海外サプリメントの個人輸入規制・制限は?違法?危険性

海外サプリメントの個人輸入規制・制限は?違法?危険性

海外で製造されたサプリメントを輸入して、日本国内で使用したり販売しようとする場合には、どのような規制があるのでしょうか。

実はサプリメントの輸入にあたっては、関税法のほかにも薬機法、食品衛生法、景品表示法など様々な法律が、関税の徴収や健康保護、不当競争防止などの異なる目的で関わってきます。

特にサプリメントを輸入してビジネスをする場合には、そのサプリメントが食品であると認められることが重要となります。

目次

海外サプリメントとは?

厚労省によると、いまや人口の三割におよぶ幅広い年齢層の人々が日常的に使用しているサプリメントないしは健康食品ですが、その明確な定義があるわけではありません。

海外では「Dietary Supplement」または「Food Supplement」として食品の扱いがなされており、日本でも医薬品に該当しなければ食品として規制されています。

ただし日本では「食薬区分」と言われるこうした食品と医薬品の境界は、各国の法規制により異なっています。

そのため海外で「サプリメント」とされていても、成分や用途によっては、輸入する場合には「医薬品」と認定されてしまう場合があります。

したがって海外サプリメントが「医薬品」であるか「食品」であるかを知るためには、都道府県の薬務課等に問い合わせる必要があります。

海外サプリメントの個人輸入規制・制限

海外サプリメントを輸入する場合には、そのサプリメントが「医薬品」であるか「食品」であるか、そして「営利目的」であるか「非営利目的」であるかにより、それぞれ規制が異なります。

「医薬品」かつ「営利目的」であれば薬機法の製造販売許可が必要ですが、試験研究用などの「非営利目的」であれば「医薬品」であっても輸入ができます。これに対して「食品」であれば、個人でのビジネス目的での輸入や販売も可能です。

「食品」と「医薬品」の区別

サプリメントが食品であるか医薬品であるかの区別は、その海外サプリメントの成分、用途、商品表記などにより総合的に判断されますが、「食品」として輸入する場合には食品検疫所により、「医薬品」として輸入する場合には地方厚生局により、通関に必要な書類の交付の可否が決定されることになります。

こうした「食薬区分」は、厚労省の「成分本質リスト」によりなされます。この「成分本質リスト」は
(1)「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト 」
(2)「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」
の二つのリストからなっています。

(1)に該当する場合にはただちにそのサプリメントは医薬品として認定されますが、(2)に該当する成分が含まれる場合には「医薬品的効能効果」を「標ぼう」する場合に限って、そのサプリメントが医薬品として認定されます。

この「医薬品的効能効果」を「標ぼう」とは、その薬品のパッケージや添付文書などに「高血圧の予防」「がんの治療」「生活習慣病を改善」などの表記がなされているようなケースが代表的です。たとえ外国語であってもこの「標ぼう」に当たります。

成分本質リストに該当しない場合であっても、アンプルや舌下錠のように医薬品的な外見であったり、「食後に服用すること」などの用途用法の指定がなされているような場合には、医薬品として認定されるおそれがあります。

※自分のサプリメントが以下の区分のどれに該当するか確認してください。

医薬品成分が含まれている時の規制

輸入しようとする海外サプリメントが「医薬品」として認定される場合には、製造販売許可がない限りは、非営利目的でのみ輸入が可能です。

「医薬品」かつ「営利目的」である場合

海外サプリメントを「医薬品」として輸入するには、原則としては薬機法の製造販売許可を取得し、さらに販売する個別の品目ごとに販売承認を受けなければなりません。

これとは別に、そのサプリメントの製造業者が外国製造業者として認定を受けていることも必要です。こうした許可を取得することは、専門業者として設備や人員に対する資本投下が可能でなければ現実的ではありません。

「医薬品」かつ「非営利目的」である場合

ただし「医薬品」であっても、海外サプリメントを「非営利目的」で輸入する場合には、地方厚生局から「輸入確認証」を発行してもらうことで輸入ができます。法定の「非営利目的」としては、試験研究目的やサンプル目的などが挙げられています。

ただし個人で使用する場合には、以下の一定量までの輸入に限り、この輸入確認証を必要としない特例的な措置が認められています。

・毒薬、劇薬または処方せん薬 : 1 カ月分以内
・外用剤(毒薬・劇薬及び処方せん薬は除く) : 1 品目につき 24 個以内
・その他の医薬品・医薬部外品 : 2 カ月分以内

