近年、テレビCMや雑誌やSNSなどあらゆる媒体で、「毛穴」に効果的なスキンケア関連の商品が宣伝されています。男女問わずニーズが高い分、広告の表現には一定のルールが定められています。
この記事では、「毛穴」への効果を訴求するにあたり、どのような規制があるか、どのような表現であれば謳うことができるのかをお伝えします。毛穴ケアの化粧品を扱う人はぜひ参考にしてください。
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毛穴訴求の化粧品と薬機法(旧薬事法)
化粧品を広告する場合、薬機法(旧薬事法)上の規制を受けます。化粧品は幅広い年齢層の消費者が使用しており、消費者は購入前の広告の情報をもとに商品有効性を判断します。
消費者が不利益を被らないよう、広告する際は薬機法上のルールに従う必要があるのです。
化粧品の広告では、表現できる効果の範囲があらかじめ定められています。そして、その効果を逸脱する表現や、医薬品のように治療・予防効果があると認識させる表現や、効果が確実であるかのような表現をすることが禁止されています。
「毛穴に効果的である」という広告は、とても魅力的で訴求力も高いですが、上記のような表現をすると薬機法違反となります。以下、具体的な例を出しながら説明していきます。
毛穴の汚れ・黒ずみ解消はOK/NG?
「毛穴の汚れ・黒ずみ解消」は、クレンジングや洗顔料などの商品を広告する場合で、「毛穴の汚れや黒ずみを物理的に洗浄する」というような意味合いであればOKです。
規定上、スキンケア商品で、「(汚れを落とすことで)皮膚を洗浄する」という効果が認められています。
肌を洗浄するという意味合いであれば、「毛穴すっきり」や「毛穴をクリアに」などの表現も使うことができます。
例えば、「洗顔で毛穴の汚れをすっきり洗浄」や「クレンジングで汚れを落とし毛穴をクリアに」などの表現であればOKです。
ただし、肌を洗浄することで「毛穴が完全に無くなる」など、化粧品の効果が確実であるかのような表現は禁止されているので注意が必要です。例えば、「洗顔で毛穴を完全リセット」などの表現はNGとなります。
毛穴の引き締めはOK/NG?
「毛穴の引き締め」という表現はNGです。規定上、認められた効果の範囲外の表現なので、使うことはできません。
また、「引き締め」という表現は、毛穴の形状変化を想起させます。身体の構造や肌機能などを変化させる治療的効果を標ぼうするものであり、化粧品の効果を逸脱した表現であると判断される可能性があります。
例えば、「化粧水で毛穴をキュッと引き締める」など、化粧水自体が毛穴に直接的な効果を発揮するような表現はNGです。
また、「毛穴を小さくする」なども、毛穴の形状変化を想起させるのでアウトです。
しかし、規定上、「引き締め」に関しては、「肌を引き締める」は化粧品の効果として認められています。「肌を引き締めることで毛穴にも効果がある」といった意味合いの表現であれば謳うことができます。例えば、「お肌を引き締めて毛穴を目立ちにくくします」などの表現であればOKです。
毛穴の開きをなくすはOK/NG?
「毛穴の開きをなくす」という表現はNGです。
「毛穴の開き」という表現は、「毛穴の引き締め」と同様で、毛穴の形状変化を想起させ、治療的効果があることを標ぼうする表現だと判断される可能性があります。
「毛穴の開きを目立たせない」や「毛穴の開きを抑える」などの表現も、毛穴の形状変化に関することなので、使用しない方が安全だと考えられます。
なお、「毛穴の開き」についても、認められた効果である「肌の引き締め」を使用すれば謳うことができます。ただし、「なくす」という表現は、「毛穴がゼロになる」と消費者が認識する可能性があります。
規定上、効果が確実であるかのような表現は禁止されているので、「目立ちにくくなる」ぐらいの表現にした方が安全です。
例えば、「化粧水で肌を引き締めることで、毛穴の開きを目立ちにくくします」などの表現であればOKです。
毛穴レスはOK/NG?
「毛穴レス」という表現はNGです。規定上、商品の効果が確実であるかのような表現をしてはならないと定められています。
「毛穴レス」は、その商品を使えば毛穴が完全に無くなると、消費者が認識する表現であると判断される可能性があります。
例え、洗顔やクレンジングなどによって毛穴の汚れを洗浄するという意味合いであっても使うことはできないので注意が必要です。例えば、「クレンジングで汚れを洗浄して毛穴レスに」などはNGです。
毛穴を目立たなくするはOK/NG?
「毛穴を目立たなくする」のみはNGです。ただし、認められた化粧品の効果によって、毛穴が目立たなくなるという意味合いであればOKです。
「肌を引き締める」や「肌のキメを整える」は、化粧品の効果として認められているので、これらの効果のよって毛穴が目立たなくなるという表現であれば謳うことができます。
例えば、「肌を引き締めることで、毛穴を目立たなくする」や、「肌のキメを整えることで、毛穴を目立たなくする」などの表現であればOKです。
さらに、「肌の汚れを洗浄する」も化粧品の効果として認められているので、「(クレンジングで)肌の汚れを洗浄することで、毛穴を目立たなくする」などの表現もOKです。
毛穴ごっそり・角栓が消える広告は?
毛穴に角栓がごっそり詰まった広告などがありますが、化粧品では「毛穴の汚れを清浄する」という意味なら使うことができるため、広告の意味合いがその範囲内であれば、OKです。
ただ、毛穴がごっそり落ちて毛穴が消えているようなビフォーアフター画像は、効果が完全であると判断され違反となるおそれがあります。また景品表示法の観点からもチェックされます。
文言だけでなく、前後の文脈や画像も合わせて効果の範囲を逸脱していないかチェックしましょう。
まとめ
化粧品は、人の身体に直接作用するものなので、特に厳しく規制されています。規制があることで訴求力が弱くなってしまうなど、不便なことがあるかもしれません。
しかし、万が一規定に違反し、行政の指導を受けてしまうと、企業の社会的信用を損なう恐れがあります。また、課徴金が課されるなど、経済的損失も生じ得ます。
そういったことを避けるためにも、正しい知識を持っておくことは重要であると考えています。広告を作るにあたり、この記事が少しでも役に立てば幸いです。
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