内科と外科の違い3つと診療科目別の病院数割合

病院には、大きく「内科」、「外科」があります。たとえば、急な腹痛のとき、あなたは、内科と外科どちらを受診しますか?正直、どちらを受診すべきか迷ってしまうという人は多いのではないでしょうか?内科、外科といわれてもその違いはピンとこないものです。

まず初診は内科へ行ってくださいといわれますが、そもそも内科と外科とは、何が違うのでしょう?

ここでは、内科と外科の違い、さらに医師や看護師の働き方の特徴、診療科目別の病院数の割合などについてご紹介します。

目次

内科とは?

内科とは、内臓などの病気を診断し、手術ではなく、主に薬物療法で治療にあたる医療・医学の分野、または、診療科名です。

19世紀に「外科」という医学の分野が独立したことにより、外科以外の医学の分野を「内科」と呼ぶようになったといわれており、古くから医学の基礎といわれている分野です。
さらに、臓器や器官ごとに、消化器内科、循環器内科、呼吸器内科など専門分野が分かれています。

内科の診療科目一覧

<消化器内科>
消化器内科は、主に食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆道、膵臓などといった消化や吸収に関わる臓器の病気の診断や治療を専門とします。消化器内科の中でも、胃と腸の病気を専門に診る胃腸科、肝臓の病気を専門に診る肝臓内科というように、さらに細分化した診療科目名の病院やクリニックもあります。

<循環器内科>
循環器内科は、心筋梗塞や狭心症、不整脈、高血圧、心筋症、閉塞性動脈硬化症など
血液の循環を司る心臓や血管の病気の診断や治療が専門の診療科です。

<呼吸器内科>
呼吸器内科は、風邪による上気道炎など身近な病気から急性気管支炎、肺炎、肺気腫、肺がんなど気管や肺といった呼吸に関わる臓器、器官の病気を専門に診る診療科です。

<血液内科>
血液内科は、血液の病気を専門に診る診療科です。血液の病気とは、白血病やリンパ腫、貧血、特発性血小板減少性紫斑病などの血小板の異常などです。

<代謝・内分泌内科>
糖尿病や脂質異常症などの生活習慣が関わる代謝の病気や副腎や甲状腺、下垂体などの内分泌の病気を専門に診る診療科です。

<腎臓内科>
腎炎やネフローゼ症候群、腎不全など腎臓の病気を専門に診断・治療する診療科です。

<神経内科>
脳や脊髄、神経、筋肉に原因があり、頭痛やしびれ、めまい、手足が勝手に動く、うまく力が入らないなど、身体に症状が現れる病気を扱う診療科です。このような症状がみられたら、まず神経内科を受診して、診断によって、手術が必要な場合は、脳神経外科、精神的なものが原因であれば精神科、骨や関節の異常が原因の場合は整形外科というように、適切な診療科を紹介してもらうとよいです。

<膠原病リウマチ内科>
体の免疫機能に原因不明の異常が起き、自らの身体を攻撃してしまうリウマチなどの膠原病の診断・治療を専門とする診療科です。

<小児科>
新生児から15歳くらいまでの子どものさまざまな病気を専門に診る診療科です。子どもの体や精神は成長過程にあり、大人とは異なる特徴を持つため、病状の経過も異なってきます。

<総合診療科>
近年、専門分野が再分化されて、どの診療科を受診すればよいのかわからないケースが多くあります。総合診療科では、疾患や臓器を限定せずに診察・診断をし、必要であれば各診療科へ紹介する役割を担っています。

外科とは?

外科とは、主に手術によって病気や怪我を治療する医学の分野、または、診療科名です。
外科も内科同様に、臓器や器官別に専門分野が分かれています。

外科の診療科目一覧

<脳神経外科>
脳梗塞や脳内出血、脳腫瘍など脳や脊髄、神経の病気を専門に診断、治療を行います。

<心臓血管外科>
心臓や血管の病気に対して、手術治療を行う診療科です。

<呼吸器外科>
肺や気管、気管支、横隔膜など呼吸に関わる臓器・器官の病気を診断、主に手術治療を専門とする診療科です。

<消化器外科>
食道や胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆道、膵臓といった消化・吸収に関わる臓器の病気の診断、主に手術治療を専門とする診療科です。

