テレビやインターネットなど、あらゆる媒体でサプリメントの広告を見かけます。ダイエットや健康や美容効果を謳ったものなど、様々な種類のサプリメントがあり、男女問わずあらゆる世代からニーズがあります。
この記事では、サプリメントを広告するにあたって、薬機法上どのような規制があるのか、どのような効果・広告表現であれば標ぼうできるのかなど、わかりやすく解説します。
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サプリメントとは?
サプリメントとは、一般的に、錠剤やカプセルなどに成分が濃縮された健康食品のことをいいます。また、サプリメントは健康補助食品とも言われ、普段の食生活で不足しがちな栄養素を補うものとされています。
薬機法の対象となるのは、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの商品です。
薬機法上、サプリメントは上記のどれにも該当しないため、法律上の定義はなく、「一般食品」と同じ扱いとなります。そのため、薬機法でサプリメントを直接規制する規定はなく、規制の対象外となります。
ただ、「サプリメントを飲むことで病気が治ります」や「脂肪を分解するサプリメント」などの医薬品的な効能効果を標ぼうすると、薬機法に抵触します。
薬機法でサプリメントが広告可能な効能効果
先述したとおり、サプリメントは、薬機法上医薬品ではなく一般食品なので、あたかも身体の構造や肌機能などを変化させるような治療的効果を標ぼうすることは禁止されています。
例えば、ダイエットサプリであれば、「●●を飲むと脂肪が落ちる」や「●●を飲むだけで痩せる」など、サプリメントを摂取するだけで痩身効果(身体の構造や機能を変化させる効果)があることを標ぼうすると薬機法に抵触する可能性があります。
広告可能な効果の表現としては、「美的なボディへ」や、「健康的な体のために」など、具体的な痩身効果を標ぼうせず、「美容」や「健康」などの抽象的な効果や、「ダイエット時の栄養補給に」や「ダイエットサポート」など、あくまでダイエットをサポートするという意味合いであればOKです。
美容系のサプリメントであれば、「若返る」や「むくみがとれる」など身体の機能を変化させる効果はNGですが、「美容に良い」や「美の秘訣」や「ハリのある生活」など、抽象的で気分的な効果であればOKです。
健康系のサプリメントであれば、「●●病が治る」や「免疫力がつく」や「生活習慣病を予防」などの医薬品的な効果はNGですが、「元気な毎日に」や「年齢とともに不足しがちな栄養を」や「内側からイキイキ」など抽象的で単に栄養を補給する効果であればOKです。
サプリメントを広告する際は、身体の機能・構造が変化するような表現はせず、あくまで抽象的な表現に留めるのがポイントです。
医薬品かサプリメントかの判定要素4つ
広告しようとする商品が、薬機法上の「医薬品」とサプリメントのどちらに該当するのかを判断するための判定要素が4つあります。
厚生労働省の通達では、人間が口にするものが薬機法上の医薬品に該当するかどうかは、医薬品として誤認される恐れがあるかどうかによって判断されると言われています。
そして、医薬品として誤認されるかどうかは、サプリメントの成分、形状、効能効果、用法用量によって総合的に判断されます。
成分
医薬品専門の成分は、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」という医薬品リストで指定されています。
効果が強い成分、激しい成分、危険な成分など、サプリメントには使用できない成分が掲載されており、このリストに該当する成分を使用していれば医薬品と判断されます。
形状
アンプル剤のような剤型は、元々注射液を入れるものであり、通常の食品では流用されないため、使用すると医薬品と判断されます。その他、舌下錠や口腔内に噴霧するスプレーなども医薬品的な形状と判断される可能性があります。
効能効果
「糖尿病の方に」や「血圧を下げる」や「●●病に効く」など、疾病の治療や予防を目的とする効能効果を標ぼうすると医薬品と判断される可能性があります。
また、「体質改善」や「食欲増進」など、身体の組織・機能に作用するような効能効果や、商品の名称を「●●薬」として暗示することも、医薬品と判断される可能性があります。
用法用量
医薬品は、安全性確保のために、「服用時期」、「服用間隔」、「服用量」など用法用量が定められています。そのため、これらの記載があるものは医薬品と判断される可能性があります。
機能性表示食品のサプリメントの可能表現
現在は食品表示法で機能性表示食品制度ができたため、サプリメントでも届出されている機能性の範囲内であれば、効能効果を表現することができます。
例えば、以下のような表現があります。
「健康な人の免疫機能の維持に役立つ」
「肥満気味の方の内臓脂肪を低下させる」
「肌を乾燥しにくくするのを助け、潤いを守るのに役立つ」
など。
このとき、「免疫機能」を切り取って「このサプリは免疫機能をあげてくれる!」と表現すると薬機法違反です。機能性はあくまで「免疫機能の維持」だからです。
機能性表示食品では、機能性の一部を切り取って効能効果を誤認させる広告が問題になっているので、注意してください。
機能性表示食品制度の詳しい説明は、こちらのページです。
海外サプリメント販売のリスク
海外サプリメントを取り扱うときには、注意が必要です。今ではインターネットが発達して、個人でも海外サプリメントを輸入して販売することは簡単にできる時代になりました。SNSやフリマアプリで販売している人は少なくありません。
ただ、海外サプリメントでは国内未承認の医薬品成分が含まれている場合があり、そのサプリメントを販売すると、無承認医薬品の販売(薬機法55条2項)で逮捕されるおそれがあります。
海外サプリメントに気軽に手を出さないように注意してください。
まとめ
インスタグラムやYouTubeなどのSNSでもサプリメントの広告をよく見かけます。薬機法の規制対象は「すべての人」なので、インフルエンサーが行うPR投稿なども当然に薬機法の規制を受けます。
薬機法違反は、「知らなかった」では済まされないので、十分に注意が必要です。実際に個人事業主の逮捕者も出ています。必ず正しい法律知識を身に付け、少しでも不安があれば法律の専門家に相談すべきであると考えます。
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