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商品をブログなどで紹介して、その広告料を企業から受け取るアフィリエイトをしている場合、アフィリエイターが薬事法(現医薬品医療機器法)で責任を問われることはないのでしょうか。
一見責任を問われるのは商品を製造販売している企業だけだとも思われますが、実は医薬品医療機器法では、その規制対象を「何人も」としています。
よって、アフィリエイターであっても商品紹介の表現方法に問題がある場合、医薬品医療機器法違反に問われることがあり得ます。
しかも、この法律には懲役刑を含む罰則が含まれており、最悪のケースでは、アフィリエイトが原因で逮捕されることもないとは言えないのです。
そこで今回は、化粧品のアフィリエイトを行う際に注意すべき医薬品医療機器法による規制内容について解説します。
薬事法で定義されている化粧品とは?
そもそも、アフィリエイターであっても医薬品医療機器法にて規制されないものを取り扱っている限りは法律違反の心配をする必要はありません。
では、実際に医薬品医療機器法では、どのようなものが規制対象になっているのでしょうか。
医薬品医療機器法では、「化粧品」が規制対象になっていますが、ここで言う「化粧品」の定義を見てみましょう。
医薬品医療機器法では、化粧品について「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なもの」と定義されています。
ただし、医薬部外品はのぞかれているので、いわゆる「薬用化粧品」はこれに含まれないことになります。
※薬用化粧品について詳しく知りたい方はこちらのページを見てください。
「化粧品」に含まれるものとして、具体的には、メイクアップ用の化粧品や基礎化粧品、さらには石けんやシャンプー、リンスまで含まれます。アフィリエイトでこれらの商品類を紹介するときには、医薬品医療機器法による規制を意識しなければならないことになります。
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化粧品で可能な効能効果表現一覧
医薬品医療機器法によって規制対象となる化粧品の概念が理解できたところで、化粧品において許される効能効果についての表現はどのようなものがあるのかを見てみましょう。
まず、医薬品と思わせるような「◯◯の病気が治る」などの表現はNGです。逮捕される可能性があります。
化粧品で認められる表現は、法律で具体的に定めがあり、合計で56項目あります。
その一覧は以下のとおりです。
(1) 頭皮、毛髪を清浄にする。
(2) 香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3) 頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4) 毛髪にはり、こしを与える。
(5) 頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6) 頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7) 毛髪をしなやかにする。
(8) クシどおりをよくする。
(9) 毛髪のつやを保つ。
(10)毛髪につやを与える。
(11)フケ、カユミがとれる。
(12)フケ、カユミを抑える。
(13)毛髪の水分、油分を補い保つ。
(14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
(15)髪型を整え、保持する。
(16)毛髪の帯電を防止する。
(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
(19)肌を整える。
(20)肌のキメを整える。
(21)皮膚をすこやかに保つ。
(22)肌荒れを防ぐ。
(23)肌をひきしめる。
(24)皮膚にうるおいを与える。
(25)皮膚の水分、油分を補い保つ。
(26)皮膚の柔軟性を保つ。
(27)皮膚を保護する。
(28)皮膚の乾燥を防ぐ。
(29)肌を柔らげる。
(30)肌にはりを与える。
(31)肌にツヤを与える。
(32)肌を滑らかにする。
(33)ひげを剃りやすくする。
(34)ひげそり後の肌を整える。
(35)あせもを防ぐ(打粉)。
(36)日やけを防ぐ。
(37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
(38)芳香を与える。
(39)爪を保護する。
(40)爪をすこやかに保つ。
(41)爪にうるおいを与える。
(42)口唇の荒れを防ぐ。
(43)口唇のキメを整える。
(44)口唇にうるおいを与える。
(45)口唇をすこやかにする。
(46)口唇を保護する。 口唇の乾燥を防ぐ。
(47)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
(48)口唇を滑らかにする。
(49)ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(50)歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(51)歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(52)口中を浄化する(歯みがき類)。
(53)口臭を防ぐ(歯みがき類)。
(54)歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(55)歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(56)乾燥による小ジワを目立たなくする。
注 1 例えば、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。
注2 「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
注3( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。
化粧品のOK/NGワードの具体例12
次に、化粧品において認められる表現と、NGとなる表現の具体例を見てみましょう。
1.肌の疲労回復表現
