化粧水と薬機法の関係について解説します。
化粧水で使える広告表現やキャッチコピーとはどのようなものなのでしょうか。
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化粧水とは?
化粧水とは、肌を保湿し、整えるスキンケアアイテムです。
基礎化粧品のひとつで、洗顔のあとに使います。
化粧水と薬機法の関係
クレンジングには、薬機法上の「化粧品」と「医薬部外品」があります。
薬用クレンジングは、薬用化粧品(医薬部外品)に該当します。
許可を取得するために必要な手続きや表現できる効能効果に違いがあります。
化粧品で使える効能効果
化粧水が、薬機法上の「化粧品」に該当する場合、使える効能効果は以下の56個です。
頭皮や毛髪
(1)頭皮、毛髪を清浄にする。
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4)毛髪にはり、こしを与える。
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7)毛髪をしなやかにする。
(8)クシどおりをよくする。
(9)毛髪のつやを保つ。
(10)毛髪につやを与える。
(11)フケ、カユミがとれる。
(12)フケ、カユミを抑える。
(13)毛髪の水分、油分を補い保つ。
(14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
(15)髪型を整え、保持する。
(16)毛髪の帯電を防止する。
皮膚や肌
(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
(19)肌を整える。
(20)肌のキメを整える。
(21)皮膚をすこやかに保つ。
(22)肌荒れを防ぐ。
(23)肌をひきしめる。
(24)皮膚にうるおいを与える。
(25)皮膚の水分、油分を補い保つ。
(26)皮膚の柔軟性を保つ。
(27)皮膚を保護する。
(28)皮膚の乾燥を防ぐ。
(29)肌を柔らげる。
(30)肌にはりを与える。
(31)肌にツヤを与える。
(32)肌を滑らかにする。
(33)ひげを剃りやすくする。
(34)ひげそり後の肌を整える。
(35)あせもを防ぐ(打粉)。
(36)日やけを防ぐ。
(37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
芳香
(38)芳香を与える。
爪
(39)爪を保護する。
(40)爪をすこやかに保つ。
(41)爪にうるおいを与える。
口唇
(42)口唇の荒れを防ぐ。
(43)口唇のキメを整える。
(44)口唇にうるおいを与える。
(45)口唇をすこやかにする。
(46)口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
(47)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
(48)口唇を滑らかにする。
(49)ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
歯・口の中
(50)歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(51)歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(52)口中を浄化する(歯みがき類)。
(53)口臭を防ぐ(歯みがき類)。
(54)歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(55)歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
皮膚
(56)乾燥による小ジワを目立たなくする。
注1)例えば、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。
注2)「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
注3)( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。
医薬部外品で使える効能効果
化粧水が、薬機法上の「医薬部外品」に該当する場合、主に使える効能効果は以下です。
ただし、薬用化粧品は個別の承認を受けた効能効果について表現できます。
種類 | 効能・効果 |
1.シャンプー | ふけ、かゆみを防ぐ。 毛髪・頭皮の汗臭を防ぐ。 毛髪・頭皮を清浄にする。 毛髪・頭皮をすこやかに保つ。 毛髪をしなやかにする。 |
2.リンス | ふけ、かゆみを防ぐ。 毛髪・頭皮の汗臭を防ぐ。 毛髪の水分・脂肪を補い保つ。 裂毛・切毛・枝毛を防ぐ。 毛髪・頭皮をすこやかに保つ。 毛髪をしなやかにする。 |
3.化粧水 | 肌あれ。あれ性。 あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ。 油性肌。 かみそりまけを防ぐ。 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。(注1) 日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ。 肌をひきしめる。肌を清浄にする。肌を整える。 皮膚をすこやかに保つ。皮膚にうるおいを与える。 |
4.クリーム、乳液、ハンドクリーム、化粧用油 | 肌あれ。あれ性。 あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ。 油性肌。 かみそりまけを防ぐ。 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。(注1) 日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ。 肌をひきしめる。肌を清浄にする。肌を整える。 皮膚をすこやかに保つ。皮膚にうるおいを与える。 皮膚を保護する。皮膚の乾燥を防ぐ。 |
5.ひげそり用剤 | かみそりまけを防ぐ。 皮膚を保護し、ひげをそりやすくする。 |
6.日やけ止め剤 | 日やけ・雪やけによる肌あれを防ぐ。 日やけ・雪やけを防ぐ。 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。(注1) 皮膚を保護する。 |
