ドラッグストアや薬局、最近ではコンビニでも医薬品を取り扱っているのを目にすることが多くなってきましたね。医薬品は日々の生活を快適にするものですが、時に危険な一面もあります。そのため、医薬品はリスクに応じて区別されています。
今回は、医薬品の中でも第三類医薬品はどういうものか、第三類医薬品を販売するにはどういう方法ですればよいのか、具体的第三類医薬品はどういう商品なのかをご覧ください。
第三類医薬品とは
第三類医薬品とは、第一類医薬品、第二類医薬品に指定されている医薬品以外の医薬品で、その作用、副作用などが緩和であり、安全性の高いものと位置付けられています。医薬品として扱われるものの中では最も安全性が高く、その反面効果も緩やかなものとなっています。
現在、無機薬品・有機薬品で337成分、及び生薬・動植物成分で449種類が指定されています。
第三類医薬品の販売方法
第三類医薬品の販売方法ですが、これは薬機法施行規則第159条の14の2に規定されていますが、薬剤師又は登録販売者に販売または授与させなければなりません。
販売時は、薬や健康についての情報提供をした後にお客さんから相談があった場合は必ず応じなければならないと義務付けられています。販売側はお客さんからの相談を断ることはできません。
そして、もし何か健康被害があった時に対応できるように、販売した薬局、店舗の名前、電話番号を伝えるようにと決められています。
店舗販売をする上で店舗管理者は欠かせません。管理者の扱いについても定められています。店舗販売業者は、自らその店舗を実地に管理するか、その店舗に勤務する者から管理者を指名しなければなりません。
この管理者は厚生労働省令で定めるところにより、薬剤師、または登録販売者でなければなりません。第一類医薬品を販売、または授与する店舗には薬剤師を管理者として、または3年以上の実務経験のある登録販売者を管理者として配置し、薬剤師をその補佐として配置する必要がありますが、第三類医薬品を販売、または授与する店舗には薬剤師または登録販売者のどちらかを管理者として配置すればよいです。つまり第一類医薬品を販売しない店舗では薬剤師を配置する必要がない、ということです。
これは配置販売業者でも同様です。配置販売業者というのはいわゆる置き薬ですね。各家庭に薬箱を配置して、薬を月に1度訪問して使用した薬を後払いする業務形態です。富山の配置薬が有名ですね。
薬にはリスクがありますので販売したきりでは済みません。後に事件、事故が発生したときに対処できるようにするため、販売した後の記録を取るように定められています。
販売後の記録について、薬機法施行規則に
②数量
③販売又は授与の時間
④販売し、又は授与した薬剤師又は登録販売者の氏名及び情報の提供を行った薬剤師又登録販売者の氏名
⑤第三類医薬品を購入し、又は譲り受けようとする者が、情報の提供の内容を理解したことの確認の結果
を記録し、保存するように努めなければならないと定められています。
第一類医薬品と、第二類医薬品、第三類医薬品では法的拘束力が違います。
第一類医薬品は2年間の保存義務が課せられますが、第二類医薬品、第三類医薬品では努力義務となっています。
第三類医薬品を店舗で販売する場合
店舗販売業の許可を得るためには、構造設備規則が定められているため要件を満たす必要があります。
<店舗販売のための要件>
①店舗として出入りができて外観が明らかなこととされています。つまり倉庫などはだめですよと規定しています。
②換気が十分であり、清潔であることと定められています。医薬品を取り扱うためには衛生的である必要があるというわけですね。
③販売スペースと従業員スペースを区別しておく必要があります。従業員スペースはロッカーや休憩所のことですね。この項目も衛生面を考慮しています。また販売スペースにも規定があります。
④薬店では13.2m²以上の店舗スペースが必要となります。ちなみに薬局は19.8m²以上必要となります。
⑤店舗の明るさは60ルクス以上明るくなければなりません。
⑥開店時間のうち、要指導医薬品又は一般用医薬品を販売・授与しない時間がある場合には、要指導医薬品又は一般用医薬品を通常陳列、交付する場所を閉鎖することができる構造のものである必要があります。具体的には、開店時間が10~22時として、薬剤師又は登録販売者の就業時間が10~19時だと19~22時の間は販売ができないため、その時間は販売エリアを閉鎖しなければなりません。カーテンなどでエリアを閉鎖しているところを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
⑦冷暗貯蔵のための設備を有することが必要となります。ただし、冷暗貯蔵が必要な医薬品を取り扱わない場合は必要ありません。第三類医薬品では一部の栄養ドリンクが該当します。
名札等の着用(規則第15条の2)
薬剤師、登録販売者、一般従事者を容易に判別できるよう名札等を着用するように定められています。業務中の方の名札を見るのはなかなか難しいので、分かりやすいように白衣の色も薬剤師、登録販売者、一般従事者で変えているケースが多いですね。イラスト付きで店内に掲示している店舗もあります。
陳列についてですが(法第57条の2、規則第218条の2)
①医薬品と他の物と区別して陳列
②リスク区分ごとの陳列
をする必要があります。
ドラッグストアでは食料品、飲料を販売していますが、医薬品の棚とは分けて陳列されています。
医薬品も第一類医薬品、第二類医薬品、指定第二類医薬品、第三類医薬品、医薬部外品、要指導医薬品、指定医薬部外品とそれぞれ分けられて陳列されています。
第三類医薬品はインターネット販売できる?
