ヒアルロン酸ナトリウム(ヒアルロン酸Na)は、化粧品や医薬部外品の原料として幅広く使用されています。これらの多くは、塗ることにより皮膚の外側からヒアルロン酸ナトリウムを浸透・吸収させるタイプのものです。
一方、2015年4月から、科学的根拠(エビデンス)に関する情報を届け出ることにより、企業の責任において機能性をパッケージに表示することができる「機能性表示食品制度」がスタートし、口から摂取するタイプの、ヒアルロン酸ナトリウムを含む食品やサプリメントも数多く登場しています。
そして、ヒアルロン酸ナトリウムを口から摂取することによる効果も報告されています。
そこで、この記事では、ヒアルロン酸ナトリウムと、食品やサプリメントの原料としてのその効果、そして、ヒアルロン酸ナトリウムを含む食品やサプリメントについてご紹介したいと思います。
ヒアルロン酸ナトリウムとは
ヒアルロン酸は、1934年に、アメリカ・コロンビア大学教授のカール・マイヤー博士らによって、ウシの眼の硝子体(しょうしたい)から初めて分離された多糖類です。
ヒアルロン酸は、私たち人間の体内のいたるところに存在し、皮膚、関節、靭帯、へその緒(臍帯)、眼の硝子体、脳、肺、腎臓など、さまざまな臓器や組織に広く存在しています。ヒアルロン酸は細胞と細胞との間(隙間)に多く存在し、水分の保持やクッションのような役割により細胞を保護しています。
特に、皮膚には体内で最も多くのヒアルロン酸が存在しており、その量は全身に含まれる量の50%を占めると報告されています。皮膚のヒアルロン酸は、主に、表皮のケラチノサイトと、表皮の下にある真皮の繊維芽細胞とで合成されることが分かっています。このため、表皮と真皮にはヒアルロン酸が多く含まれており、水分が十分に保たれ、皮膚のみずみずしさに寄与しています。
体内のヒアルロン酸の濃度は加齢とともに減少していき、皮膚では40代後半から急激に減少していきます。その結果、皮膚にみずみずしさがなくなり、シワが目立つようになってきます。
ヒアルロン酸は、食品、サプリメントなどの製品には「ヒアルロン酸ナトリウム」の形で通常配合されています。
ヒアルロン酸ナトリウムには、ニワトリの鶏冠(とさか)から得られる動物由来のものと、微生物を用いる発酵法によって得られるものとがあります。
ヒアルロン酸ナトリウムは、白色~淡黄色の粉末です。また、ヒアルロン酸ナトリウムの溶液は、無色のねばりけがある液体です。
ヒアルロン酸は分子量が大きく、体内に吸収されにくいため、その吸収率を高めるために低分子化されたタイプのサプリメント、ドリンクなどが販売されています。
また、近年、従来のヒアルロン酸ナトリウムの化学構造を人工的に改変させたアセチル化ヒアルロン酸ナトリウム(AcHA)は、「スーパーヒアルロン酸」と呼ばれ、皮膚に対して優れた効果を有することが分かっています。
ヒアルロン酸ナトリウムの効果
ここでは、食品、サプリなどにより口から摂取する場合のヒアルロン酸ナトリウムの代表的な効果についてご説明します。
(1)保湿効果
ヒアルロン酸は、1g当たり2~6リットルの水分を保持することが可能とされています。皮膚の真皮がその重さの60%~80%に当たる水分を保持していられるのも、ヒアルロン酸のおかげだと言えるでしょう。
ヒアルロン酸は、皮膚によく吸収され、肌表面又は角質層で水分を抱え込み保湿する効果を有します。湿度が低くても保湿効果を発揮する点で有利です。
37歳~59歳の乾燥肌で悩んでいる人を対象とした研究では、ヒアルロン酸ナトリウム120 mgを含有するカプセルを1日1回経口摂取した人は、ヒアルロン酸ナトリウムを含有しないカプセル(プラセボ)を摂取した人に比べて、肌表面の水分量が摂取3週間後に有意に高くなり、6週間後には高い傾向を示すことが報告されています。
ヒアルロン酸の補給が皮膚の水分保持に適していることは、化粧品による使用を通して一般に広く認識されてきていますが、上述の報告から鑑みて、化粧品よりも食品などとして口から摂取する方が持続的な効果が得られることが示唆されます。
なお、経口摂取されたヒアルロン酸については、これまでの研究報告から、摂取後、その多くは腸内細菌によって低分子化(分解)されることが分かっています。ヒアルロン酸が低分子化されることによって腸管内で吸収され、血管を通って皮膚に届くことが報告されています。そして、皮膚に届いたヒアルロン酸は、皮膚の繊維芽細胞でのヒアルロン酸合成を促進し、皮膚中のヒアルロン酸量が上昇すると考えられています。
(2)膝関節痛軽減効果
日本における変形性膝関節症の患者数は、痛みを伴う患者が約700万人、そしてエックス線上で確認される患者が約2,400万人と推計されており、近年では、医学的な治療のほかに、食品を通じて症状を軽減するという選択肢も広がりつつあります。
変形性膝関節症患者(アメリカ人)に、ヒアルロン酸ナトリウムを含有する食品を1日当たり200 mg経口摂取させたところ、摂取8週間後に、変形性膝関節症による痛みが軽減されることが確認されました。
