第2類医薬品以外の一般用医薬品

リスクが高い順に、第1類医薬品、指定第2類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品となります。

医薬部外品とは

医薬部外品は、薬機法第2条第2項で、このように定義されています。

一 次のイからハまでに掲げる目的のために使用されるものであって、人体に対する作用が緩和なものをいう。
イ 吐き気その他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
ロ あせも、ただれ等の防止
ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛

二 人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用されるもの(この使用目的の他に、合わせて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用するものを除く。)であって機械器具等でないもの。

三 前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用されるもの(前二号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの。

具体的にどのような製品があるかですが、口中清涼剤、腋臭防止剤、てんか粉類、育毛(養毛)、除毛剤、忌避剤、殺虫剤、殺鼠剤、衛生綿類、染毛剤、パーマネントウェーブ用剤、薬用化粧品、薬用歯磨き粉、入浴剤、ソフトコンタクトレンズ用消毒剤、外皮消毒剤、傷消毒保護剤、ひび・あかぎれ用剤、のど清涼剤、健胃清涼剤、ビタミン剤などがあります。

薬を販売する専門家

店舗販売業、配置販売業者は、薬剤師若しくは登録販売者を置くことが義務付けられています。

登録販売者とは

登録販売業者は平成21年施行の薬事法改正により設けられました。
登録販売者の規定は薬機法第4条第5項第一号により、第36条の8第2項の登録を受けた者をいう、と規定され、そこには、

都道府県知事は、一般用医薬品の販売又は授与に従事しようとするものがそれに必要な資質を有することを確認するために、厚生労働省令で定めるところにより試験を行う。
2 前項の試験に合格した者又は第二類医薬品及び第三類医薬品の販売若しくは授与に従事するために必要な資質を有するものとして政令で定める基準に該当するものであって、医薬品の販売又は授与に従事しようとするものは、都道府県知事の登録を受けなければならない。

つまり、登録販売者は、登録販売者試験に合格し、都道府県知事の登録を受けた人のことをいいます。

登録販売者の試験

登録販売者試験は、各都道府県で実施され、受験者は自分の希望する都道府県で申請し、受験することができます。試験内容、受験手続については薬機法施行規則第159条の3及び平成19年8月8日薬食総発第0808001号医薬食品局総務課長通知「登録販売者実施要領」により定められています。

薬剤師とは

薬剤師は厚生労働大臣の免許を受けることでなることができる国家資格です。
薬剤師法第一条に薬剤師の任務が規定されています。

第一条  薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。

薬剤師の試験

受験資格は平成28年度のもので以下の通りです。

次のいずれかに該当する者
1 薬剤師法第15条第1号の規定に基づく受験資格
学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく大学において、薬学の正規の課程(学校教育法第87条第2項に規定するものに限る。)(以下「6年制薬学課程」という。)を修めて卒業した者(平成29年3月23日(木曜日)までに卒業する見込みの者を含む。)

2 薬剤師法第15条第2号の規定に基づく受験資格
外国の薬学校を卒業し、又は外国の薬剤師免許を受けた者で、平成24年4月1日以降に、厚生労働大臣が(1)に掲げる者と同等以上の学力及び技能を有すると認定した者

3 薬剤師法の一部を改正する法律(平成16年法律第134号。以下「改正法」という。)附則第2条及び第3条の規定に基づく受験資格
ア 改正法の施行日(平成18年4月1日。以下「施行日」という。)において、改正法による改正前の薬剤師法(以下「旧薬剤師法」という。)第15条第1号に該当する者
イ 施行日において、旧薬剤師法第15条第2号に該当する者
ウ 施行日前に学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。以下同じ。)に在学し、施行日以後に旧薬剤師法第15条第1号に規定する要件に該当することとなった者(施行日以後に学校教育法に基づく大学に入学し、当該大学において、薬学の正規の課程(学校教育法第87条第2項に規定するものを除く。)(以下「4年制薬学課程」という。)を修めて卒業した者を除く。)
エ 平成18年度から平成29年度までの間に学校教育法に基づく大学に入学し、4年制薬学課程を修めて卒業し、かつ、学校教育法に基づく大学院(以下「大学院」という。)において薬学の修士又は博士の課程を修了した者であって、厚生労働大臣が、薬剤師法の一部を改正する法律附則第3条の規定に基づく厚生労働大臣の認定に関する省令(平成16年厚生労働省令第173号)第1条の規定に基づき、改正法による改正後の薬剤師法(以下「新薬剤師法」という。)第15条第1号に掲げる者と同等以上の学力及び技能を有すると認定した者

