インフルエンサーを活用したマーケティング手法で注目の「ギフティング」。
ギフティングと法律の関係は?PR表記は必要?ギフティングを行うときの注意点などについて解説します。
ギフティングとは?
ギフティングとは、企業が自社の商品やサービスを多くの人に知ってもらうために、インフルエンサーに無料で提供し、SNSで紹介してもらって商品やサービスを宣伝するマーケティング手法です。
ギフティングとPRの違い
ギフティングもPR施策のひとつですが、一般的には次のように意味が異なります。
ギフティングは特定のインフルエンサーを対象に商品やサービスを使ってもらい、宣伝する方法ですが、PRは不特定多数に対して知ってもらうための宣伝活動です。
ギフティングと法律の関係は?ステマ規制の対象?
ギフティングは景品表示法や薬機法などの法律と関係します。
また、ギフティングは景品表示法のステマ規制の対象にもなりえます。
詳細を説明します。
ギフティングで景品表示法違反になる場合
優良誤認表示
優良誤認表示とは、商品やサービスを実際よりよく見せようとする表示のことです。
例えば、ギフティングを受けたインフルエンサーが、商品をアピールするために「この商品は天然素材で作られている」などと投稿したものの、実際は天然素材は使われていなかった場合、優良誤認表示になります。
有利誤認表示
有利誤認表示とは、商品やサービスの取引条件を有利に見せようとする表示のことです。
例えば、元々5000円で販売されている商品をインフルエンサーが「本当は10000円なのに今は5000円で買える」と投稿した場合、有利誤認表示になります。
ステマ規制
ステマ(ステルスマーケティング)とは、消費者に広告であることを隠して商品やサービスを宣伝する行為です。
例えば、ギフティングを受けたインフルエンサーが、PRや広告などの表示をせずに「この商品のおかげで肌にハリが出てきた」などと投稿した場合、ステマ規制違反になります。
ギフティングで薬機法違反になる場合
薬機法は化粧品、医薬部外品、医薬品などが対象です。またその他にも医薬品的効能効果を述べると健康食品やサプリメントも対象になります。
例えば、ギフティングを受けたインフルエンサーが「この化粧品を使ったら、シミがなくなった」などと投稿した場合、薬機法違反となります。
ギフティングでPR表記は必要?
ギフティングを受けたインフルエンサーの投稿には、基本的にPR表記が必要です。
表示内容は以下のように「PR」以外の表示でも問題ありません。
・「広告」
・「企業からの商品の提供を受けて宣伝しています」
など
ただし、企業側が無償でプレゼントしただけで投稿内容は自由としていた場合、ステマ規制の対象にならない可能性があります。
この場合、インフルエンサーとのやりとりの内容、無償提供の内容、無償提供の目的、取引関係の有無(過去・将来の取引可能性の有無など)等の個別具体的な事情によって判断されます。
インスタのギフティングでPR表記は必要?
