医業類似行為ができる資格4つと広告可能表現

「医業類似行為」という聞き慣れない言葉がありますが、医業行為とはどのように違うのでしょうか。医業類似行為の意味や、使い方、広告表現の注意点などについて詳しく解説します。

使い方やリスクをしっかりと押さえ、正しく使っていきましょう。

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目次

医業類似行為とは?

「医業類似行為」とは、医師が行う医療行為ではないが、一定の資格を有する者が行う医業に類似する行為です。

具体的には、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家資格を持っている者が行う施術のことを言います。

混同しやすいものとして、整体やカイロプラクティックやリラクゼーションなどがありますが、これらは国家資格がなくても行える、「非医業類似行為」です。

例として、本来マッサージを行えるのはあん摩マッサージ指圧師ですが、リラクゼーションサロンなどで、治療を目的とした「マッサージ」行為を行うと法律に抵触します。

リラクゼーションを行うための民間資格がありますが、基本的に、法的な資格がなければ、医業類似行為を行うことはできない点に注意が必要です。

医業類似行為ができる資格4つ

1. 柔道整復師

「柔道整復師」は、骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷などの施術の専門家であり、ケガの治療や治療後のアフターケア、さらにケガの予防など、幅広い範囲の施術を行います。

柔道整復師になるには、大学や専門学校に3年間以上通い、解剖学や生理学、整形外科学などを学習し、国家資格を取得する必要があります。

柔道整復師の資格を取得すると、整骨院や接骨院で働くことができ、届出を行うことで開業することも可能です。また、柔道整復師の資格や業務などについては、柔道整復師法に定めがあります。

2. あん摩マッサージ指圧師

「あん摩マッサージ指圧師」は、器具を使用せず、マッサージや指圧の手技を用いて、「なでる」、「揉む」、「押す」、「さする」などを身体に行うことで、血行を改善し、不調を和らげます。

あん摩マッサージ指圧師になるには、大学や専門学校に3年間以上通い、必要な専門科目を学習し、国家資格を取得する必要があります。

「あん摩マッサージ指圧師」の資格や業務などについては、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律で定められています。

3. はり師

「はり師」は、0.14〜0.3ミリほどの細い鍼を用いて、人の全身にあるツボを刺激することで、治療を行います。症状に合わせて、適切なツボに刺激を与え、健康回復を助けたり、人が本来持つ自然治癒力を高め、患部を改善し、免疫力を高めます。

こちらも、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律で、鍼灸系専門学校や鍼灸学科のある大学を卒業し、国家資格に合格する必要があると定められています。

4. きゅう師

きゅう師は、薬草から作られる“もぐさ”を体のツボの位置におき、火をつけることで熱を発生させ、その熱の力で治療を行います。

はり師と同様、症状に合わせて、身体のツボを熱であたため、健康回復を助けたり、人が本来持つ自然治癒力を高め、患部を改善し、免疫力を高めます。

はり師になる場合も、鍼灸系専門学校や鍼灸学科のある大学を卒業し、国家資格に合格する必要があります。

医業類似行為ができない資格の具体例

法律上定められていない民間資格で、医業類似行為を行うことは禁止されています。

例えば、「整体セラピスト」、「カイロプラクティック」、「エスティシシャン」、「アロマセラピスト」などです。

これらは民間資格であり、国が認めた資格ではないので、先述したような医業類似行為を行うことはできません。

医業類似行為ができる者の広告可能表現

医業類似行為ができる者、すなわち整骨院・接骨院・マッサージ院などでは、以下の内容を看板やホームページなどで広告できると定められています。

①柔道整復師、鍼灸師、マッサージ師である旨
②施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
③施術日又は施術時間
④柔道整復師であれば、ほねつぎ(又は接骨)
 あん摩マッサージ指圧師であれば、もみりょうじ(マッサージ・あんま)
 鍼灸師であれば、小児鍼(はり)
⑤医療保険療養費支給申請ができる旨(ただし全てが保険適用と誤解を招くような表現はNG)
 柔道整復 :脱臼、骨折に関しては医師の同意が必要な旨などを記載すること
 鍼灸   :医師の同意が必要な旨などを記載すること
 マッサージ:医師の同意が必要な旨などを記載すること
⑥予約に基づく施術の実施
⑦休日又は夜間における施術の実施
⑧出張による施術の実施
⑨駐車設備に関する事項

逆に言うと、整骨院や接骨院やマッサージ院などで上記以外を表示することはできません。

また、医業と誤認させるような表現(治療、医療、触診、診察券、専門医など)を行うことは望ましくないとされています。

そのほか、「免疫機能の向上」、「細胞の活性化」、「風邪の予防」などの医療効果があるかのような表現や、「当院の施術により痛みが無くなります」、「業界最高峰の機器を用いた施術(事実であればOK)」など、効果が確実であるかのように謳ったり、根拠無く最高であると謳うと薬機法や景品表示法に抵触するので注意が必要です。

非医業類似行為を業とする者の広告表現

非医業類似行為を業とする者の広告では、「マッサージ」や「ほねつぎ」などの表示はできず、あくまで「もみほぐし」や「癒し」などの表示に留める必要があります。

もちろん、先述したような医療効果を想起させる表示も禁止されています。実際に、エステサロンの広告で、美顔トリートメントについて「細胞レベルで若返り」などと標ぼうし、摘発された事例があります。

また、合理的な根拠なく、「施術を受けるだけで1ヶ月で-10キロ」など、あたかも施術を受けるだけで、短期間で痩せることができるかのような広告は景品表示法違法となります。

さらに、薬機法ではリラクゼーションサロンなどで美容機器等を使用する場合に規制があり、例えば、美顔器を使って、「むくみを解消する」、「細胞を活性化する」など、医療的な効果を想起させるような表現を行うと違法となります。

非医業類似行為の広告では、さらに規制が厳しくなるので注意が必要です。

まとめ

広告については、誰が作成したものであろうと、広告物を発信した施術所が責任を負います。また、法律上、医業類似行為の広告規制のルールに違反すると、罰則や罰金があります。

整骨院やマッサージ院を広告する際は、正しい知識を持ち、少しでも不安があれば専門家に相談することをおすすめします。

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