コンプレックス商材広告が不快…禁止?誇大広告事例4個

近年、他の媒体よりも安い費用で打ち出せることから、多くの事業者が「ネット広告」を利用しています。

様々なネット広告が出稿される中で、近年問題視されているのが「コンプレックス広告」です。「コンプレックス広告」は、訴求力が高い反面、やたらとコンプレックスを煽る過激な表現をするものが多く、規制強化が進んでいます。

この記事では、問題となっている「コンプレックス広告」について説明します。

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目次

コンプレックス商材とは?

コンプレックス商材とは、人が抱えるコンプレックスに対して訴求する商品やサービスのことを言います。特に、ダイエットや美容や薄毛などに効果的と謳う化粧品や健康食品等の部類に多い商材です。

実際にコンプレックスを解消するものもありますが、中にはコンプレックスを煽るだけ煽いで、効果がほとんど無いような詐欺商品もあるようです。また、化粧品や健康食品などの商品が多いため、薬機法等のルールにも注意すべき商材と言えます。

コンプレックス商材の市場規模

いくつかのコンプレックス商材の市場規模を確認しておきましょう。

◯ヘアケア市場
矢野経済研究所によると、2020年度のヘアケア市場は4,537億円。ヘアケア市場は、毛髪業市場、植毛市場、発毛・育毛剤市場、ヘアケア剤市場の合計とされています。
参考サイト

◯健康食品市場
株式会社インテージによると、2021年度の健康食品・サプリメント市場は1兆3,732億円。ダイエット向けサプリなども含まれます。
参考サイト

コンプレックス商材の市場は他にもありますが、このようにコンプレックス商材がある市場は非常に大きく対象となる人も多いため、悪質な広告が後を絶ちません。

過激な表現や外見蔑視広告が使われる理由

過激な表現や外見をバカにしたような差別的な表現が使われる理由は、反応が取れるからです。

SNSでインフルエンサーが過激なことを言って反応をとるのも同様の場合があるでしょう。

過激な表現は、不快だと感じてすぐに広告を見なくなる人もいれば、逆に自分のコンプレックスを刺激されて見てしまう人もいます。他人から見れば特に悩みを抱えていなさそうな人でも、コンプレックスは少なからずあるので、刺激されて見る人も多いでしょう。

コンプレックス広告が禁止になった理由

コンプレックス広告が禁止になった理由は、倫理的な問題が問われ始めたからです。

コンプレックス広告は、身体的な特徴などをことさらに強調したり、不安を掻き立てる表現で、人のコンプレックスを過剰に煽るものです。多くの人が、「痩せたい」、「綺麗になりたい」など何かしらの願望を持っています。

そういった消費者への訴求力を高める目的で、過激な表現をすることが倫理的な面で問題視されるようになりました。最近は、コンプレックス広告に対する消費者からの苦情が増え、コンプレックス広告に対する広告掲載基準は厳しくなっています。

Yahooのコンプレックス広告禁止内容

2020年にYahooがコンプレックス広告の出稿を禁止しました。

Yahooは、実際に出稿された広告掲載基準に反する表現(「ふくよかな体型で人と一緒に歩くことを避けられていたが、ダイエット商品を使用してそのようなことが無くなった」、「薄毛で人の目が気になり自信を持てなかったが、育毛製品を利用し自信を持てるようになった」など)を挙げた上で、

一部の身体的特徴を取り上げて、コンプレックスと表現することは、差別意識を温存・助長させ、決して許されるものではない。」と禁止の理由を説明しています。

そして、「人はそれぞれ多様な特徴を持っており、身体的な特徴もその一つ」であるとして、身体的なコンプレックスを露骨に表現することで消費者の購買意欲を高めるような広告を禁止したのです。

