「肌に優しい」「低刺激」といった言葉は薬機法OKなのでしょうか。
化粧品広告で表現として使っていいのか、言い換え表現には何があるのか解説します。
肌に優しいは薬機法OK?
「肌に優しい」は、ぼかした表現で特定の効能効果を述べているわけではないため、根拠があれば使用可能です。
「肌に優しいから肌トラブルが起きない」「肌に優しいからアトピーが改善する」といった医薬品的効能効果を述べると薬機法違反になります。
低刺激は薬機法OK?
「低刺激」「刺激が少ない」は、低刺激性等が客観的に立証されていれば使用可能です。
ただ、安全性について誤認させたり、キャッチフレーズとして強調表示したりするのはNGです。
また他社製品の誹謗広告にならないようにすることにも注意が必要です。
肌に優しいの言い換え表現は?
客観的な根拠を提示できない場合、一般的なニュアンスにとどめた表現に言い換えるのが安全です。
・使い心地にこだわった処方
・日々のスキンケアに取り入れやすいアイテム
・なめらかな使用感
・肌のことを考えたスキンケアアイテム
など
低刺激性の客観的な証明の具体例
以下のような試験を行うことで低刺激性を確かめることができます。
ただし、これらの試験を実施しても「すべての方に皮膚刺激が起こらないわけではありません」といった注意表現を併記することが必要です。
①パッチテスト
パッチテストは、化粧品の一次刺激性を確認するために実施される試験です。
一定の被験者の皮膚に製品を閉鎖貼付し、24〜48時間後および剥離後の経過観察を通して、紅斑や浮腫などの皮膚反応の有無を確認します。
皮膚科専門医の監修のもとで評価されることも多く、低刺激性化粧品の表示根拠として用いられます。
②アレルギーテスト
アレルギーテスト(RIPT:Repeated Insult Patch Test)は、化粧品やその成分が皮膚感作(繰り返しの使用により生じる過敏反応)を引き起こす可能性を評価する目的で実施される安全性評価試験です。
通常、閉鎖貼付を複数回繰り返し行う累積刺激試験などのプロトコルが用いられ、一定期間後に感作反応が誘発されるかどうかを確認します。
試験は皮膚科医の監修のもとで行われることが多く、感作性の有無を科学的に判断する指標となります。
③スティンギングテスト
スティンギングテストは、化粧品などが肌にしみるような感覚(かゆみ・ひりつき・熱感など)を引き起こす可能性を評価する感覚刺激性試験です。
具体的には、被験者の顔などの敏感な部位に試験品を塗布し、一定時間後に被験者自身が感じた刺激の強さをスコアで回答します。被験者に敏感肌傾向のある人を含めることで、より厳密な評価が可能になります。
実際の商品事例
①dプログラム モイストケア ローションEX
資生堂の薬用敏感肌用化粧水です。販売ページには以下の記載があります。
敏感肌のための低刺激設計
敏感肌のための #10の約束
1. 厳選成分のみを配合
2. 敏感肌パッチテスト済み*¹
3. 感覚刺激性テスト済み*¹,*²
4. アレルギーテスト済み*¹
5. ニキビのもとになりにくい処方*¹
6. パラベン(防腐剤)フリー
7. アルコール(エチルアルコール)フリー
8. 無香料
9. 無着色
10. 厳しい衛生基準で製造
※¹ すべての方にアレルギーや皮膚刺激が起きない、また、ニキビができないわけではありません。
※² ピリピリ・ヒリヒリといった使用直後の刺激感を確かめるスティンギングテストのことです。
引用元:資生堂
②リポソーム アドバンスト リペアクリーム
コーセーの高級ブランド「コスメデコルテ」のナイトクリームです。
高機能でありながら低刺激処方
・低刺激処方
・アレルギーテスト済み Dermatologically tested.