<乳腺外科>
乳腺炎や乳がんなど、乳腺の病気の診断、治療を専門とする診療科です。

<整形外科>
骨や関節、筋肉、腱、脊椎、脊髄、手足の神経の病気の診断、治療を専門とする診療科です。病態や症状に応じて、手術や注射、投薬、リハビリテーションなどで治療を行います。

<形成外科>
身体の組織の異常や変形、欠損などに対して矯正手術や再建手術を行う診療科です。たとえば、口唇口蓋裂の形成や外傷などによる顔面の欠損部位の再建、乳房摘出術後の乳房再建などを行います。

<美容外科>
機能的には何の問題もないけれど、容貌が精神的負担となっている場合に美容のために形成手術を行います。

<小児外科>
子どもの手術を専門に行う診療科です。子どもの内臓は発達段階で機能も未熟な状態であり、年齢とともに変化していきます。そのため、子どもの手術には、このような子どもの特徴を十分に認識した上で手術前後の管理を行うことが必要であるということから、小児外科という領域ができました。

<歯科口腔外科>
口の中やその周囲の病気を診療します。地域の歯科医院では対処が困難な外科的処置や口腔がん、顎骨骨折、急性の炎症、口腔粘膜の病気などを専門に診ます。

<泌尿器科>
腎臓や膀胱、尿道、男性生殖器(前立腺、精巣、陰茎など)の病気や外傷の手術などが専門です。

<産婦人科>
産科は妊娠、分娩を担当し、婦人科は、女性の子宮や卵巣といいた生殖器の病気を専門に診る診療科です。産科では、帝王切開など外科的処置があり、婦人科でも薬物療法もありますが、手術も行われるため、外科系の診療科になります。

<耳鼻咽喉科>
耳、鼻、のど、頸部の病気を専門に診る診療科です。内科的な治療と外科的な治療の両方が行われる外科系の診療科です。

<眼科>
眼の病気を専門に診る診療科です。内科的な治療もありますし、手術を行う治療もあり、外科系の診療科といえます。

内科と外科の違い3つ

内科と外科の違いをまとめてみましょう。

①受診までの経緯の違い

内科と外科でどちらの診療科に行くのが適切なのかわからない場合は、まず、内科で診察を受け、医師が外科での治療が必要と判断した場合、外科を紹介となります。

内科は、窓口となって最初に受診となることが多く、外科は紹介で受診するケースが多いといえます。

もちろん、医師は、医学部で内科、外科、眼科、耳鼻科、産科、婦人科などすべてを学び、卒業後の研修で専門分野を決定するため、内科医でも外科の知識があり、外科医も内科の知識があります。

②治療方法の違い

主な治療方法の違いが内科と外科の大きな違いです。
内科は、主に薬物療法で病気の治療を行います。一方、外科は、手術によって患部を摘出したり、創傷部を縫合して治療を行います。

ただし、外科では、薬物療法は行わないかといえば、そういうわけではなく、悪性腫瘍では、腫瘍の縮小を期待して手術の前に抗がん剤による化学療法が行われるケースもあります。また、手術で腫瘍摘出後、抗がん剤による化学療法が行われる場合もあります。

また、近年では、内科でもカテーテルを手首や足のつけ根の動脈から挿入し、血管が狭くなっている部分や詰まっている部分を拡げる技術や内視鏡検査時に腫瘍やポリープを摘出するなどの技術の導入により、以前は、外科の領域であった血管を拡げたり、腫瘍を摘出する手術が、その程度や部位によっては内科で処置が行われ、内科と外科の領域が重なる部分が増えています。

③治療による身体への負担

検査や治療により体を傷つけることを「侵襲」といいます。たとえば、聴診器で心音や肺音を聴くのは侵襲のない検査になり、それに比べ採血や胃カメラは侵襲のある検査になります。治療は、薬物療法であれば副作用のリスク、手術では身体にメスを入れるため、侵襲があります。侵襲が大きいほど、患者さんの身体に負担がかかります。

この侵襲の程度で見てみると、外科の手術は、体にメスを入れるため、侵襲の大きい治療となり、それに比べ内科の治療は侵襲が小さい治療となります。このように内科の治療と外科の治療で、身体への負担に違いがあります。

