手作り石鹸の販売は許可や資格が必要?違法?雑貨は?

フリマアプリなどでハンドメイド商品がたくさん出品されています。手作り石鹸も人気商品の一つで、本格的なビジネスとして販売する人も多いです。ただし、石鹸を作って販売するには、法律の規制を受けたり、行政の許可が必要な場合があります。

この記事では、手作り石鹸を販売するにあたって、法律上注意すべき点や、必要な手続きなどについて説明します。

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目次

手作り石鹸の販売は許可や資格が必要?

「化粧品」として手作り石鹸を販売するには、都道府県知事の許可が必要となります。

化粧品としての石鹸は、肌に直接使用するものなので、品質や安全性について厳しい要件や基準をクリアしなければならないのです。

この許可を得ずに、化粧品を製造・販売すると法律違反となるので要注意です。

化粧品の手作り石鹸の場合と必要な手続き

化粧品を製造するには「化粧品製造業許可」を、化粧品を自社製品として販売するには「化粧品製造販売業許可」が必要です。

つまり、化粧品としての石鹸を製造・販売するには、この2つの許可が必要となるのです。

なお、化粧品を包装・表示・保管する場合や、化粧品の製造の一部を行う場合も、化粧品製造業許可を得なければなりません。さらに、販売する場合だけでなく、プレゼントする場合も化粧品製造販売許可が必要など、化粧品の取扱うには厳しい規制があるのです。

そして、許可申請をするにあたり、専門知識を持った責任者を配置したり、製造所に設備を備えるなどの手続きが必要となります。

雑貨の手作り石鹸の場合と必要な手続き

台所用石鹸や洗濯石鹸などの「雑貨」として手作り石鹸を販売する場合は、「化粧品製造業」や「化粧品製造販売業」の許可は必要ありません

ただし、「雑貨」として販売する場合でも、「家庭用品品質表示法」を遵守する必要があります。商品説明や表示をするにあたり使用できる名称が限定されたり、界面活性剤の割合を容器や包装に表示しなければならないという規制があります。

「台所用石鹸」、「台所用複合石鹸」、「洗濯用石鹸」、「洗濯用複合石鹸」の4つの名称以外は使用できず、さらに、界面活性剤を含むものは、その含有率を表示する必要があるのです。

また、雑貨として販売する場合、「顔」や「肌」や「体」などや人体に使用する表現や、「化粧品」などの表現をすることは薬機法違反となります。

画像や文章で、人体に使用することをイメージさせる表示もNGです。「※この石鹸は雑貨です」と雑貨であることを表示しても、「お肌がスベスベに」と表示するのは薬機法違反となります。

規制がかなり厳しいですが、あくまで台所用石鹸や洗濯用石鹸のように、「洗浄力がすごい」などが使用できる表現となります。

化粧品として手作り石鹸を販売する場合は、「化粧品製造業許可」と「化粧品製造販売業許可」が必要と述べましたが、その具体的な要件や手続きを説明します。

化粧品製造業許可の手続き内容と流れ

化粧品製造業許可には一般区分と包装・表示・保管区分の2種類があり、製造所ごとに取得する必要があります。

許可の取得に必要な要件と手続きは以下のとおりです。

1. 責任者の設置(以下いずれかの要件を満たすこと)

①薬剤師
②高校またはこれと同等以上の学校で、薬学または化学に関する専門の課程を修了した者
③高校またはこれと同等以上の学校で、薬学または化学に関する科目を修得した後、医薬品または化粧品の製造に関する業務に三年以上従事した者

2. 製造所の構造設備

①製造所の製品を製造するのに必要な設備及び器具を備えている。
②作業所は、以下に適合するもの。
a 換気が適かつ清潔。
b 居住する場所と不潔な場所から明確に区別されている。
c 作業をするのに支障のない広さ。
d 防じん、防虫などの設備又は構造。
e 床は、板張り、コンクリートまたはこれらに準ずるもの。
f 廃水・廃棄物処理の設備や器具を備えている。
③製品、原料及び資材を衛生的かつ安全に貯蔵するために必要な設備がある。
④製品、原料及び資材の試験検査に必要な設備及び器具を備えている。

3. 申請者が欠格要件に該当しないこと

許可を取消されたり、刑罰に処されたなどの過去があると、欠格要件に該当します。また、薬物中毒者でないことや、意思能力があることなどが必要となります。

手続きの流れ

①上記の要件を満たしていることの確認

②業者コードの取得

③書類の準備、申請(主たる事務所か製造所が存在する各都道府県の薬務課へ)

④審査・都道府県担当課による実地調査(薬局等構造設備規則への適合性)

⑤許可(許可の連絡後、役所から許可証を受け取ります。)

化粧品製造販売業許可の手続き内容と流れ

化粧品製造販売業許可を得るには、以下を満たす必要があります。

1. 総括製造販売責任者の設置(以下いずれかの要件を満たすこと)

1)薬剤師
2)高校またはこれと同等以上の学校で、薬学または化学に関する専門の課程を修了した者
3)高校またはこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の過程を終了した後、医薬品または医薬部外品または化粧品の品質管理または製造販売後安全管理に関する業務に3年以上従事した者
4)厚生労働大臣が、1)~3)に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者

2. 品質管理や安全管理の方法が、省令(GQP省令、GVP省令)に適合すること。

GQP省令、GVP省令とは、化粧品などの品質管理の方法を定めた基準であり、製造販売する製品の品質を確保するために必要な業務を規定したものです。
そして、品質管理基準(GQP)と安全管理基準(GVP)に適合する必要があります。
詳しい内容は、厚生労働省のホームページから確認できます。

3. 申請者が欠格要件に該当しないこと。

化粧品製造業許可と同様です。

手続きの流れ

①上記の要件を満たしていることの確認

②業者コードの取得

③書類の準備、申請(主たる事務所か製造所が存在する各都道府県の薬務課へ)

④審査・都道府県担当課による実地調査(GQP・GVPへの適合性)

⑤許可(許可の連絡後、役所から許可証を受け取ります。)

⑥品目の手続き
許可を取得しても、この手続きが完了するまでは化粧品を販売できません。国内で製造された製品の場合は、「化粧品製造販売届出書」を都道府県に提出し、海外で製造された製品の場合は、上記届出を都道府県に、「化粧品外国製造販売業者(外国製造業者)届出書」 を独立行政法人医薬品医療機器総合機構に提出する必要があります。

ざっくりと要件と手続きを説明しましたが、各都道府県のホームページに詳しく掲載されているので参考にしてみてください。

手作り石鹸の薬機法違反事例

手作り石鹸をフリマサイトで販売していた女性が2021年2月1日書類送検されました。フリマサイト上で「手作りせっけんコロナ対策」「こんなご時世なので楽しく手洗いできるせっけんを作りました」などとうたって販売していたとのことです。

石鹸を手洗い用として販売するためには、化粧品の製造販売にかんする許可が必要なため、薬機法違反(無許可製造販売)となりました。

まとめ

化粧品として手作り石鹸を販売するには、厳しい要件をクリアしなければなりません。また、手続きがややこしく、費用もかかるので、個人がビジネスとして行うにはハードルが高いと思われます。

趣味の延長として副業で手作り石鹸を販売するのであれば、表現に気を付けつつ、雑貨として販売することをおすすめします。

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