・スティンギング(皮膚刺激感)テスト済み
・ノンコメドジェニックテスト済み
(すべてのかたにアレルギーや皮膚刺激が起きない、刺激感がない、コメド(ニキビのもと)ができないというわけではありません。)
引用元:コスメデコルテ
③化粧水・敏感肌用・さっぱりタイプ(大容量)
無印良品の化粧水です。
岩手県釜石の天然水を使用したスキンケアシリーズです。乾燥が気になる敏感肌にさっぱりとした潤いを与えます。肌保護成分のスベリヒユエキス、グレープフルーツ種子エキス、保湿成分の高いリピジュアR(ポリクオタニウムー51)を配合しました。
デリケートな肌にもやさしい低刺激性です。
・無香料・無着色・無鉱物油・弱酸性・パラベンフリー・アルコールフリー・アレルギーテスト済み(すべての方にアレルギーが起きないわけではありません)
◎ご使用方法:洗顔の後、適量を手やコットンにとり、顔全体になじませてください。
参照:無印良品
化粧品が表現できる効能効果の範囲
そもそも化粧品が表現できる効能効果の範囲は以下の56個に制限されています。これらを逸脱しない範囲に限り、表現することが可能です。
頭皮や毛髪
(1)頭皮、毛髪を清浄にする。
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4)毛髪にはり、こしを与える。
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7)毛髪をしなやかにする。
(8)クシどおりをよくする。
(9)毛髪のつやを保つ。
(10)毛髪につやを与える。
(11)フケ、カユミがとれる。
(12)フケ、カユミを抑える。
(13)毛髪の水分、油分を補い保つ。
(14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
(15)髪型を整え、保持する。
(16)毛髪の帯電を防止する。
皮膚や肌
(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
(19)肌を整える。
(20)肌のキメを整える。
(21)皮膚をすこやかに保つ。
(22)肌荒れを防ぐ。
(23)肌をひきしめる。
(24)皮膚にうるおいを与える。
(25)皮膚の水分、油分を補い保つ。
(26)皮膚の柔軟性を保つ。
(27)皮膚を保護する。
(28)皮膚の乾燥を防ぐ。
(29)肌を柔らげる。
(30)肌にはりを与える。
(31)肌にツヤを与える。
(32)肌を滑らかにする。
(33)ひげを剃りやすくする。
(34)ひげそり後の肌を整える。
(35)あせもを防ぐ(打粉)。
(36)日やけを防ぐ。
(37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
芳香
(38)芳香を与える。
爪
(39)爪を保護する。
(40)爪をすこやかに保つ。
(41)爪にうるおいを与える。
口唇
(42)口唇の荒れを防ぐ。
(43)口唇のキメを整える。
(44)口唇にうるおいを与える。
(45)口唇をすこやかにする。
(46)口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
(47)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
(48)口唇を滑らかにする。
(49)ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
歯・口の中
(50)歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(51)歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(52)口中を浄化する(歯みがき類)。
(53)口臭を防ぐ(歯みがき類)。
(54)歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(55)歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
皮膚
(56)乾燥による小ジワを目立たなくする。
注1)例えば、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。
注2)「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
注3)( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。
薬機法に違反したときの罰則やリスク
化粧品広告で、薬機法第66条の誇大広告等に違反した場合の罰則は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはこれを併科です。
そして、措置命令や課徴金納付命令のおそれもあります。
また、法的責任だけでなく、SNSで炎上したり、ニュースになって会社の信頼性が長期に渡って損なわれたりするおそれがあります。
措置命令
措置命令は、薬機法第72条の5、に定められており、違反広告の中止や再発防止などを求められます。
<対象>
・第66条第1項
・第68条
<具体例>
・違反したことを関係者及び消費者に周知徹底すること
・再発防止策を講ずること
・その違反行為を将来繰り返さないこと
など
課徴金納付命令
課徴金納付命令は、薬機法第75条の5の2、に定められており、課徴金の納付が求められます。
<対象>
・第66条第1項
<課徴金の金額>
・課徴金対象期間の商品売上の4.5%(最長3年間)
・225万円未満の場合は課徴金なし
<減額>
・同一事案に対し、景品表示法の課徴金納付命令がある場合
⇒3%を減額して1.5%・自ら報告した場合は、50%相当額を減額
まとめ
「肌に優しい」や「低刺激」といった表現は、消費者に安心感を与える一方で、薬機法上は使い方に注意が必要です。
違反リスクを回避するには、販売ページや広告を開始する前にチェックすることが重要です。
社内で体制を作ったり、外部の専門家を活用したりして違反しないようにしましょう。












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