海外の化粧品を日本で売るためには許可や資格・届出など何か手続きが必要なのでしょうか?化粧品の輸入販売ビジネスをするためにはどうしたらいいのか解説します。
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化粧品と薬機法(旧薬事法)
化粧品は薬機法(旧薬事法)に定義や規制が様々定められており、薬機法の規制を受けます。
(薬機法第2条第3項)
この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。
※薬用化粧品は、薬機法上の「医薬部外品」になり、異なる点に注意が必要です。
化粧品の輸入販売に許可や資格が必要?
化粧品の輸入販売ビジネスをするためには、次の2つの許可が関係します。
・化粧品製造販売業許可(薬機法第12条)
・化粧品製造業許可(薬機法第13条)
有効期間は5年間で、更新する場合は手続きが必要です。
化粧品製造販売業許可
卸売業者や消費者に販売するためには、化粧品製造販売業許可が必要です。他社で製造している場合であっても品質を保持する責任があり、商品に対する最終責任を負います。
※化粧品製造販売業許可では、製造(包装・表示・保管)はできません。
<必要書類例>
・登記事項証明書
・申請者の医師の診断書
・申請者が現に製造販売業の許可を受けている場合にあっては、当該製造販売業の許可証の写し
・組織図
・総括製造販売責任者の雇用契約書の写し又は使用関係を証する書類
・総括製造販売責任者の資格を証する書類
・品質管理に係る体制に関する書類
・製造販売後安全管理に係る体制に関する書類
※必要書類や手続きは、営業所のある都道府県薬務課に要確認
化粧品製造業許可
国内で包装・表示・保管を行う場合には、化粧品製造業許可が必要です。輸入した商品に法定表示をつけたり、倉庫で保管したりする場合には、この許可が必要です。
※化粧品製造業許可では、市場に出荷することはできません。
<必要書類例>
・登記事項証明書
・申請者の診断書
・責任技術者の雇用契約書の写し又は使用関係を証する書類
・責任技術者の資格を証する書類
・構造設備の概要一覧表
・製造しようとする品目の一覧表
・製造工程に関する書類
・申請者が他の区分の製造業の許可又は登録を受けている場合にあっては、当該製造業の許可証又は登録証の写し
・その他必要に応じ添付する書類
※必要書類や手続きは、営業所のある都道府県薬務課に要確認
化粧品の輸入販売にかかわる届出
化粧品の輸入販売をする場合、化粧品製造販売業の許可を取得した後、次の届出を行う必要があります。
化粧品外国製造販売業者(外国製造業者)届書
化粧品外国製造販売業者(外国製造業者)届書では、製造販売または製造をする者の氏名と住所、事務所または製造所の名称と所在地、などを記入して、独立行政法人医薬品医療機器総合機構を経由し、厚生労働大臣に届け出る必要があります。
化粧品製造販売届書
化粧品製造販売届書は、販売名、製造所などを記入して、品目ごとに主たる事務所の所在地の都道府県知事に届け出る必要があります。
海外化粧品の成分に注意
厚生労働大臣の指定成分が化粧品に含まれている場合は、厚生労働大臣の承認が必要です(薬機法第14条第1項)。
ただし、化粧品基準(2000年9月29日厚生省告示第331号)に適合し、全成分を容器などに表示して、都道府県知事に届出を行った場合には、この承認は不要です。
個人輸入した海外化粧品の販売や転売はできる?
上記で書いたように、海外化粧品を輸入して販売や転売をするには許可や届出が必要になるため、個人であってもそれを行わずに販売すると違法になります。
メルカリやラクマなどのフリマアプリでは禁止行為として書かれています。
薬機法違反で逮捕されるおそれがあるため、やめましょう。
化粧品の個人輸入の数量制限は?24個・36個?
化粧品を輸入するとき、個人使用の目的で、かつ、標準サイズで1品目24個以内の場合は薬機法の規制対象外です。
化粧品の製造販売業者または製造業者が社内見本用として化粧品を輸入する場合、標準サイズで1品目につき36個以内であれば、通関での確認を要しないとされています。
参考:税関資料
化粧品の輸入代行業者を利用する場合は?
化粧品製造販売業許可や化粧品製造業許可は、人的要件や設備要件など、条件があり、簡単に取得できるわけではありません。また、手続きに時間がかかるため、すぐに輸入できません。
そのため、化粧品の輸入代行業者にお願いして、輸入してもらい、販売するという方法もあります。
そうすれば、自社で許可の手続きを行わなくても大丈夫です。
ただ、化粧品表示の「製造販売元」には、代行業者の名前が記載されるため、外部の人から取引先がわかるようになります。
エアゾール製品の輸入をする場合
エアゾール製品とは、噴射剤(LPGや窒素など)と内容物(ヘアスプレーの原液など)を詰め、ボタンを押すとガスの圧力により、内容物が霧状や泡状になって放出される製品のことです。
スプレー缶に入ったものなどが該当します。
たとえば、洗顔フォーム、消臭スプレーなどがあります。
このようなエアゾール製品の輸入には、高圧ガス保安法の適用除外となる旨の証明書が必要になるため、注意が必要です。
まとめ
海外化粧品の輸入販売には手続きが必要です。手続きを経ずに輸入して販売していると薬機法などの法律違反となり、罪に問われるおそれがあるため、どんな手続きを行う必要があるのかを確認し、準備を進めてください。
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