内科の医師・看護師の性格や働き方の特徴

内科の医師の性格や働き方の特徴

内科にもさまざまな診療科がありそれぞれの診療科により医師のカラーが少しずつ異なりますが、一般的によくいわれる内科の医師のイメージをご紹介します。

内科医師にもさまざまなタイプの人がいて、性格は一概に言えないですが、内科では、ひとつの症状からいくつかの病気を想定して、検査を行ったり、薬の処方など細かなところまで気を配る必要があります。さらに、患者さんの話をじっくり聞きつつ、指導、教育をしていく必要もあります。そのためか、内科の医師は、穏やかな性格で、物事をじっくり考える几帳面で真面目なタイプの人が多いようです。

しかし、カテーテル治療を行う循環器内科や内視鏡治療を行う消化器内科の医師には、内科でも体育会系の性格の人が多くなっているようです。

内科の看護師の性格や働き方の特徴

内科は、比較的慢性期の患者さんが多く、ひとりの患者さんに長期的に関わっていくことが多くなる傾向にあります。生活習慣病の患者さんの場合は生活指導を行っていき、高齢者の患者さんの場合は、身の回りのお世話をすることも多くなります。

特に慢性期の看護では、忍耐強くて、じっくり人と接する、穏やかでおっとりしたタイプの人が向いているといわれます。実際も内科の看護師さんは、人当たりのやさしい人が多いように感じます。

しかし、同じ内科でも循環器内科では、急性期の患者さんが多いため、看護師にも他の内科に比べて、より迅速な判断力が求められます。

外科の医師・看護師の性格や働き方の特徴

外科の医師の性格や働き方の特徴

外科も内科同様に、同じ外科でも診療科により医師のカラーは少しずつ異なりますが、一般的に、外科の医師には、手先の器用さに加え、長時間の手術を行う体力、また、手術時の不測事態への瞬時の判断力が必要です。そのため、外科の医師は、体力があり、精神的にもタフな体育会系の人が多いです。また、比較的大雑把なタイプの人が多いともいわれます。お酒に強い人も多いようですよ。

しかし、外科の医師は、一様に大雑把かといわれれば、やはり個人個人さまざまなタイプの医師がいますので、一概にはいえません。

同じ外科でも脳神経外科や心臓血管外科の医師は、より繊細な手術を行う必要があり、神経質で細かい人が多い傾向にあるようです。さらに、形成外科の医師は、凝り性な人が多いとの意見もあります。

外科の看護師の性格や働き方の特徴

外科の看護師の仕事は、手術前後の処置や全身状態の観察など急性期の看護がメインで、迅速な判断力と観察力が必要です。手術や検査の時間に合わせて準備や患者への説明を行いながら、患者さんやその家族への精神面のケアも行うため、とても忙しい環境です。

そのため、外科の看護には、テキパキとしていて、意見をはっきり言う、白黒をはっきりつける、感情の切り替えが早いといったタイプの人が向いているといわれます。実際に外科の看護師さんといえば、テキパキとしたサバサバ系の人が多いと感じます。

診療科目別の病院数割合

内科と外科は、どちらが多いのでしょうか?
平成27年(2015)医療施設(動態)調査・病院報告の概況(厚生労働省)より、診療科目別の病院数の割合をみてみると、一般病院総数の92%が「内科」を標ぼう(診療科として掲げている)しており、最も多くなっています。一方、外科と標ぼうしている病院数は、一般病院総数の62.9%となっています。

このように、外科に比べて、内科の方が病院数の割合は多くなっています。
また、診療科別の医師の数でも内科医が最も多いと報告されています(平成26年(2014)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況:厚生労働省より)。

まとめ

内科、外科の違いは、治療において、薬物療法がメインであるか、手術がメインであるかが大きな違いではありますが、近年は医療技術の進歩とともに、内科医もカテーテルや内視鏡による処置を行い、外科でも抗がん剤による化学療法が行われ、その仕事は重なる範囲が広くなっています。

初診が内科であれば、薬物療法のみで手術は行われないというわけではなく、初診が内科であっても手術が必要であると判断されれば、外科を紹介となり、内科医、外科医が連携して、病気の治療は行われています。

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