「身長を伸ばす」「背が伸びる」という文言を使うサプリメントが売られていることがあります。
子供が周りの子より身長が低いので大きくしてあげたい。成長期の今のうちに身長をもっと高くしてあげたい。成長期が終わり、身長が伸びなくなったときに何とかもう少し身長を伸ばしたい。そんなふうに強く思う方も多くいます。
ただ、サプリで本当に身長を伸ばすことなんてできるの?と気になる方もいるでしょう。
身長を伸ばすサプリは嘘なのか、副作用は大丈夫なのか、薬機法(旧薬事法)表現で認められるのか、そういったことについて詳しく解説します。
身長を伸ばすサプリメントとは?
ここでは、身長を伸ばすサプリメントとは、「身長が伸びる+サプリ」「背が伸びる+サプリ」などの検索で出てくるサプリメントや、広告や販売ページで身長が伸びることを明確に表現していたり、暗示していたりするようなサプリメントのことを指すこととします。
サプリメントの成分としては、成長ホルモンの合成を促進するアルギニンを含むものや、カルシウムなどの成長に必要な栄養素をバランスよく含んだものなどがあります。
身長サプリの医学的な効果は?
まず、アルギニンを含んだものですが、医学会からも公表されているとおり、アルギニンを含んだサプリを飲んで、成長ホルモンの分泌が促進されたケースが見られないとされています。
また、成長ホルモンの薬剤を子供に投与したケースでも、投与していない子供より明らかに身長が伸びたという臨床試験結果が出ていません。
次に、カルシウムなどの成長に必要な栄養素をバランスよく含んだものについては、子供の成長に必要とはいえ、普段の食事から栄養がとれていれば、余計に身長が伸びるとは考えにくいと思われます。
またそのことについても日本で臨床試験などのデータが存在するわけではありません。
身長サプリの副作用は?
国内の大手企業などが製造するサプリについては、摂取することで副作用が出ることはほぼないと考えていいと思います。
ただし、持病のある方や病院から処方された薬を飲んでいる人は、病気の内容や、薬との飲み合わせによって副作用を生じる可能性があるので、医師に相談してください。
身長が伸びるサプリは薬機法の広告表現でOK?
サプリメントや健康食品が、医薬品効果効能にかかわる表現をする場合には、薬機法(旧薬事法)の規制対象となります。
そして、消費者庁の「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」という書面に、以下のことは食品の広告に使用できないことが明示されています。
(1)疾病の治療又は予防を目的とする効能効果
(2)身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効能効果 ただし、栄養補給、健康維持等に関する表現はこの限りでない。
(3)医薬品的な効能効果の暗示 (a) 名称又はキャッチフレーズよりみて暗示するもの (b) 含有成分の表示及び説明よりみて暗示するもの (c) 製法の説明よりみて暗示するもの (d) 起源、由来等の説明よりみて暗示するもの (e) 新聞、雑誌等の記事、医師、学者等の談話、学説、経験談などを引用又は掲載することにより暗示するもの
「身長が伸びる」「背が伸びる」という表現は、上記の(2)に該当すると考えていいでしょう。
その場合、「身長が伸びるサプリ」と表現して売ることは薬機法違反になるおそれがあることが分かります。
実際に、「身長が伸びるサプリ」などをまとめたアフィリエイトサイトのリンク先から販売ページを確認すると、販売ページでは、明確に「これを飲めば、子供の身長が伸びますよ」とは表現していないことが分かります。
販売ページに明確に書かれていないといっても、以下の場合は薬機法違反になるおそれがあるので注意が必要です。
①販売ページで消費者が誤認するような写真・イラストや文言を使う。
②広告代理店に「身長が伸びる」ように見せる広告制作を依頼する。
③アフィリエイトサイトを制作して、身長が伸びるサプリとして紹介する。
※過去に、広告代理店に薬機法違反となる医薬品的効果効能の表現をお願いしていたとして、サプリの販売会社社員、広告代理店社員などが逮捕されたケースがあります。
まとめ
サプリメント自体が悪いわけではありません。サプリメントは栄養を効率的に摂取したり、普段の食事でとれない分を補給するのに使ったりすることができるので、便利な側面も十分にあります。
ただし、薬機法違反となる表現を使って販売するのは違法で、今後取り締まられるおそれがあります。自社の広告が不安な方は、専門家に確認してもらうようにしましょう。
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