要指導医薬品の定義とは?販売方法と一覧リストまとめ

「要指導医薬品」は、医薬品の内厚生労働大臣が指定するもので、様々な規定により取り扱い、特に販売が制限されています。

医薬品医療機器等法や厚生労働省告示などに規定されています。項目によって規定されている省令等が異なりますので、見逃してしまう可能性もあります。

そこで、今回は、要指導医薬品はどういうものなのか、そしてどのように販売すればいいのかについて概要を説明します。

要指導医薬品は、処方せんなしでの使用における安全性が十分に確認されていませんので、適切に取り扱う必要があります。要指導医薬品に分類される医薬品を適切に使ってもらうための販売方法について学んでいきましょう。

目次

要指導医薬品とは

要指導医薬品は、一般用医薬品とは異なる「医療用に準じたカテゴリーの医薬品」と定義されていますが、一般用医薬品の一つとして扱われることが多い医薬品です。医師・歯科医師による処方が必要な『医療用医薬品』と『一般用医薬品』の間に分類されるイメージが適切かもしれません。

一般用医薬品は、

医療用医薬品として取扱われる医薬品以外の医薬品をいう。すなわち、一般の人が薬局等で購入し、自らの判断で使用する医薬品であって、通常、安全性が確保できる成分の配合によるものが多い。

参照元:医療用医薬品と一般用医薬品の比較について

と定義されています。

これを分かりやすく説明すると、「医師・歯科医師の処方せんなしで薬局・ドラッグストアなどで購入できる医薬品で、処方せん医薬品に比べ、効能、効果や副作用が人体に対してマイルドで安全なもの」となります。患者が自身の判断で購入・使用するため、安全性が高いものである必要があります。

要指導医薬品は、「医師・歯科医師の処方せんなしで薬局・ドラッグストアなどで購入できる」という点が同じですので、一般用医薬品の一つとして扱われていると考えられます。

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律」(いわゆる薬機法、旧薬事法)における定義としては、

要指導医薬品は、次のアからエまでに掲げる医薬品(専ら動物のために使用されることが目的とされているものを除く。)のうち、
その効能及び効果において人体に対する作用が著しくないもの
かつ
薬剤師その他の医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択により使用されることが目的とされているもの
かつ
その適正な使用のために薬剤師の対面による情報の提供及び薬学的知見に基づく指導が行われることが必要なもの
として、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものである。

ア その製造販売の承認の申請に際して、新法第14 条第8項第1号に該当するとされた医薬品であって、当該申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの
イ その製造販売の承認の申請に際してアに掲げる医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が同一性を有すると認められた医薬品であって、当該申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの
ウ 毒薬
エ 劇薬

参照元:要指導医薬品の指定等について

となっています。

これを簡潔にまとめると、「人体への効果がマイルドで、薬剤師が対面で説明・指導することにより、使用者が判断して購入する医薬品」となります。

要指導医薬品に該当する医薬品として、以前は「スイッチ直後品目」と呼ばれていた医薬品があります。

スイッチ直後品目とは、医療用医薬品から一般用医薬品へと移行して間もない医薬品のことを指します。医療用医薬品としてしばらく使用されたのち、一般用医薬品へと移行する医薬品をスイッチOTCと呼びます。一般用医薬品に移行して医師・歯科医師の処方なしで使用される場合は、予期しないリスクが見つかることがあります。つまり、一般使用可でのリスクが確定していないため、安全性の確認を目的として要指導医薬品へと分類されます。

この点において、要指導医薬品は、「安全性が高いことが予想されるが、確認できていないため慎重に使うべき一般用医薬品」というイメージでしょうか。
注)厳密な意味では、要指導医薬品は、一般用医薬品とは異なります。

具体的には、花粉症などのアレルギー症状改善に使われるクラリチン(2017年1月発売)などがあります。クラリチンは医療用医薬品として、2002年に承認されて以降、副作用の少ないH1ブロッカーとして、アレルギー患者に広く使われていました。長期間病院などで使用して、安全性が確認できたので一般用医薬品へと転用した、いわゆるスイッチOTCとして販売されています。

このようなケースでは、一定期間使用されて安全性の確認ができた場合は、要指導医薬品から一般用医薬品へと移行することがあります。

要指導医薬品の販売方法

要指導医薬品は、管轄保健所と厚生局へ要指導医薬品を販売する旨などについて、指定された文書を提出することで販売できます。提出する際に指定した薬局または店舗でのみ販売することができます。