7.パック | 肌あれ。あれ性。 にきびを防ぐ。 油性肌。 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。(注1) 日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ。 肌をなめらかにする。 皮膚を清浄にする。 |
8.薬用石けん(洗顔料を含む) | <殺菌剤主剤>(消炎剤主剤をあわせて配合するものを含む) 皮膚の清浄・殺菌・消毒。 体臭・汗臭及びにきびを防ぐ。 <消炎剤主剤のもの> 皮膚の清浄、にきび・かみそりまけ及び肌あれを防ぐ。 |
(注1)作用機序によっては、「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ。」も認められる。
(注2)上記にかかわらず、化粧品の効能の範囲のみを標ぼうするものは、医薬部外品としては認められない。
また医薬部外品の場合には、厚生労働省の資料で、次のように表現に注意するよう書かれています。
化粧品的医薬部外品(いわゆる薬用化粧品)の効能効果は、品目ごとに成分分量を審査の上承認されたものなので、その承認の範囲内で広告することが原則ですが、次の事柄に配慮すれば、その広告表現中に化粧品の効能効果のうち、それぞれの種別に対応する効能効果を併せて標ぼうすることができます。
1)医薬部外品本来の目的が隠ぺいされて化粧品であるかのような誤認を与えないこと。
2)殺菌剤配合のシャンプーまたは薬用石けん等は化粧品的な使用目的、用法で使用された場合に、 保健衛生上問題となるおそれのあるものではないこと。
3)化粧品の効能効果として標ぼうしている部分が、あたかも医薬部外品の効能効果として承認を受けたものであるかのような誤認を与えないこと。
化粧水広告のOK表現
化粧水の広告で使えるOK表現を紹介します。
分類 | OK表現 |
肌ケア | 肌のキメを整え、すこやかな肌へ 肌を清潔に保ち、健やかに保つサポートをします 透明感のある肌の印象を目指したい方に 肌に潤いを与えて、なめらかな肌へ 敏感肌を考えた低刺激処方 |
保湿効果を強調 | 乾燥が気になる肌にたっぷりの潤いを与えます 肌を保湿して、みずみずしい肌に しっとりとした仕上がりで、潤いが持続 |
使用感 | さっぱりとした使い心地で、リフレッシュした気分に 肌を包み込む優しい使用感で、癒しのひとときを |
成分や技術 | 厳選成分のみ配合 厳しい衛生基準で製造 |
化粧水広告のNG表現
化粧水広告で使えないNG表現を紹介します。
NG表現 | NG理由 |
シミを消す | 医薬品的な効能効果を示しているため、化粧品では認められない。 |
シワがなくなる | 化粧品の表現可能な範囲を超えているため、NG。「乾燥による小ジワを目立たなくする」であれば表現可能。 |
ニキビを治す | 「治す」という表現は医薬品的な効能効果となるため、NG。 |
毛穴が引き締まる | 身体の組織機能の変化をうたっている表現であり、NG。 |
肌再生を促進する | 皮膚や細胞の再生を促す表現は、医薬品的な効能効能に該当し、化粧品では使用できない。 |
肌荒れが治る | 治療効果を示しているため、化粧品では認められない。 |
美白効果で肌が白くなる | 肌が白くなるといった効果は、化粧品でも薬用化粧品でもNG。薬用化粧品の場合に「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」というしばり表現付きで美白効果をうたうことはできる |
アンチエイジングで若返る | 「アンチエイジング」「若返る」は医薬品的な効能効果になり、NG。 |
絶対安全 | 安全性の保証は表現できない。 |
医師が推薦する | 医師の推薦は消費者に誤解を与えるためNG。 |
肌トラブルを予防する | 予防効果は医薬品的な効能効果に該当するため、使用不可。 |
リフトアップ効果 | 身体の組織機能を変化させる効果を示していて、認められない。 |
日焼けを完全に防ぐ | 「完全」などの効能効果の保証はNG。 |
かゆみを治す | 「治す」という言葉は治療効果を示すため、NG。 |
アトピーに効く | 特定の疾患に効果を示す表現は、医薬品な効能効果に該当するためNG。 |
老化を防ぐ | 老化防止は医薬品的効能効果に該当し、使用不可。 |
乾燥肌を治す | 乾燥肌の治療を示す表現はNG。 |
化粧品で「◯◯が治る」や「改善する」などの治療・予防を示す表現は使うことができません。
また、身体の組織機能を変えるような表現も使用できません。
化粧水広告のキャッチコピー例
実際の商品も参考に化粧水のキャッチコピーや広告文章を紹介します。
商品名 | 広告文章 |
IC.U W セラム | キレイ肌寿命を延ばし、10年先も輝く、ハリ肌へ! |
ピュア コンク | うるおいバリアを補って、肌あれを乾燥から防ぐ。 敏感肌のための高保湿化粧水。 |
ブライトリバイタル ローション エンリッチド | 有効成分を網の目のように行き渡らせて、ハリや輝きに影響を与えるエイジングケア※のための薬用ブライトニング化粧水。 |
トリートメントソフナー エンリッチド | 毎日をベストコンディションに保つ化粧水 |
モイストリファイン 化粧液 I さっぱり | やわらかなとろみで肌に浸透し、クリアでなめらかな肌に整える、さっぱりタイプの保湿化粧液。 |
ビューティブーケ 発酵浸透化粧液 とてもしっとり | とろりと濃密でモチモチとしたしっとりハリつや肌へ。 |
薬機法違反した場合の罰則
薬機法第66条の誇大広告等に違反した場合の罰則は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはこれを併科です。
そして、措置命令や課徴金納付命令のおそれもあります。
措置命令
措置命令は、薬機法第72条の5、に定められており、違反広告の中止や再発防止などを求められます。
<対象>
・第66条第1項
・第68条
<具体例>
・違反したことを関係者及び消費者に周知徹底すること
・再発防止策を講ずること
・その違反行為を将来繰り返さないこと
など
課徴金納付命令
課徴金納付命令は、薬機法第75条の5の2、に定められており、課徴金の納付が求められます。
・第66条第1項
<課徴金の金額>
・課徴金対象期間の商品売上の4.5%(最長3年間)
・225万円未満の場合は課徴金なし
<減額>
・同一事案に対し、景品表示法の課徴金納付命令がある場合
⇒3%を減額して1.5%
・自ら報告した場合は、50%相当額を減額
まとめ
化粧水の広告といっても、商品に使われる広告表現は様々です。薬機法や景品表示法などに気をつけ、商品の魅力が伝わる表現を考え、販売していきましょう。
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