美容液の広告では、どんな表現なら問題なく使用することができるのでしょうか。薬機法や景品表示法との関係は?
美容液だけでなく、まつ毛美容液についても解説します。
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美容液の薬機法(旧薬事法)分類は?
美容液は、薬機法(旧薬事法)上の「化粧品」に該当します。
薬機法の化粧品としては例えば他に、化粧水、乳液、洗顔料、ファンデーション、シャンプー、リップなどがあります。
美容液の広告規制
美容液の広告規制としては、主に薬機法と景品表示法が関係します。
薬機法では、第66条で虚偽誇大広告を規制しています。
景品表示法では、第5条で優良誤認表示や有利誤認表示を規制しています。
美容液が広告表現可能な効能効果
美容液は薬機法の「化粧品」に該当しますが、化粧品の広告表現で使える効能効果は次の56個です。
(1)頭皮、毛髪を清浄にする。
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4)毛髪にはり、こしを与える。
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7)毛髪をしなやかにする。
(8)クシどおりをよくする。
(9)毛髪のつやを保つ。
(10)毛髪につやを与える。
(11)フケ、カユミがとれる。
(12)フケ、カユミを抑える。
(13)毛髪の水分、油分を補い保つ。
(14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
(15)髪型を整え、保持する。
(16)毛髪の帯電を防止する。
(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
(19)肌を整える。
(20)肌のキメを整える。
(21)皮膚をすこやかに保つ。
(22)肌荒れを防ぐ。
(23)肌をひきしめる。
(24)皮膚にうるおいを与える。
(25)皮膚の水分、油分を補い保つ。
(26)皮膚の柔軟性を保つ。
(27)皮膚を保護する。
(28)皮膚の乾燥を防ぐ。
(29)肌を柔らげる。
(30)肌にはりを与える。
(31)肌にツヤを与える。
(32)肌を滑らかにする。
(33)ひげを剃りやすくする。
(34)ひがそり後の肌を整える。
(35)あせもを防ぐ(打粉)。
(36)日やけを防ぐ。
(37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
(38)芳香を与える。
(39)爪を保護する。
(40)爪をすこやかに保つ。
(41)爪にうるおいを与える。
(42)口唇の荒れを防ぐ。
(43)口唇のキメを整える。
(44)口唇にうるおいを与える。
(45)口唇をすこやかにする。
(46)口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
(47)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
(48)口唇を滑らかにする。
(49)ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(50)歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(51)歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(52)口中を浄化する(歯みがき類)。
(53)口臭を防ぐ(歯みがき類)。
(54)歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(55)歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(56)乾燥による小ジワを目立たなくする。
注1)例えば、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。
注2)「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
注3)( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。
美容液はこの中では、肌や皮膚にかんする効果が関係します。
上記56個以外の表現は、表現可能な範囲を逸脱している可能性が高いでしょう。
まつ毛美容液とは?
まつ毛美容液とは、まつ毛につける美容液で、まつ毛へのダメージをケアし、ハリやコシを与えることを目的としたものです。
まつ毛が伸びる、まつ毛が生えるなどの効果を表現している場合は注意が必要です。次の段落で説明します。
まつ毛美容液の広告で育毛は言える?
まつ毛を育てることを「まつ育」と呼ぶこともあるようですが、まつ毛美容液の広告表現は限りがあります。
まず、育毛効果がうたえるのは、医薬部外品の育毛剤です。
育毛剤の効能効果の範囲は以下。
育毛、薄毛、かゆみ、脱毛の予防、毛生促進、発毛促進、ふけ、病後・産後の脱毛、養毛。
薬機法上の「化粧品」に該当する「まつ毛美容液」では、育毛効果をうたうことはできません。「まつ毛が伸びる」「まつ毛が生える」などの効果もNGです。
そして、頭髪への使用を想定した「育毛剤(医薬部外品)」を「まつ毛美容液」として販売している商品もあるようですが、頭髪用で承認された育毛剤でまつ毛への育毛効果をうたうのも薬機法違反のおそれがあります。
さらに、目の周辺は皮膚が薄く、まつ毛美容液で健康被害が出ています。
まつ毛美容液の健康被害
国民生活センターで計測している「まつ毛美容液」の危害件数推移グラフです。
引用元:国民生活センター
被害としては赤み、かゆみ、腫れなどの症状以外に、角膜潰瘍になった人もいたとの報告です。
専門家からのコメントとして目の周辺はトラブルが多くなることが指摘されています。
顔や頭皮の部位によって皮膚の構造は大きく異なります。特にまぶたなど、目の周りは皮膚が薄く外界から物質が経皮吸収される率が最も高い部位となっています。
また皮脂分泌能力は通常年齢と共に減少し40歳代を過ぎると洗顔後の皮脂分泌回復力が衰えてきます。
特に秋から春にかけて乾燥する時期は刺激等の影響を受けやすく眼周囲のトラブルが多くなるようです。
引用元:国民生活センター
まつ毛美容液の厚生労働省資料
まつ毛美容液の健康被害を踏まえて、厚生労働省からは「まつ毛美容液を標榜する化粧品等の安全性確保について」という資料が出ています。
その資料の中では以下のことが書かれています。
◯医薬部外品として承認を受けた育毛剤は、頭髪の脱毛防止及び育毛を目的とされており、まつ毛への適用は承認されていない
◯まつ毛美容液を標榜する化粧品の製造販売業者は、当該化粧品について、使用説明書等に以下の事項を追記すること。
「使用中や使用後、刺激またはアレルギーによる赤み、かゆみ、痛み、腫れ等の異常が現れた場合、使用を中止し、医師にご相談ください。」
まつ毛美容液を販売する場合には、注意事項の記載など注意すべき点があります。
まつ毛美容液の消費者庁措置命令事例
2021年6月3日、「エターナルアイラッシュ」と称するまつ毛美容液について、景品表示法違反行為(優良誤認表示)が認められ、措置命令が行われました。(消費者庁の措置命令資料)
<表示内容の具体例>
・人物のまつ毛の長さの比較画像と共に、「2週間でまつ毛が伸びる↑『エターナルアイラッシュ』の効果がすごすぎる」及び「たった2週間でこんなにまつ毛が伸びてきた」
・本件商品の画像と共に、「2週間で2mm伸びる!まつ毛美容液<エターナルアイラッシュ>」及び「2週間で2mmも伸びるまつ毛美容液、エターナルアイラッシュですが、ものすごく大人気なのご存知ですか?」
まとめ
美容液の広告規制と、話題になったまつ毛美容液の広告表現及び法律違反事例等を紹介しました。
美容液が表現できる効能効果は限られています。逸脱した効能効果を表現して販売行為を行わないように注意してください。
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