化粧品の広告で、「トーンアップ」、「肌のトーンを上げる」などの謳い文句を見ることがあります。
化粧品において、トーンアップとは、色合い(色彩)を上げるという意味合いで使われ、美肌になるイメージが強く、訴求力の高いワードであると思われます。
この記事では、トーンアップという表現が薬機法上使用できるのか分かりやすく解説します。
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薬機法(旧薬事法)の化粧品とは?
薬機法の「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌ぼうを変え、皮膚や髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布するなどの方法で使用されるもので、医薬品等に比べて人体への作用が緩和なものであると定義されています。
化粧品と言えば、ファンデーションや美白パウダーや口紅などのメーキャップ商品、化粧水や美容液などのスキンケア商品などが一般的ですが、その他にも、シャンプーやリンスやヘアオイルなどのヘアケア用品、香水や歯磨き粉なども、この定義に該当します。
トーンアップは薬機法OK?
トーンアップという表現については、使用すること自体は問題ありません。
ただし、洗顔料やクレンジングなどで「肌を清浄して」、「肌の汚れを落として」の効果として、またはファンデーションや美肌パウダーなどのメーキャップによる物理的な効果として「トーンアップする」という意味合いで使用する場合に限ります。
例えば、洗顔料の広告で、「汚れを落とすことでお肌をトーンアップ」や、ファンデーションの広告で、「シミ・ソバカスをカバーし、お肌をトーンアップして明るい印象に」などの表現であれば使用できます。
一方、化粧品を使うことで、あたかも肌の機能が向上するかのような意味合いで使用するのはNGです。
薬機法上、化粧品の効果について、医薬品のように治療効果があると一般消費者に認識させるような表現をすることは禁止されています。
単に美容液や化粧水を使用することで、肌の色味が変化するかのような効果を標ぼうすることは、医薬品的な効果があると捉えられる可能性があります。
例えば、美容液の広告で、「使えば使うほどお肌がトーンアップする」や、化粧水の広告で、「みるみるトーンアップ」などの表現を使って、肌自体が変化する効果があると見せているような場合には、薬機法に抵触します。
ブライトニング(肌を明るくする)は薬機法OK?
ブライトニングという表現についても、使用すること自体は問題ありません。ブライトニングとは、透明感など肌の明るさの調整などのケアを言い、化粧品の効果としてはトーンアップに近い表現です。
ブライトニングについても、肌を清浄する効果として、またはメーキャップによる効果としての意味合いで標ぼうする場合は使用OKです。
また、ブライトニングという表現は、メラニンの生成を抑え、シミ・ソバカスを防ぐ効果の表現としても使われます。
これまでなら「美白」というキーワードが使われていた化粧品に、代わりにブライトニングが使われるケースが増えています。
これはアメリカの人種差別問題が背景にあります。美白という表現が「肌が白いことが美しい」という固定概念や人種差別を助長するとして、大手外資メーカーを中心に使用禁止になってきているのです。国内では花王が美白表現を使うことを中止する方向で動いています。
ブライトニングとホワイトニングの違い
ブライトニングとホワイトニングは、両者とも肌を白くするという意味合いがあります。
ブライトニングは、どちらかというと、明るくする・光らせるなどのイメージで使われることが多く、化粧品においては、くすみなどを防ぎ、明るく透明感のある肌へ導く効果を標ぼうするのに使われます。
ホワイトニングは、ブライトニングのように明るくするというよりは、白くする・漂白するというようなイメージです。
化粧品でのホワイトニング効果とは、シミやソバカスなどを予防するいわゆる美白効果を標ぼうするのに使われます。
一応ブライトニングとホワイトニングには、上記のような違いがありますが、化粧品の効果としては同じような意味合いで使っているケースもあるようです。
まとめ
化粧品の広告などで、「トーンアップ」という表現を使うこと自体は問題ありません。ただ、肌を清浄する効果によること・メーキャップ効果によることが明瞭に認識できるようにしなければならず、肌機能の向上を認識させると薬機法に抵触する可能性があります。
規制があることで訴求力が弱くなるかもしれませんが、社会的信用を損なわないためにも、正しい知識を持っておくことは重要です。
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