美容機器の広告では、表現次第で薬機法違反になるおそれがあります。OK・NG表現、罰則、違反につながりやすい事例をわかりやすく解説します。
美容機器とは?
美容機器とは、美顔器、スチーマー、EMS機器、家庭用脱毛器、ローラー、LED搭載機器など、美容目的で使用される機器の総称です。
多くは雑貨や家電として販売されますが、広告でどのような効果をうたうかによって、薬機法上の問題が生じることがあります。
たとえば、単に「自宅で手軽にケアできる」と紹介する場合と、「シミが消える」「肌が若返る」「脂肪を分解する」と表現する場合では、法的なリスクが異なります。
美容機器では、機器の種類だけでなく、広告上の使用目的や効能効果の見せ方が重要です。
美容機器と薬機法の関係
美容機器は、広告表現によって薬機法の規制対象として問題になることがあります。
本来は薬機法の対象外とされる場合でも、例えば美顔器の広告で「肌が若返る」など医療機器のような効能効果をうたうと規制の対象になります。
特に、疾病の治療・予防を思わせる表現、身体の構造や機能に影響を与えるような表現は避けるべきです。
美容機器を販売するときは、「何をする機器か」だけでなく、「広告で何を約束しているように見えるか」を確認する必要があります。
美容機器の広告に関わる規制
美容機器の広告は、薬機法や景品表示法に特に注意が必要です。
よくある関連規制としては、次の3つです。
①薬機法の虚偽誇大広告
1つ目は薬機法上の虚偽・誇大広告です。
効果を実際以上に良く見せたり、根拠のない性能をうたったりする表現は避ける必要があります。
②薬機法の未承認医療機器
2つ目は、未承認の医療機器のように見える広告です。
医療機器として承認・認証されていない美容機器で、治療効果や身体の構造や機能を変化させる効果をうたうと違反になるおそれがあります。
③景品表示法の優良誤認
3つ目は、景品表示法上の優良誤認です。
薬機法だけでなく、景品表示法にも注意が必要で、実際より著しく優れているように見せる優良誤認表示もよく問題となります。
このように、美容機器広告では、薬機法と景品表示法の両方を意識して、効能効果・安全性・比較表現を使いましょう。
美容機器の広告OK/NG表現
美容機器の広告では、作用や効果が事実であることが前提ですが、化粧品の効能効果の範囲で効果を表現することが可能です。
ただし、効果には客観的かつ合理的な根拠が必要です。
また、虚偽誇大表現や、身体の構造または機能に影響を及ぼす表現は使用してはいけません。
さらに、使用頻度や使用時間は適切な指示をする必要があります。そして、効果の保証や安全性の確保が確実にできるかのような表現は使えません。
他には、不安を煽るような表現も違反となるおそれがあります。
NG表現と言い換え後のOK表現の具体例を紹介します。
| NG表現 | OK表現 | 補足 |
| 細胞を活性化する | 肌環境を整える | 美容効果等の範囲を超えた表現はNG |
| ターンオーバーを正常にする | 肌のコンディションを整える | 美容効果等の範囲を超えた表現はNG |
| セラピーを受けているような | トリートメントを受けているような | 美容効果等の範囲を超えた表現はNG |
| リラックスすることができ る | リフレッシュすることがで きる | リラックスは精神的な効果表現なので不可。リフレッシュは、気分的な転換のみなので可能。 |
| たるみが気になる | エイジング※サインが気に なる(※年齢に応じた対策) | 顔や身体の形状変化は謳えないので、印象面の表現でとどめる |
| リフトアップする | お顔を上向き印象へ | 顔や身体の形状変化は謳えないので、印象面の表現でとどめる |
| アンチエイジング | エイジングケア※(※年齢に応じた対策) | エイジングの定義とケアとい う表記で断定を避ける |
| 光脱毛器 | 光美容器 | 美容機器は、生えている「毛」 のみを物理的に切断するものであるため、医療機器にあたる表現は避ける |
| 真皮から皮下組織まで美容 成分を浸透させる | 肌の奥深く※まで浸透※角質層まで | 美容・健康機器でアプローチできる範囲は「角質層」まで |
| 繊維芽細胞に作用し、たるみを改善 | 年齢を感じさせない、ハリ のある肌を目指す | 細胞は、基底層で分裂するので、細胞について言及することはできない |
| 創設約80年の歴史に裏付け られた確かな効果 | 創設約80年の歴史のある メーカーである | 会社の歴史と、商品の効果に相関関係を持たせない表現をする |
