医薬品や医薬部外品には細かい分類があり、なかなか分かりづらいですよね。
今回は指定医薬部外品について詳しく説明します。
指定医薬部外品とは?意味・定義は?
指定医薬部外品とは、元々は医薬品として販売されていたものの、規制緩和に伴い、医薬品から医薬部外品へ移行してきたもののことです。
そして、指定医薬部外品は、新指定医薬部外品と新範囲医薬品部外品の総称です。
また、有効成分の名称及びその分量について表示が必要な医薬部外品(医薬品医療機器等法第59条第7号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する医薬部外品)でもあります。
指定医薬部外品と医薬品・医薬部外品との違い
指定医薬部外品は、医薬品と異なり、医薬部外品なので、薬局だけでなく、コンビニやスーパー等でも購入することができます。
また、医薬部外品とも異なり、「指定医薬部外品」と商品に書かれていて、有効成分の名称及びその分量について表示が必要です。
医薬品の分類
医薬品の分類について簡単にここで説明します。指定医薬部外品を理解するために、医薬品の全体の分類を把握しておきましょう。
医療用医薬品
医療用医薬品は、病院に行って医師に処方箋をもらった後に、病院や薬局で購入できる医薬品のことです。
要指導医薬品
要指導医薬品は、医療用医薬品だったものが、処方箋なしに薬局やドラッグストアで購入できるようになったものです。
ただし、購入時には、薬剤師が対面で説明する必要があります。
一般用医薬品
一般用医薬品は、別名「OTC医薬品」とも呼ばれます。一般用医薬品の中でも種類が分かれていますので、それぞれ説明します。
一般用医薬品の中では、第一類医薬品が副作用のリスクが高く、第三類医薬品へいくにしたがって、副作用のリスクは低くなります。
第一類医薬品
以下の条件を満たすものが第一類医薬品です。購入時は、薬剤師からの説明が必要です。
(1)副作用などにより日常生活に支障をきたす程度の健康被害を生ずるおそれがある医薬品のうちその使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するもの
(2)承認の申請に際して第14条第8項に該当するとされた医薬品であって当該申請にかかる承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの
第二類医薬品
第二類医薬品とは、その副作用等により日常生活に支障をきたす程度の健康被害が生ずる恐れがある医薬品(第1類医薬品を除く)であって厚生労働大臣が指定するもののことです。
購入時は、薬剤師または登録販売者の確認が必要です。
第三類医薬品
第三類医薬品とは、第一類医薬品及び第二類医薬品以外の一般用医薬品のことです。
購入時は、薬剤師または登録販売者の確認が必要です。
指定医薬部外品の効能効果
指定医薬部外品は、新指定医薬部外品と新範囲医薬品部外品に分かれています。
新指定医薬部外品とは、平成11年に医薬品から医薬品部外品に移行したものです。効能効果は以下のとおりです。
製品群 | 効能効果の範囲 |
---|---|
のど清涼剤: のどの不快感を改善することも目的とする内用剤(トローチ剤及びドロッ プ剤) | たん、のどの炎症による声がれ、のどのあれ、 のどの不快感、のどの痛み、のどのはれ |
健胃清涼剤: 胃の不快感の改善を目的とする内用剤(カプセル剤、顆粒剤、丸剤、散剤、舐剤、錠剤、内用液剤) | 食べ過ぎまたは飲み過ぎによる胃部不快感及 びはきけ(むかつき、胃のむかつき、二日酔 い・悪酔いのむかつき、嘔気、悪心) |
きず消毒保護材: すり傷、切り傷、さし傷、かき傷、靴ずれまたは創傷面の消毒及び保護を目的とする外用剤(外用液剤、絆創膏類) | すり傷、切り傷、さし傷、かき傷、靴ずれ、 創傷面の消毒・保護(被覆) |
外皮消毒剤: すり傷、切り傷、さし傷、かき傷、靴ずれ、創傷面等の洗浄または消毒を目的とする外用剤(外用液剤、軟膏剤) | ・すり傷、切り傷、さし傷、かき傷、靴ずれ、創傷面の洗浄・消毒 ・ 手指・皮膚の洗浄・消毒 |
ひび・あかぎれ用剤: ひび、あかぎれ等の改善を目的とする外用剤(軟膏剤に限る) | ・クロルヘキシジン主剤製剤:ひび、あかぎれ、すり傷、靴ずれ ・ メントール・カンフル主剤製剤:ひび、し もやけ、あかぎれ ・ ビタミンAE主剤製剤:ひび、しもやけ、あかぎれ、手足のあれの緩和 |