販売方法は、「薬剤師が対面で購入希望者本人に販売すること」とされています。

薬剤師は、以下の点について確認する必要があります。
・購入希望者が使用者本人であるか
・その医薬品の他店からの購入状況
(以下使用者に関する情報)
・年齢
・他の医薬品等の使用状況
・性別
・症状
・現在かかっている他の疾病の有無およびその病名
・妊娠の有無および妊娠週数
・授乳の有無
・その医薬品の購入、譲り受け、使用の有無
・過去の副作用歴の有無およびその詳細情報
・その他確認が必要と判断した事項

医薬品によっては飲食物やタバコなどに影響を受けるものもあるので、日常的に摂取しているものについての確認も重要です。

これらの情報により判断した「適切な使用のために必要と思われる数量」に限り販売することになります。

そして、薬剤師は販売する際に、書面やタブレット端末などを用いて購入希望者に情報提供や使用方法などの指導を行う必要があります。

この情報提供または指導が行えない場合や、購入希望者もしくは使用者がその医薬品を適正に使用できないと薬剤師が判断した場合は、販売できないことがあります。

そして「提供した情報及び指導について、購入希望者が理解したこと、および質問がないこと」を確認した後に販売します。もし購入希望者から相談や質問があった場合には、販売前に情報提供および指導を行います。

そして販売する際に、販売した薬剤師の氏名および薬局(ドラッグストア)の連絡先を伝えます。

販売後は、定められた事項を記載した書面を作成し、2年間保存しなければなりません。

定められた事項とは、
医薬品名
数量
販売の日時
販売を行った薬剤師の氏名ならびに情報提供及び指導を行った薬剤師の氏名
医薬品を購入または譲り受けた者が、情報提供及び指導の内容を理解したことの確認の結果
などがあります。

要指導医薬品を店舗で販売する場合

要指導医薬品を店舗で販売する際には「陳列設備から1.2m以内の範囲に購入者が進入できないように措置を講ずる」必要があります。

これは簡単に言うと、「購入希望者が直接手に取れる場所に陳列しないようにする」ということです。

具体的には、購入希望者が進入できないつくりのカウンターの中や、鍵をかけ簡単に持ち運ぶことができないケース内に陳列するといった方法が多くみられます。

鍵をかけたケースなどに陳列する場合には、「陳列設備から1.2m以内の範囲に購入者が進入できないように措置を講ずる」必要はありません。また、「薬局または店舗が開いている時間中に要指導医薬品を販売しない場合がある場合に、要指導医薬品を陳列している区画を閉鎖することでできること」と定められています。

具体的な例として、「薬剤師が休憩などで不在の場合、要指導医薬品を販売することができないのでその間は要指導医薬品の陳列区画を閉鎖もしくは施錠し、また薬剤師が戻ってきたら解放する」などがあります。

要指導医薬品はインターネット販売できる?

要指導医薬品はインターネットでの販売ができません。
これは、要指導医薬品の販売方法が「薬剤師が対面で購入希望者本人に販売すること」と定められているためです。(医薬品医療機器等法)

要指導医薬品へと分類される医薬品は、リスクが確定していない、または特に注意すべきものとして指定された医薬品です。そのため、安全性を考慮し、情報収集が十分行えない可能性があるインターネットでの販売は許可されていません。

要指導医薬品の一覧リスト

有効成分販売名製造販売業者
ポリカルボフィルカルシウムギュラック小林製薬株式会社
ヨウ素/ポリビニルアルコール(部分けん化物)サンヨード参天製薬株式会社
イトプリド塩酸塩イラクナ小林製薬株式会社
ナプロキセンモートリンNXジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社
セイヨウハッカ油コルペルミンゼリア新薬工業株式会社
プロピベリン塩酸塩バップフォーレディ
ユリレス
大鵬薬品工業株式会社
オキシメタゾリン塩酸塩/クロルフェニラミンマレイン酸塩ナシビンメディ佐藤製薬株式会社
セイヨウトチノキ種子エキスベルフェミンゼリア新薬工業株式会社
精製ヒアルロン酸ナトリウムヒアレインS
サンテ ヒアルロン酸点眼液
参天製薬株式会社
イソコナゾール硝酸塩メンソレータムフレディCC1
メンソレータムフレディCC1A
ロート製薬株式会社
ベポタスチンタリオンR
タリオンAR
田辺三菱製薬株式会社

まとめ

要指導医薬品の定義および販売方法について説明しましたが、理解して頂けたでしょうか?

定義は専門用語が多く理解が難しいと思いますが、リスクが高いため販売方法に注意が必要であることは分かって頂けたと思います。

使用者が誤った使い方をしないためにも、薬剤師の情報収集および説明が重要です。つまり、要指導医薬品の適正使用には、薬剤師の存在が大きいということです。

要指導医薬品の販売においてどのような対応を行えばよいのか、少しでも理解してもらえたのであれば幸いです。

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