販売方法の注意点

一般用医薬品を販売する際、区分に応じて販売に従事する者が定められています。
薬機法第36条の3に
薬局開設者は厚生労働省令で定めるところにより、薬局医薬品につき、薬剤師に販売させ、又授与させなければならない。

第36条の5に
薬局開設者又は店舗販売業者は、厚生労働省令で定めるところにより、要指導医薬品につき、薬剤師に販売させ、又は授与させなければならない。

第36条の9に
薬局開設者、店舗販売業者又は配置販売業者は、厚生労働省令で定めるところにより、一般用医薬品につき、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める物に販売させ、又は授与させなければならない。
一 第一類医薬品 薬剤師
二 第二類医薬品及び第三類医薬品 薬剤師又は登録販売者
と規定されています。

まとめますと、薬剤師はすべての医薬品を販売できますが、登録販売者は一般用医薬品の第2類医薬品、第3類医薬品に限定されています。

インターネットによる医薬品販売

平成26年施行の薬事法改正のより、一般用医薬品のインターネット販売が解禁されました。インターネットによる医薬品販売は特定販売と呼ばれ、薬機法施行規則第一条第2項に記されています。

特定販売は薬局医薬品及び要指導医薬品については認められず、一般用医薬品及び薬局製剤販売医薬品(毒薬、劇薬除く)のみ認められます。そして、この特定販売は実店舗を持つ薬局、店舗販売業に限り認められています。

つまり、店舗を持たず、コンピューター画面上のバーチャル薬局では販売することは認められていません。

これは一般の商品とは異なり、医薬品は人体に影響を与えるため、安全性を担保するためです。

⇒関連記事:医薬品のインターネット販売にかんする法律・ルール[改正薬事法]

各分類の有名な医薬品

処方箋医薬品

・クラリス錠:成分名はクラリスロマイシンというマクロライド系の抗生物質です。細菌感染症に広く使用します。
・チラーヂンS:成分名はレボチロキシンという甲状腺機能機能低下症、粘液水腫、クレチン病、甲状腺腫に使用されます。

処方箋以外の医療用医薬品

・メチコバール:ビタミン製剤です。肩こり、神経炎などに使用します。
・ロキソニン錠:成分はロキソプロフェンです。頭痛、解熱剤、鎮痛剤として使用します。

要指導医薬品

クラリチンEX:医療用のクラリチン錠と同量配合されているスイッチOTCです。眠くなりにくい抗ヒスタミン薬で、花粉症などのアレルギー性鼻炎などに使用します。
エパデールT:成分はイコサペント酸エチルで、境界領域の中性脂肪値を改善します。イコサペント酸エチルとして600mg配合されています。

一般用医薬品

<第一類医薬品>
・ロキソニンS:ロキソニンのスイッチOTCで医療用医薬品のロキソニン錠と同一成分ですが、1日の使用回数が2回までと制限があります。
・リアップ:成分はミノキシジルで発毛効果があります。

<第二類医薬品>
・アレグラFX:抗ヒスタミン薬です。スイッチOTCで医療用医薬品のアレグラ錠60mgと同一成分です。花粉症などのアレルギー症状を緩和します。
・アレジオン10:抗ヒスタミン薬でこちらもスイッチOTCです。医療用医薬品のアレジオン錠10mgと同一成分となっています。こちらも花粉症、アレルギー性鼻炎などの症状を緩和します。

<指定第2類医薬品>
・イブ:成分はイブプロフェンです。頭痛、生理痛、関節痛などの鎮痛作用や解熱作用があります。
・新エスタックW:アセトアミノフェン、サリチルアミド含有の解熱鎮痛剤です。

<第三類医薬品>
・ハイチオールCホワイティア:成分はL-システインというアミノ酸で、シミ、そばかすの治療効果のある医薬品です。
・スルーラックデルジェンヌ:成分は酸化マグネシウムで、腸の水分を増やすことで排便を促す効果のある医薬品です。

まとめ

医薬品は薬機法で細かく規定されており、詳細は省きましたがそれでも分かりづらい点があるかもしれません。

医薬品にはリスクがありますので、リスクに応じて販売方法に制約が課されています。年々スイッチOTCが増えてきており、セルフメディケーションの推進を後押ししていますが、消費者にも使用するために知識が必要となってきますので分からないことがありましたら薬剤師、登録販売者にお尋ねください。

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