あせも・ただれ用剤: あせも、ただれの改善を目的とする外用剤(外用液剤、軟膏剤) | あせも、ただれの緩和・防止 |
うおのめ・たこ用剤: うおのめ、たこの改善を目的とする絆創膏 | うおのめ、たこ |
かさつき・あれ用剤: 手足のかさつきまたはあれの改善を目的とする外用剤(軟膏剤に限る) | 手足のかさつき・あれの緩和 |
ビタミン剤: 1種類以上のビタミンを主体とした製剤であって、肉体疲労時、中高年期等における当該ビタミンの補給に用いることを目的とする内用剤(カプセル剤、顆粒剤、丸剤、散剤、舐剤、錠剤、ゼリー状ドロップ、内用液剤) | ・ビタミンE剤:中高年期のビタミンEの補給 ・ビタミンC剤:肉体疲労時、妊娠・授乳期、 病中病後の体力低下時または中高年期のビタミンCの補給 ・ 肉体疲労時、病中病後の体力低下時または中高年期のビタミンECの補給 |
カルシウム補給剤: 1種類以上のカルシウムを主体とした製剤であって、妊娠授乳期、発育期等におけるカルシウムの補給に用いることを目的とする内用剤(カプセル剤、顆粒剤、散剤、錠剤、内用液剤) | 妊娠・授乳期・発育期・中高年期のカルシウムの補給 |
ビタミン含有保健剤: 1種類以上のビタミンを配合した製剤であって、滋養強壮、虚弱体質等の改善及び肉体疲労などの場合における栄養補給に用いることを目的とする内用剤(カプセル剤、顆粒剤、丸剤、散剤、錠剤、内用液剤) | 滋養強壮、虚弱体質、肉体疲労・病中病後(または病後の体力低下)・食欲不振(または胃腸障害)・栄養障害・発熱性消耗性疾患、妊娠授乳期(または産前産後)等の場合の栄養補給 |
新範囲医薬品部外品は、平成16年に医薬品から医薬品部外品に移行したものです。効能効果は以下のとおりです。
製品群 | 効能効果の範囲 |
---|---|
健胃薬: 胃のもたれ、食欲不振、食べ過ぎ、飲み過ぎ等の諸症状を改善することを目的とする内用剤(煎せんじて使用するものを除く) | 食欲不振(食欲減退)、胃弱、胃部膨満感・腹部膨満感、消化不良、食べ過ぎ、飲み過ぎ、胸やけ、胃もたれ、胸つかえ、はきけ、胃のむかつき、むかつき(二日酔い、悪酔い時を含む)、嘔気、悪心、嘔吐、栄養補給(妊産婦、授乳婦、虚弱体質者を含む)、栄養障害、健胃 |
整腸薬: 腸内の細菌叢を整え、腸運動を調節することを目的とする内用剤(煎じて使用するものを除く) | 整腸、便通を整える、腹部膨満感、便秘、軟便(腸内細菌叢の異常による症状を含む) |
消化薬: 消化管内の食物等の消化を促進することを目的とする内用剤 | 消化促進、消化不良、食欲不振(食欲減退)、食べ過ぎ(過食)、もたれ(胃もたれ)、胸つかえ、消化不良による胃部膨満感・腹部膨満感 |
健胃消化薬: 食欲不振、消化促進、整腸等の複数の胃腸症状を改善することを目的とする内用剤 | 食欲不振(食欲減退)、胃弱、胃部膨満感・腹 部膨満感、消化不良、消化促進、食べ過ぎ(過 食)、飲み過ぎ、胸やけ、もたれ(胃もたれ)、胸つかえ、健胃、むかつき(二日酔い、悪酔い時を含む)、嘔気、悪心、嘔吐、はきけ、栄養補給(妊産婦、授乳婦、虚弱体質者を含む)、栄養障害、整腸、便通を整える、便秘、軟便(腸内細菌叢の異常による症状を含む) |
瀉下薬: 腸内に滞留・膨潤することにより、便秘等を改善することを目的とする内用剤 | 便通を整える(整腸)、軟便、腹部膨満感、便秘、痔、下痢軟便の繰り返し、便秘に伴う頭重・のぼせ・肌あれ・吹き出物・食欲不振(食欲減退)・腹部膨満感、腸内異常発酵 |
ビタミン含有保健薬: ビタミン、アミノ酸その他身体の保持等に必要な栄養素の補給等を目的とする内用剤 | 滋養強壮、虚弱体質、次の場合の栄養補給:胃腸障害、栄養障害、産前産後、小児・幼児の発育期、偏食児、食欲不振、肉体疲労、妊娠授乳期、発熱性消耗性疾患、病後の体力低下、病中病後 |
カルシウム含有保健薬: カルシウムの補給等を目的とする内用剤(用時調整して使用するものを除く) | 妊娠授乳期・老年期・発育期のカルシウム補給、虚弱体質の場合の骨歯の発育促進、骨歯の脆弱防止(妊娠授乳期)、カルシウム不足、カルシウム補給(栄養補給、妊娠授乳期)、腺病質、授乳期及び小児発育期のカルシウム補給源 |