このメカニズムについては、経口摂取されたヒアルロン酸が腸管上皮の受容体に結合し、炎症を抑える物質(抗炎症性サイトカイン)を増やすタンパク質の発現が促進されることが分かっています。そして、抗炎症性サイトカインは、炎症を発生させる物質(炎症性サイトカイン)を抑えることによって、炎症を抑制します。
ヒアルロン酸ナトリウムを含むサプリ&食べ物12
機能性表示食品の中で、機能性関与成分が「ヒアルロン酸Na(ナトリウム)」になっているものをヒアルロン酸ナトリウムを含んだサプリ&食べ物として紹介します。
「表示しようとする機能性」が効果を示している言葉です。
効果の内容にも注目しましょう。
1.ヒアロモイスチャー240
・商品名:ヒアロモイスチャー240
・届出者:キユーピー株式会社
・機能性関与成分名:ヒアルロン酸Na
・表示しようとする機能性
引用先:http://kewpie.blueflag.co.jp/lp/n_hym020_03/
2.ディアナチュラゴールド ヒアルロン酸
・商品名:ディアナチュラゴールド ヒアルロン酸
・届出者:アサヒフードアンドヘルスケア株式会社
・機能性関与成分名:ヒアルロン酸Na
・表示しようとする機能性
引用先:https://www.asahi-fh.com/company/newsrelease/2015/150610.html
3.ヒアルロン酸
・商品名:ヒアルロン酸
・届出者:森下仁丹株式会社
・機能性関与成分名:ヒアルロン酸ナトリウム又はヒアルロン酸Na
・表示しようとする機能性
引用先:https://www.181109.com/item/08570/
4.プレミアリッチ パーフェクトアスタヒアルロン酸パウダー
・商品名:プレミアリッチ パーフェクトアスタヒアルロン酸パウダー
・届出者:アサヒフードアンドヘルスケア株式会社
・機能性関与成分名:ヒアルロン酸Na
・表示しようとする機能性
引用先:http://www.asahi-fh.com/perfectcollagen/products/powder_hyaluronic.html
5.ヒアロビューティー
・商品名:ヒアロビューティー
・届出者:キユーピー株式会社
・機能性関与成分名:ヒアルロン酸Na
・表示しようとする機能性
引用先:http://kewpie.blueflag.co.jp/lp/n_hybeauty_01/
6.うるおうヒアルロン酸
・商品名:うるおうヒアルロン酸
・届出者:株式会社ファイン
・機能性関与成分名:ヒアルロン酸Na
・表示しようとする機能性
引用先:http://www.fine-kagaku.co.jp/item/50on/50a/8102.html
7.素肌うるおいヒアルロン酸
・商品名:素肌うるおいヒアルロン酸
・届出者:オリヒロプランデュ株式会社
・機能性関与成分名:ヒアルロン酸Na
・表示しようとする機能性
引用先:http://health.orihiro.com/product/detail/?id=304
8.ヒアルロン酸α
・商品名:ヒアルロン酸α
・届出者:株式会社ファイン
・機能性関与成分名:ヒアルロン酸Na
・表示しようとする機能性
引用先:http://www.fine-fine-fine.net/hyaluronic_acid_alpha.html
9.高純度ヒアルロン酸サプリ
・商品名:高純度ヒアルロン酸サプリ
・届出者:株式会社ファイン
・機能性関与成分名:ヒアルロン酸Na
・表示しようとする機能性
引用先:http://www.caa.go.jp/foods/pdf/A121-kihon.pdf
10.アサヒ 素肌URURU(うるる)
・商品名:アサヒ 素肌URURU(うるる)
・届出者:アサヒ飲料株式会社
・機能性関与成分名:ヒアルロン酸Na
・表示しようとする機能性
引用先:http://www.asahiinryo.co.jp/asahinokinou/sp/
11.フラコラ ヒアルロン酸
・商品名:フラコラ ヒアルロン酸
・届出者:株式会社協和
・機能性関与成分名:ヒアルロン酸Na
・表示しようとする機能性
引用先:http://www.fracora.com/products/supplement/detail.html?prod_id=03004501
12.白酵ヒアプラ
・商品名:白酵ヒアプラ
・届出者:株式会社ナチュラルガーデン
・機能性関与成分名:ヒアルロン酸Na
・表示しようとする機能性
引用先:http://www.wellshop.jp/real/camp/new/017_hya001/
まとめ
肌の水分を保つための成分として消費者にも人気のあるヒアルロン酸Naの説明と、ヒアルロン酸Naを含む食品を紹介しました。
今後もヒアルロン酸Naを機能性関与成分とした機能性表示食品はたくさん出てきそうです。今後の商品にも要注目です。
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