上記の量を超えて輸入する必要がある場合や、個人の判断で服用すると重大な健康被害が起きるおそれがある特定の医薬品を輸入する場合には、原則に戻って「輸入確認証」の発行が必要です。個人での使用目的であれば、医師の処方箋や指示書が発行されている場合に、交付が受けられる可能性があります。

輸入確認証の交付を受けるためには、管轄の地方厚生局(東京であれば関東信越厚生局)に輸入確認申請書と添付書類を郵送で提出して申請を行います。なお「輸入確認証」は令和2年9月の法改正前は「薬監証明」と呼ばれており、こちらの呼び方のほうが聞き慣れている方も多いかもしれません。

上記の「輸入確認証」およびその特例措置は、試験研究目的や個人使用目的の場合に限り認められるため、これらの措置により「医薬品」であるサプリメントを輸入した場合に、国内販売するなどのビジネスをすることはできません。

個人輸入後に販売する時の規制

これに対して、海外サプリメントに医薬品該当性がなく、「食品」として輸入ができる場合には、ビジネスなど営利目的での輸入が可能です。

ただしサプリメントは原材料等の成分が濃縮されるという特性があることから、その製造業者に対しては厚労省が自主点検ガイドラインを定めており、輸入者に対してもその遵守が求められています。

具体的には、適正な製造工程管理がなされていることを輸入元等に確認するとともに、製品の情報を記載した書類を作成するなどの方法により、国内製品と同等の品質確保を図ることが望ましいとされています。

必ずしも法的義務ではありませんが、場合によってはガイドラインに基づいて行政指導が行われる可能性があります。

「食品」かつ「営利目的」である場合

海外サプリメントを「食品」として輸入する場合には、食品衛生法により規制されます。管轄の検疫所に食品等輸入届出書および原材料および製造工程等に関する説明書などの添付書類を提出し、その審査を受けることが必要です。

これにより、食品衛生法に規定されている製造基準に適合しているか、添加物の使用基準は適切であるかなど、そのサプリメントの食品としての安全性や衛生面が審査されます。

審査の結果合格の場合には「食品等輸入届出済証」が交付され、検査が必要とされた場合には登録検査機関等による検査がなされます。この食品等輸入届出済証を提示することにより、税関で輸入が許可されます。

「食品」かつ「非営利目的」である場合

個人や同一の世帯で使用する目的である場合には、食品等輸入届出済証の交付を受けることなく輸入することができます。10kgの数量制限内であれば、特別な許可は必要ありません。

ただし同一の食品を継続的に輸入する場合など、税関により個人使用目的でないと判断されるようなケースでは食品等輸入届出の提出を求められることがあります。

海外サプリメントの関税

海外サプリメントの輸入に対して課される関税は、その価額のおよそ0~15%程度です。価額に関税額を加算した額に対して、さらに消費税が課税されます。

そのため課税額はおよそ8~25%程度となることが多いでしょう。なお個人使用目的の場合には、16,666円の免税範囲内であれば関税と消費税は課税されません。

この関税については、上記の薬機法や食品衛生法による区分とは別に、関税法の規律に基づいて税関の判断で課税がなされます。関税の課税額については原産国や品目などにより複雑な構成となっているため、必要な場合には事前教示制度を活用することにより税関に問い合わせることができます。

海外サプリメントの危険性・安全性は?

海外サプリメントを個人使用目的で輸入する場合や輸入確認証を活用する場合、あるいは食品として輸入する場合には、そのサプリメントの製造業者は薬機法の認定を受けているとは限らないため、違法または不適切な成分や製造法が用いられている可能性がないとは言えません。

自治体等により、個人輸入されたサプリメントに含有されている成分について注意喚起がなされていることがあるため、こうしたサプリメントを輸入しないように注意しましょう。

一例としては、OxyEliteProという米国製のサプリメントを、個人輸入した友人から購入した女性が、ダイエット目的で服用して急性肝炎に罹患したケースが挙げられます。

まとめ

海外サプリメントの輸入については、通関や販売について複雑な法規制がなされており、また医薬品と食品の境界的な製品としてその定義や所管する行政機関も明確ではありません。

そのためインターネット上にも、これらの規制を混同しているような誤った情報を含めて、様々な情報が掲載されています。

参考になったらシェアをお願いします!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

薬機法や景品表示法の情報発信をしています。
Twitter
Facebookのフォローをお願いします。

コメント

コメントする

目次