実際にコンプレックス広告を禁止としたYahooの判断には、「業界に広がって欲しいと」賞賛の声が上がりました。

コンプレックス広告の誇大広告事例4個

どういった表現が違反と判断される恐れがあるのか、実際にあった事例も交えて説明します。

1. 薄毛の悩み解消の育毛剤

アフィリエイトサイトにて、「長年ハゲと馬鹿にされてきた私がたったの1ヶ月で」という記載と共に、「Before」と記載された薄毛の頭頂部の画像と「After」と記載された毛髪が濃い頭頂部の画像を表示しました。そして、「カツラ?!と同僚から笑われました」と記載し、あたかも本商品を使用することで、本商品に含まれる成分によって短期間で薄毛が改善されるかのような表現を行いました。

しかし、事業者側から提出された根拠資料は、効果を裏付ける合理的なものではありませんでした。

そのため、こういった表現は、本商品が実際よりも優良であると消費者を誤認させる恐れがあり、景品表示法に違反すると判断される可能性があります。

また、たとえ表示の付近に「※イメージです」や「※個人の感想です」の注釈を入れたとしても、これらの効果の認識を打ち消すものでないと判断されると考えられます。

2. 10キロやせるダイエットサプリ

Youtubeの漫画広告で、まず、ふくよかな女子高生が異性に告白すると、「デブは恋愛対象外だ。」とフラれます。そして、その女子高生が広告商品のダイエットサプリを飲み、1ヶ月後10キロものダイエット成功し、男子からモテモテになるというストーリーを、「飲むだけで痩せる!」という記載と共に表示しました。

あたかもダイエットサプリを飲むだけで、運動や食事制限をせずに、短期間で容易に著しい痩身効果が得られるかのような表現ですが、実際は、ダイエットサプリの効果に合理的な根拠資料はありませんでした。

また、消費者庁は、人が適切な運動や食事制限をしながら痩せることができるのは、6ヶ月で4~5キロ程度と述べています。

よって、本商品が実際よりも優良であると消費者を誤認させる恐れがあり、景品表示法に違反する表示であると判断される可能性があります。

3. バストアップするサプリ

インスタグラマーがサプリメントのPR投稿として、「モデルやインスタグラマーがバスト激変しまくり」と謳い、「Before」と記載された女性のぺたんこの胸部と「After」と記載された豊満な胸部の画像を表示し、「幼児体型から自信が持てる美バストへ」と記載しました。

豊胸などの人体の組織機能への影響・変化を謳うなど、あたかも医薬品的な効果があると消費者に認識させるような表現は、薬機法上禁止されています。

そのため、こういった「サプリメントを飲むことでバストが大きくなった」などの表現は薬機法違反と判断される可能性があります。さらに、インスタグラムではハッシュタグも薬機法の審査対象となり得ます。

4. シミが消える化粧品

ウェブサイトの広告で、顔のシミを強調した画像と共に、「シミが多いと職場で馬鹿にされた」という体験談を装った話を紹介した後、「●●(ファンデーション名)を使用した肌」という記載と共に、まったくシミのない白い肌の画像を表示しました。

こういった、出来てしまったシミが無くなるような治療的な表現も薬機法で禁止されています。また、「シミが消える」と明記せずとも、消費者がそう認識するような比較画像を使用することも禁止されます。

コンプレックス商材のマーケティング・SNS投稿の注意点

コンプレックス商材のマーケティングやSNS投稿では、特に薬機法や景品表示法に注意しましよう。

何とか売りたいからといって、反応がとれそうな過度な表現を使うと、薬機法や景品表示法に違反した表現を使ってしまい、後々逮捕や行政処分になる可能性があります。

そうなると全国ニュースになるおそれもあり、注意が必要です。

また、行政の取り締まりを受ける前にSNSで炎上して拡散され、有名になってしまうこともあります。このような炎上事例は過去にも多数あり、有名インフルエンサーが謝罪することになった場合もあります。

販売方法や広告表現には十分に注意しましょう。

さらに、ステルスマーケティングにも注意してください。

※ステルスマーケティングの意味や規制にかんする解説記事はこちらのページです。

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まとめ

過激なコンプレックス広告は、消費者に不快感を与えるだけでなく、薬機法や景品表示法などに抵触するリスクがあります。

そして近年、コンプレックス広告の規制は確実に強化されています。広告する事業者はモラルを持ち、表現を改めて検討すべき時代が来ていると言えます。今回の内容を広告作成の時の参考にしてください。

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