| 先進美容医療の先進国であ る◯◯(国名)で開発されているので高い効果を発揮します | ◯◯(国名)で開発された | 特定の国の先進性が、商品の優良性の保証と想起させるような繋がりある表現はしない |
| 絶対に効果があります | 効果には個人差があります | 効果については断言しない |
| 好転反応だから使用を続けてもよい | 身体に異常が出たら使用を一時休止する | 無制限使用による副作用等の障害を発生させないようにする |
| いくら使っても安全である | 適正な頻度、回数で使用する | 無制限使用による副作用等の障害を発生させないようにする |
| 医療機関でテスト済み | 第三者機関でテスト済み | 「医療」という言葉は、医療機器を連想させるので使用しない |
| 血行が良くなる | 肌の環境を整える | 医療機器的効果について表現しない |
| 体内の老廃物を流す | つまみ流す・押し流す | 医療機器的効果について表現しない |
| 徐々に年老いていく顔写真を誇張して掲載 | – | 消費者を過度に不安にさせるような表現をしない |
| 一般的なケアをしている顔 写真(老けたもの)と、製品を使用してケアをしている写真を比較 | 比較表現を行わない | 製品を使用しないと、老けてしまうという不安感を煽るような表現をしない |
美容機器広告で違反したときの罰則
薬機法の場合
美容機器広告で薬機法に違反すると、広告の修正や削除だけでなく、行政指導や処分につながる可能性があります。
特に、虚偽誇大広告(薬機法第66条)や未承認医療機器(薬機法第68条)の広告は厳しく見られます。
第66条・第68条に違反した場合、2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはその併科となります。
さらに、第66条1項に違反した場合、課徴金の対象となり、対象商品の売上額の4.5%が課されます。
景品表示法の場合
実際より著しく優れているように見せる表現は、優良誤認として問題になる可能性があります。
美容機器広告では、売上を伸ばすために強い効果表現を使いたくなりますが、違反すると企業の信用低下、広告停止、販売機会の損失につながるおそれがあります。
優良誤認表示の場合、景品表示法の措置命令が行われ、違反したことが公表されます。また課徴金の対象となった場合、対象商品の売上額の3%が課されます。
美容機器の違反事例3つ
①美顔器で「シミが消える」「肌が若返る」と表現したケース
美顔器で「シミが消える」「肌が若返る」と表現するのは避けるべきです。
これらは美容訴求として使われがちですが、肌の状態が大きく変化する効果を断定しているように見られます。
美顔器などの美容機器は本来薬機法の対象外となる場合でも、広告で「肌が若返る」といった表現を使うと規制が及びます。
この場合は、「肌を整える」「明るい印象の肌へ」「年齢に応じたケアをサポート」など、医療的な効果を断定しない表現に調整するのが望ましいです。
②ローラー・美顔器で「リフトアップ」と断定した事例
美顔ローラーや美顔器で「たるみを改善」「リフトアップする」「ほうれい線が消える」と断定する表現も、薬機法上問題になる事例です。
見た目の印象を超えて、皮膚や筋肉など身体機能への作用を示すように受け取られる可能性があるためです。
代替表現としては、「すっきり見せたい方のケアに」「フェイスラインのケアに使いやすい」などが考えられます。
③家庭用脱毛器で「永久脱毛」「医療脱毛級」と表現したケース
家庭用脱毛器で「永久脱毛」「医療脱毛級」「毛が二度と生えない」と表示するのは避けるべきです。
永久脱毛や医療脱毛を想起させる表現は、医療行為や医療機器の効果を連想させやすいためです。
医療機器広告では、承認された効能効果を逸脱する表現が問題になるとされています。
家庭用脱毛器では、「ムダ毛ケアをサポート」「自宅でムダ毛のお手入れができる」「照射レベルを調整できる」など、医療的な効果ではなく、家庭でのケアや製品機能を説明する表現にとどめましょう。
まとめ
美容機器は、雑貨や家電として販売される場合でも、広告表現によって薬機法や景品表示法の問題が生じます。
特に「治る」「改善する」「消える」「若返る」「脂肪を分解」「永久脱毛」など、医療的効果や身体変化を断定する表現は避けるべきです。
広告では、効果を強く約束するのではなく、機能・使用感・使用シーン・根拠のある仕様説明を中心に伝えましょう。
公開前には、商品ページ、LP、SEO記事、SNS、口コミまで含めて、広告全体の文脈を確認することが重要です。












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