「肌の疲れ」「皮膚の疲れ」などの表現については、広告全体から化粧品等の効能効果を逸脱する表現をしてはいけません。
たとえば疲労回復効果があるかのような表現はNGです。
たとえば「肌の疲れをいやす」「目のまわりの疲れをやわらげる」などの表現は認められません。
2.アレルギーテストにかんする表現
「アレルギーテスト済み」などの表現をする場合には、いくつかの規制があります。
このような表示をする際は、次の3つに気をつけてください。
①デメリット表示を同程度の大きさで目立つように併記しないといけません。たとえば「全ての方にアレルギーが起こらないということではありません。」などです。
②キャッチフレーズになってはいけません。
③「ノンコメド」等、語句のみを用いて広告・表示することも認められません。
3.角質層・毛髪にかんする表現
「角質層・毛髪への浸透」などの表現にも注意が必要です。
これらの部位は、細胞分裂が殆ど行われていないことから特別の配慮が要求されます。
具体的には、作用部位が「角質層」や「毛髪」の範囲内であることを併記しなければなりませんし、浸透したからといってその損傷部分が回復するかのような、化粧品の効能効果の範囲を逸脱する表現はしてはいけません。
許される表現としては、「角質層へ浸透」「角質層のすみずみへ」「髪の内部へ浸透」などです。
逆に「角質層」と書かずに単に「肌へ浸透」と表現したり「肌の奥深くへ」「角質層の奥へ」「ダメージを受けた角質層へ浸透して肌本来の肌に回復」「傷んだ髪へ浸透して修復」などと表現することは認められません。
4.「〜専用」などにかんする表現
「~専用、~用」等の表現にも注意が必要です。
「~専用」等の表現の中には、特定の用法用量(例えば「敏感肌専用」)だけでなく、特定の年齢や性別、症状を対象とする表現、たとえば「子供専用」「女性専用」「抜け毛専用」「ニキビ専用」などの表現がありますが、これらについては原則としては認められません。
単に「~用」、例えば「敏感肌用」などの表現であればOKです。
「子供用」「女性用」等の表現も使わないのが無難でしょう。
5.「強い」などの表現
効能効果の表現において「強力な…」「強い…」という表現は、原則として認められません。
6.しわ・若返りなどにかんする表現
しわ予防・解消、若返り・老化防止、顔痩せ効果等を主旨とする表現は、化粧品等の効能効果を逸脱するものとなるので、してはいけません。
「シワやタルミを解消する」等の表現もNGです。
ただし、化粧でのメイクアップによる物理的効果として、シワ等の外観が変わることについては、それが事実であれば表現可能です。
7.治癒・回復などにかんする表現
「治癒、回復、改善」「快方、治る、治療、毛生」などは、全て医薬品について使う表現なので、化粧品等で使ってはいけません。
8.細胞などにかんする表現
「細胞」「セル」などの表現についても、化粧品の定義や効能効果の範囲を逸脱するのでNGです。
9.痩身などにかんする表現
「痩身」「スリミング」「ファーミング」「セルライト」などの表現も、身体の構造機能に影響するような表現となり、化粧品等の定義の範囲を逸脱するのでNGです。
10.デトックスなどにかんする表現
「デトックス」(解毒)は、医薬品についての表現なので、化粧品等で使ってはいけません。
11.ピーリングなどにかんする表現
「ピーリング」等の表現についても、「ケミカルピーリング」が医療行為である関係上、化粧品等でこの表現することは認められません。「ピーリング」という表現が許されるためには、洗浄や拭き取りなどによる物理的な効果によるものであることをはっきり示す必要があります。
12.くすみなどにかんする表現
「くすみ」に関する表現については、メイクアップ効果以外の意味で「くすみ」という言葉を使用する場合、そこで使われる「くすみ」の定義を明確にして、化粧品等の効能効果の範囲を逸脱しないことが求められます。
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実際に売れている化粧品の広告表現例
資生堂のエンリッチドセラム プレミアムセット Ⅲ
資生堂の商品を見てみましょう。
資生堂が運営する通販サイトに掲載されている美容液の広告表現です。
引用先:エンリッチドセラム プレミアムセット Ⅲ商品ページ
凝縮の一滴で上向きのハリを与える美容濃密液に、湧き上がるようなハリと透明感を実現する化粧水&乳液が付いたお得な限定セットです。
と書かれています。
これまでに説明した表現と照らしあわせて表現が守られていることを確認してみましょう。
コーセーのプレディア スパ・エ・メール
次は、大手化粧品会社コーセーのスキンケア[クレンジング]クリームの広告表現です。
引用先:コーセーのプレディア スパ・エ・メール商品ページ
メイクアップ料や毛穴のよごれ、酸化皮脂までしっかり落とす、天然ミネラル泥配合のクレンジング料です。しなやかで透明感のある、みずみずしい肌に洗い上げます。
と書かれています。
こちらもこれまでに説明した表現と照らしあわせてみましょう。
化粧品で薬事法違反したときの罰則・罰金
最後に、化粧品の表現において医薬品医療機器等法(旧薬事法)に違反したときの罰則や罰金について確認しておきましょう。
化粧品については、その名称や製造方法、効能効果について、虚偽又は誇大な記事を広告することが禁じられています。
また、堕胎を暗示したり、わいせつな表現をした場合も刑罰が科せられます。未承認の医薬品についての広告をすることも禁止されています。
これらの禁止事項に該当すると、具体的な刑罰としては、2年以下の懲役または200万円以下の罰金に課せられる可能性があります。
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まとめ
以上、化粧品のアフィリエイトを行うときに注意しなければいけない、化粧品についての広告表現について、医薬品医療機器法(旧薬事法)による規制を中心に解説しましたが、いかがでしたか。
化粧品においては、そもそも効果効能表現が限定されているということ、そしてその表現方法についても細かな規制があり、これらを広告にて表現するときには相当慎重になる必要があります。
違反すると、罰金刑や懲役刑が科される可能性があり、逮捕されることもあり得ますので、くれぐれもそのようなことのないよう注意しましょう。
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