ビフォーアフター広告表現規制!使用前使用後・AIモデルは?

ビフォーアフター広告表現規制!使用前使用後・AIモデルは?

ビフォーアフター広告は、訴求として有効なので、多くの広告で取り入れられています。ただし、表現には規制が及ぶため、注意が必要です。

今回はどんな規制があるのか、どのような場合に法律違反になるのか説明します。

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目次

ビフォーアフター広告の法律規制

ビフォーアフター広告には次のような法律規制が関係します。

薬機法(医薬品等適正広告基準)

医薬品等適正広告基準とは、薬機法に基づいて医薬品などの広告が虚偽・誇大にならないよう適正を図るために発出された基準で、ビフォーアフター広告についても言及されています。

薬機法であるため、対象としては医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器などが関係します。これらの商品を扱うときには注意が必要です。

具体的には次のように、承認されていない効能効果を想起させたり、時間や安全性を保証したりすることは認められない、とされています。

(4)図面、写真等について
使用前、後に関わらず図面、写真等による表現については、承認等外の効能効果等を想起させるもの、効果発現までの時間及び効果持続時間の保証となるもの又は安全性の保証表現となるものは認められない。

引用:医薬品等適正広告基準

景品表示法

景品表示法の対象は、商品やサービス全般になるため、薬機法と同様の商品や、ダイエット系のサービスなど、幅広く関係します。

ビフォーアフターの内容について、薬機法上の問題はなくても景品表示法違反の場合もあるため、注意が必要です。

例えば、「1ヶ月で◯キロやせます」という広告があった場合、やせるという効果は薬機法違反にならなくても、景品表示法上、実際に可能なのかが問題になります。

医療法(医療広告ガイドライン)

まず、医療法施行規則第1条の9第2号には以下の規定があります。

「治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告をしてはならないこと」

ただ、クリニックや病院などの広告に関する指導方針を示した医療広告ガイドラインでは、次のような場合には広告が認められるとあります。

術前又は術後の写真に通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な説明を付した場合についてはこれに当たらない。

さらに、当該情報の掲載場所については、患者等にとって分かりやすいよう十分に配慮し、例えば、リンクを張った先のページへ掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりといった形式を採用してはならない。

引用:医療広告ガイドライン

ビフォーアフター広告が認められる場合6個

厚生労働省のQ&A資料を参考に、医薬品等の広告についてビフォーアフター広告ができる場合の具体例を紹介します。

(1)化粧品の染毛料、医薬部外品の染毛剤の広告において、使用前・後の写真を用い、色の対比を行っている場合。

(2)医薬品である「鎮痒消炎薬」(効能:かゆみ、虫さされ、かぶれ、しっしん、じんましん、あせも、しもやけ、皮ふ炎、ただれ)の広告において、虫刺されにより腫れている患部の写真及び患部が完治している写真を並べて使用する場合。

(3)洗浄料(化粧品的医薬部外品(薬用化粧品)等)の広告において、肌が汚れた状態の写真と洗浄後の肌の写真などを使用する場合。

(4)化粧水、クリーム等(薬用化粧品等)の広告において、乾燥した角層と、保湿後の角層の図面などを使用する場合。

(5)シャンプー(化粧品)の広告において、フケがある頭皮写真と、シャンプー使用後の頭皮写真などを使用する場合。

(6)「制汗」という効果効能の表示が認められた腋臭防止剤の広告において、無塗布の腋と腋臭防止剤を使用した腋の写真を使用する場合。

※ただ、これらの具体例についても、効果が出るまでの時間や、持続時間、安全性を保証するような表現は認められません。

ビフォーアフター広告が認められない場合2個

(1)「メラニンの生成を抑え、シミ、ソバカスを防ぐ」という効能表示が認められた薬用化粧品の広告において、シミ・ソバカスのない肌と、製品使用後に紫外線暴露してもシミ・ソバカスが目立たない肌の写真を使用する場合。

(2)「ひび・あかぎれを防ぐ」という効能表示が認められた薬用化粧品の広告において、ひび・あかぎれのない肌、製品使用後もひび・あかぎれのない肌及び無塗布でひび・あかぎれした肌の写真を使用する場合。

※認められない理由は、「防ぐ」との効能効果を使用前・後の写真等で表現することは不可能なためです。

医療広告のビフォーアフターにおける限定解除要件は?