インスタグラム(Instagram)のギフティングでも、PR表記は基本的に必要です。ストーリーズで投稿した場合も同様です。
ハッシュタグなどで「PR」「広告」などと表示する方法でもOKです。
ただ、たくさんハッシュタグを付けて、「PR」などの表示が埋もれてわかりづらくなっているような場合には、ステマ規制違反と判断されるおそれがあります。
また、インスタの場合には、タイアップ投稿という機能も使いましょう。
ギフティングのメリット3つ
1. 高い信頼性と共感性による購買意欲の向上
インフルエンサーは、フォロワーとの間に強い信頼関係を築いていることが多く、彼らが実際に使用している商品やサービスに対して、フォロワーは高い関心を示すことが多いです。
「〇〇が使っているなら自分も使ってみたい」という心理が働き、購買意欲が自然と高まりやすいです。
また、インフルエンサーが商品の魅力を共感的に伝えることで、深いレベルでの共感を生み出し、購入へと繋がりやすくなるでしょう。
2. ターゲット層へのピンポイントなアプローチ
商品やサービスに合ったインフルエンサーを厳選することで、特定のターゲット層へピンポイントにアプローチすることができます。
例えば、30〜40代向けの化粧品ブランドであれば、30〜40代の美容系インフルエンサーに商品を提供することで、ターゲットとなる年齢層の女性に効果的にアプローチできます。
広告費の無駄遣いを防ぎ、効率的なマーケティング活動が可能になります。
3. 口コミ効果による拡散とブランドイメージ向上
インフルエンサーが商品を紹介する投稿を見たフォロワーが、その投稿をシェアしたり、友達に紹介したりすることで、口コミ効果が生まれやすくなります。
またSNS上での拡散は、ブランドの認知度アップに役立ち、売上増加に繋がる可能性も期待できます。
さらに、良いインフルエンサーを選べば、発信を通して、ブランドイメージを向上させる効果も期待できます。
ギフティングのデメリット3つ
1. 効果測定が難しい
ギフティングの効果を正確に測定することは簡単ではありません。
インフルエンサーの投稿を見た人が実際に商品を購入したのか、それとも他の要因で購買行動に至ったのかを特定することは困難です。
また、ブランドイメージの向上や口コミ効果といった定量化しにくい効果を数値で示すことも難しいと言えます。
2. 効果的な投稿になるかわからない
無償のギフティングの場合、商品やサービスについて的確かつ魅力的に宣伝してくれるとは限りません。
当たり障りのない紹介だけでは、ほとんど効果がない可能性もあります。
また有償のギフティングの場合でも同様で、インフルエンサーの紹介の仕方によっては魅力が伝わらない可能性もあります。そしてフォロワーの興味とズレていた場合も効果は得にくいでしょう。
3. 法律違反のリスクがある
ギフティングは上記で説明したように法規制が関係します。
法律の知識がないインフルエンサーや広告代理店に依頼した場合、法律違反となる投稿をしてしまう可能性があります。
その場合、企業側が責任を負う必要が出てくる場合もあります。
ギフティングで法律違反をしないための対策
1. インフルエンサーや広告代理店を選定する
リスクを下げるために、信頼できるインフルエンサーや広告代理店を選定して、ギフティングを行いましょう。
インフルエンサーによっては、自分で法律を学んだり、内容を何度もチェックしたりして投稿している方もいます。
また広告代理店の場合では、インフルエンサーをしっかりと管理しているところだと安心できるでしょう。
2. 自社でマニュアルを作る
インフルエンサーが投稿する場合の注意すべき表現内容やポイントなどをマニュアルにして、事前に渡しておけば、リスクを下げることができます。
マニュアルがあると、インフルエンサーごとに教える必要もないため、効率的です。
3. 投稿後の内容をチェックする
インフルエンサーが投稿した内容は必ずチェックしましょう。マニュアルを作ったり、注意点を伝えたりしても、全員が正しく理解して投稿できるとは限りません。
投稿後の内容を担当者がチェックし、問題ないか確認することが大切です。
ギフティングで法律違反をした場合の罰則
景品表示法
景品表示法に違反した場合、措置命令を受ける可能性があります。
消費者庁から措置命令を受けた場合、以下の対応が必要です。
・該当表示のとりやめ
・一般消費者への周知徹底
・再発防止策の実行
措置命令に従わなかった場合には、2年以下の懲役または300万円以下の罰金またはこの両方、が科されます(景品表示法第46条)。
さらに、優良誤認表示・有利誤認表示で措置命令を受けた場合、課徴金納付命令も受ける可能性があります。
課徴金の金額は売上の3%(最長3年)です。
薬機法
薬機法の虚偽誇大広告に該当する行為を行い、違反した場合、課徴金納付命令を受けるおそれがあります。
課徴金の金額は売上の4.5%(最長3年)です。ただし、同一の内容に対して景品表示法の課徴金納付命令もある場合、3%分が減額され、1.5%となります。
さらに、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはこれを併科となる可能性があります。
まとめ
ギフティングは、インフルエンサーを活用した有効なマーケティング方法です。
法律に注意し、正しく活用すれば、効果的な施策になります。
ステマ規制、景品表示法、薬機法などについて当サイトでも詳しく解説していますので、参考にしてください。
コメント