一般用医薬品は平成26年6月1日にインターネットによる販売が解禁されています。そのため第三類医薬品をインターネットで販売することはできます。
しかし、だれでも販売できるわけではありません。薬機法では、インターネットによる一般医薬品販売だけではなく、郵便、メール、電報、カタログ、チラシなどにより医薬品販売広告を行い、購入者に郵送、あるいは託送して販売する方法をひとまとめに特定販売としています。
特定販売は薬機法施行規則第1条第二項第四に規定されていますが、実店舗を運営するのと同様の規制を受けます。
つまり、特定販売を行うためには、薬局の許可、または医薬品販売業者の許可を得なければなりません。
薬機法第24条に規定されていますが、特定販売をするのにバーチャルの店舗だけの、倉庫を薬局として許可を受けるような実態のない薬局、店舗は認められていません。
特定販売を行おうとする者は、薬局または店舗販売業の許可を申請する際に特定販売を行う旨の届出をしなければなりません。
既に薬局または店舗販売業の許可を得ている者は、許可を受けた都道府県知事、保健所政令市長又は特別区区長に変更届を提出しなければなりません。
Amazonで第一類医薬品のインターネット販売が開始されましたが、Amazonファーマシーという実店舗を持ち、薬剤師を常駐させることによって販売を可能としています。第三類医薬品を販売する場合でも実店舗と同じく、薬剤師または登録販売者が常駐することが条件となります。
第三類医薬品の一覧表リスト
冒頭でも記しましたが、第三類医薬品は無機薬品・有機薬品で337成分、及び生薬・動植物成分で449種類が指定されており、その一覧リストは厚生労働省のHPで確認できます。
ただ、具体的にはどの商品が第三類医薬品に該当するか分かりづらいため、有名な第三類医薬品を10点紹介します。
①ハイチオールC
L-システインというアミノ酸とビタミンCが主に配合されています。皮膚のターンオーバーを促し、シミ、そばかすを改善する薬です。ハイチオールC以外にもビタミンB2を配合したハイチオールB、ビタミンCを増量したハイチオールCプラス、ハイチオール ホワイティアなどがあります。
②チョコラBB
チョコラBBはビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁を配合しているビタミン剤です。
肌荒れ、にきび、口内炎などによく使われます。
③龍角散ダイレクト
去痰作用のあるキキョウ、セネガと、咳止め作用のあるカンゾウ、キョウニンなどの生薬が含まれている咳止めです。龍角散ダイレクトは喉に直接作用することからダイレクトと名付けられています。粉末を喉に付着させることで効果が出るため水なしで服用します。
④サロンパス
サロンパスは鎮痛消炎作用のあるサリチル酸メチルを含有している貼付剤です。肩こり、腰痛、筋肉痛などに使われます。
⑤3Aマグネシア
酸化マグネシウムが主成分の薬です。酸化マグネシウムは腸で腸管から水分を引き出すことで便に水分を与え、便を柔らかくすることによって排便を促します。
⑥エスタロンモカ
エスタロンモカにはカフェイン、ビタミンB₁が含まれています。眠気防止のために用いられています。エスタロンモカ錠には100mgのカフェインが含まれています。日本でもカフェイン中毒による死亡事故が発生していますので過剰摂取はしてはなりません。カフェインのラットでの経口LD₅₀は200~400mg/㎏となっています。カフェインの代謝能力には個人差があり人でのデータはありませんので一概には言えませんが、体重が軽いほど少ない錠数で中毒になります。15歳未満の方は服用しないようになっています。
⑦消毒用エタノールIP
消毒に使われるエタノールです。無水エタノールより濃度が低く76.9-81.4vol%です。消毒効果は無水エタノールより高いです。IPはイソプロパノールの略で消毒用エタノールに添加されています。イソプロパノールは何のために添加しているかというと、飲料として飲めなくすることで酒税がかからなくなるため消毒用エタノールより価格が抑えられています。
⑧ムヒS
かゆみ止めの軟膏です。抗アレルギー作用のあるジフェンヒドラミンとスーッとする成分のℓ-メントールが配合されています。ステロイド成分が含まれていないため副作用も少なくなっています。
⑨ヨクイニン錠
生薬のヨクイニンはハト麦の皮を除いた種で、消炎作用や体の水分バランスを整える作用があるといわれ、肌荒れ、イボに効果があります。
⑩ペラックT錠
抗炎症作用のあるトラネキサム酸、カンゾウエキスと3種のビタミン(ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンC)を配合している錠剤です。喉の炎症、痛みに用いられます。
第三類医薬品と第一類医薬品・第二類医薬品の違い
第三類医薬品は、第一類医薬品と第二類医薬品とは販売方法や扱える商品に違いがあります。
以下で詳しくまとめていますので、参考にしてください。
まとめ
第三類医薬品は効果が緩和で副作用が比較的少ないですが、過剰摂取により健康を害することがあります。そのため細かくルールが決められており自由に販売されることは制限されています。
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