医療機関でビフォーアフター写真をただ掲載するような広告は原則禁止ですが、次のような限定解除要件を満たせば、使用することができます。

医療法施行規則第1条の9の2に限定解除要件が書かれています。

(1)医療に関する適切な選択に資する情報であつて患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること。

(2)表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること。

(3)自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること。

(4)自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること。

ビフォーアフター広告の違反事例3個

1. ダイエットサプリの違反事例

2023年12月5日、スリムサポ(SlimSapo)」と称する機能性表示食品を販売する会社に対して、景品表示法にもとづく措置命令が行われました。違反行為として優良誤認表示が認められました。

違反内容はいくつかありますが、ビフォーアフターとしては以下のような2人のイラストにより、
「あたかも、本件商品を摂取すれば、本件商品に含まれる成分の作用により、同表「効果」欄記載のとおりの効果が得られるかのように示す表示」
をしていたとして、指摘がありました。


参照:消費者庁資料
明確にビフォーアフターであることや、何キロやせたなどの表示がなくても実質的にビフォーアフターを表示していると判断されたものと思われます。

2. 医薬部外品の違反事例

2023年3月28日、東京都がアフィリエイト広告等により不当な広告を行っていた事業者に対して、景品表示法にもとづく措置命令を行いました。

医薬部外品を使用することで、数秒間等の極めて短い時間で、目や口の周辺等について、いわゆる美容医療と同様のシワ改善効果を得られるかのように示す表示をしていたためです。

そのとき使用されていたビフォーアフター写真はこちらです。


参照:東京都資料

3. 小顔矯正の違反事例

美容整体などを行う事業者が表示していた小顔矯正の効果について、景品表示法違反(優良誤認表示)となりました。

小顔矯正では、基本的に骨格などが変わって顔が小さくなるという効果を表現するのは違反と判断される可能性が高いです。

景品表示法にもとづく措置命令の資料にあったビフォーアフター写真はこちらです。


参照:消費者庁資料

ビフォーアフター写真の加工は?

医療広告ガイドラインでは、加工写真は以下のように取り扱われると書かれています。

「あたかも効果があるかのように見せるため加工・修正した術前術後の写真等については、虚偽広告として取り扱う。」

加工写真は、薬機法や景品表示法でも問題となる可能性が高いです。

嘘の体験談は?

嘘の体験談でビフォーアフターを示すような場合も、薬機法・景品表示法・医療法などで問題となる可能性が高いです。

表現できる効能効果の範囲を超えた表現は虚偽誇大広告に当たるでしょう。

例えば、嘘の体験談を使用した健康食品販売会社が摘発されたケースがあります。

「インターネット広告で嘘の体験談を用いて健康食品の効能を宣伝したとして、大阪府警が広告会社と広告主の健康食品販売会社を摘発した。」
参照:日本経済新聞

また、事業者が嘘の体験談を自社のGoogle MapのアカウントやAmazon・楽天・Yahooなどの通販サイトに書き込んだ場合、ステマ規制の問題にもなります。

AIモデルのビフォーアフターは?

AIの発達により、AIで生成されたモデルの画像や動画がアフィリエイトや広告に使用されるケースが増えていますが、法律違反になると思われる事例も見られます。

AIモデルであっても、イラストなどと同じ基準で判断されるものと思われ、承認されていない効能効果を示すようなものは、虚偽誇大広告に当たるでしょう。

例えば、化粧品や健康食品などのアフィリエイトで、使用前に比べて使用後を綺麗にしたり、痩せた体型にしたりするような場合には、薬機法や景品表示法が問題となります。

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まとめ

ビフォーアフターは、広告の訴求で非常に強い効果があるため、よく使われます。ただ、厳しく規制が設けられ、行政や警察も取り締まりを行っています。

過去に多数の事業者が取り締まりを受けていますので、法律を守って使用するようにしてください。

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