生薬主剤保健薬: 虚弱体質、肉体疲労、食欲不振、発育期の滋養強壮等を目的とする生薬配合内用剤(煎じて使用するものを除く) | 虚弱体質、肉体疲労、病中病後・病後の体力低下、胃腸虚弱、食欲不振、血色不良、冷え性、発育期の滋養強壮 |
鼻づまり改善薬: 胸またはのど等に適用することにより、鼻づまりやくしゃみ等のかぜに伴う諸症状の緩和を目的とする外用剤(蒸気を吸入して使用するものを含む) | 鼻づまり、くしゃみ等のかぜに伴う諸症状の緩和 |
殺菌消毒薬: 手指及び皮膚の表面または創傷部に適用することにより、殺菌すること等を目的とする外用剤(絆創膏を含む) | 手指・皮膚の殺菌・消毒、外傷の消毒・治療・殺菌作用による傷の化膿の防止、一般外傷・擦傷、切傷の殺菌・消毒、傷面の殺菌・消毒、切り傷・すり傷・さし傷・かき傷・靴ずれ・創傷面の殺菌・消毒・被覆 |
しもやけ・あかぎれ用薬: 手指、皮膚または口唇に適用することにより、しもやけや唇のひびわれ・ただれ等を改善することを目的とする外用剤 | ひび、あかぎれ、手指のひび、皮膚のあれ、皮膚の保護、手指のひらのあれ、ひじ・ひざ・かかとのあれ、かゆみ、かゆみどめ、しもやけ、口唇のひびわれ・ただれ、口唇炎、口角炎 |
含嗽薬: 口腔内またはのどの殺菌、消毒、洗浄等を目的とするうがい用薬(適量を水で薄めて用いるものに限る) | 口腔内・のど(咽頭)の殺菌・消毒・洗浄、口臭の除去 |
コンタクトレンズ装着薬: ソフトコンタクトレンズまたはハードコンタクトレンズの装着を容易にすることを目的とするもの | ソフトコンタクトレンズまたはハードコンタクトレンズの装着を容易にする |
いびき防止薬: いびきの一時的な抑制・軽減を目的とする点鼻剤 | いびきの一時的な抑制・軽減 |
口腔咽喉薬: のどの炎症による痛み・はれの緩和等が目的とするトローチ剤、口腔内噴霧剤・塗布剤 | のどの炎症によるのどの痛み・のどのはれ・のどの不快感・のどのあれ・声がれ、口腔内の殺菌・消毒・清浄、口臭の除去 |
指定医薬部外品の表示
商品には「指定医薬部外品」という文字が書かれています。
さらに、有効成分の名称(一般的名称があるものにあつては、その一般的名称)及びその分量を書く必要があります。
指定医薬部外品の広告規制は?薬機法?
指定医薬部外品の広告を行う場合、医薬品医療機器等法(薬機法)や景品表示法などの規制を守る必要があります。
例えば、認められた効能効果の範囲を逸脱する表現は認められません。表示できる具体的な効能効果は、前述したとおりです。
また、「最高に効く」「薬の王様」などの最大級の表現は、認められません。
指定医薬部外品の販売許可
指定医薬部外品を市場へ業として販売するためには、医薬部外品製造販売業許可を取得する必要があります。
医薬部外品製造販売業許可の要件としては主に以下の3つがあります。
・人的要件(総括製造販売責任者)
・GQP(医薬部外品の品質管理の基準)
・GVP(医薬部外品の製造販売後安全管理の基準)
指定医薬部外品を販売するには?販売方法は?
指定医薬部外品を販売するためには、上記の医薬部外品製造販売業許可を取得すればいいのですが、製造も自社で行って販売する場合は、製造業許可も取得する必要があります。
自社で製造を行わない場合は、必要な許可を取得している事業者に製造委託する方法があります。
販売方法としては、店頭だけでなくインターネット販売も可能です。
指定医薬部外品の陳列場所
消費者の誤解や誤用を未然に防止するため他の商品との識別や品質の維持管理が可能な方法で陳列することが求められています。
指定医薬部外品の医療費控除
医療費控除の対象になるのは、医薬品となります。そのため、指定医薬部外品は医療費控除の対象とはなりません。
また、医薬品の中でも、以下のようなものは医療費控除の対象外となります。
・健康増進のためのビタミン剤やドリンク剤
・健康食品
・サプリメント
・目薬
など。
医療費控除については、セルフメディケーション税制についてもご確認ください。
まとめ
医薬品の分類は、細かく分かれており、理解しづらいものですが、ビジネスで取扱う人は薬機法違反などで指摘を受けないように把握しておきましょう。
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