医薬品の転売は違法?医薬部外品や目薬の転売は?

「花粉症の季節に買った薬が余ってしまってので売りたい」
「医師から薬をもらったけどもう治ったので不要」

そのような場合に、どうせ捨てるならフリマアプリ(メルカリやラクマ)やAmazon、ヤフオクなどで転売したい、そう思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、薬を転売することは「薬機法(旧薬事法)」という法律で厳格に規制されています。転売する前に、合法なのかどうか、注意点としては何があるのか、について確認していきましょう。

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目次

医薬品の転売は合法?違法で禁止?

医薬品の転売は法律で禁止されているため、違法行為になります。

根拠法として「薬機法24条」が挙げられます。

薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として、医薬品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列(配置することを含む。以下同じ。)してはならない。

つまり、医薬品を売れるのは、医薬品販売の許可を受けた人に限り、その場所も薬局やドラッグストア(+インターネット薬局)でないといけないことになります。個人が転売することは認められません。

この法律に違反すると「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金」を受ける可能性があります。決して軽い罪ではないことが分かります。

医薬部外品の転売は合法?違法?

一方で医薬部外品については合法です。余った制汗剤を売ったり、リポビタンDを安く仕入れて転売したりしても法に触れることはありません。

ただし、すべての医薬部外品を自由に転売できるかというとそうではありません。輸入した医薬部外品を転売する場合、自分で医薬部外品を製造して販売する場合は、厚生労働省から医薬部外品製造販売業許可を受けることが必要になります。

薬局等で購入した国内の医薬部外品の転売は可能、しかし勝手に自作したり、輸入転売したりすることはNGだと知っておいてください。

薬機法の医薬品とは?種類と見分け方は?

そもそも「医薬品」とは何なのか、ここで確認しておきましょう。

「薬機法」(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)(旧薬事法)という法律の中で、医薬品(薬)とそれ以外の医療用の商品、化粧品等について定めがあります。

薬機法で定められている「医薬品」とは、人の病気やけがを「治療」するための薬です。具体的には

(1)医療用医薬品(医師の処方箋をもらって調剤薬局でもらう薬や院内処方でもらう薬)
(2)要指導医薬品(処方箋や医師の診察はいらないが、薬局で薬剤師と対面で話してもらう薬)
(3)一般用医薬品(いわゆる「市販薬」薬局やドラッグストア、ネット通販で購入ができる)

の3つに分けられます。

一般用医薬品はさらに「第一類医薬品」「第二類医薬品」「第三類医薬品」に分類され、前者ほど効果が強く、第一類医薬品は薬剤師と対面ないしメール等でやり取りをして許可を得ることが必要で、薬剤師がいないお店、時間では購入することができません。

インターネット薬局(Amazonなど)でも、第一類医薬品は、第二類医薬品と第三類医薬品とは異なり、薬剤師からのメールや質問に答える必要があります。

これらの「医薬品」は市販薬についてはパッケージに『第○類医薬品』という記載があるのでわかるはずです。また、処方薬については言うまでもなく病院や薬局経由でもらうので「医薬品」ということは分かりますよね。

「医薬品」とパッケージに書いてあるもの、病院経由でもらったものは医薬品だと思ってください。

医薬部外品とは?

一方、薬局やドラッグストアで購入できるもので薬効がありそうなものでも「医薬部外品」というものがあります。これは、「治療」目的ではなく「予防」目的のもので、厚生労働省の認可を得ている商品です。

こちらは、医薬品と同様、パッケージに『(○○)医薬部外品』という記述があります。

具体的には制汗剤、口臭予防剤、一部栄養ドリンク(リポビタンD等の滋養強壮飲料)、脱毛クリーム、一部育毛剤、生理用ナプキンなどが該当します。薬効成分はあるが「医薬品」ほど強くなく、身体に対する効果もマイルドです。

薬局等で売っているものが医薬部外品かどうかは、商品パッケージやシールに『医薬部外品』と記載があるかどうかで判断します。

意外と間違えるのが

・ユンケル黄帝液(第二類医薬品)
・ユンケル滋養液ゴールドα(指定医薬部外品)

同じユンケルでも「医薬品」と「医薬部外品」の商品があります。

また、軽減税率でも話題になったように

・リポビタンD(医薬部外品:食品でないので税率10%)
・オロナミンC(清涼飲料水:食品なので税率8%)

というものもあります。似ていそうな商品でも成分や薬機法上の分類は異なりますので、注意が必要です。

余った薬の転売は?

薬=医薬品の転売が違法ですので、余った薬の転売も当然認められません。特に病院でもらった医師の処方薬を余ったからと言って転売するのは違法です。

市販薬を小分けして販売するのも違法です。「医薬品」である時点で、転売することは違法行為でできないと認識してください。

目薬の転売は?

目薬も「薬」である時点で転売は規制されます。市販されている目薬は「第二類医薬品」か「第三類医薬品」が多く、それらは「医薬品」となりますので、転売できない薬となります。

もちろん医師の処方による目薬が転売できないのは言うまでもありません。

キャラクター(刀剣乱舞やドラゴンボールなど)とコラボした目薬も販売されていて、一種のコレクターグッズとなっていますが、医薬品である時点でフリマアプリなどに出品することはできません。

ただし、箱だけ、薬を除いた容器だけが出品されているフリマアプリもあります。これを「医薬品」と言えるかどうかはグレーゾーンであり、容器に、薬効成分が残っている可能性はゼロではないため、やめておいた方がいいでしょう。

個人輸入した海外医薬品の転売は?

海外医薬品を個人輸入して、自分のために使用するのは問題ありませんが、輸入した海外医薬品を転売すると、薬機法違反です。医薬品には、承認や許可が必要です。

海外医薬品は、国内では承認されないようなものや、健康被害が出るものもあるため、注意が必要です。

医薬品転売の逮捕事例

1. 咳止めの市販薬販売

2023年12月5日、せき止めの市販薬200錠を正規価格の約半額になる5000円で販売していた少女(16歳)が、無許可販売(薬機法違反)で逮捕されました。逮捕された少女は、市販薬の「オーバードーズ(過剰摂取)」を繰り返していて、自身が処方薬でオーバードーズするための費用を稼ぐことが目的だったようです。

2. やせる薬の販売

2023年1月16日、「やせ薬」と称する医薬品を含む薬をインターネットサイトやフリマアプリなどで転売していた静岡県の男性が、医薬品の無許可販売(薬機法違反)で書類送検されました。

まとめ

以上、医薬品と医薬部外品の転売について解説しました。

・医薬品は転売できない、薬機法に違反し違法である
・医師の処方による薬の転売はNG、違法
・医薬部外品は転売可能だが自作のものや輸入品は不可
・医薬品か医薬部外品かはパッケージに書いてある

以上が要点になります。

「医薬品」については強い薬も弱い薬も成分の如何を問わず転売は違法で、厳しい罰則、刑罰があるのでご注意ください。

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