EMSは効果なし?消費者庁の措置命令・論文や医学的根拠は?

EMSは効果なし?消費者庁の措置命令・論文や医学的根拠は?

EMSは装着するだけでやせられそうというイメージやこれまでに無かったトレーニング機器であることから注目度の高い商品です。

ただ、実際の効果はどうなのでしょうか。消費者庁の資料や論文などをもとに説明します。


目次

EMSとは?

EMSとは、Electrical Muscle Stimulation(電気的筋肉刺激)の略で、微量の電気を流すことによって筋肉を刺激して動かし、筋力トレーニングを行うのと同様の効果が期待できる機器のことです。

EMSは効果なし?消費者庁の措置命令の内容は?

まずは消費者庁の資料を確認します。2020年3月31日に消費者庁はEMS機器販売事業者4社に対して、優良誤認表示があることから景品表示法の措置命令を行いました。(消費者庁資料

※優良誤認表示とは、一般消費者に対して実際のものよりも著しく優良であると示し、不当に顧客を誘引して、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある表示のことです。

指摘された表現の具体例としては以下があります。

<具体例①>
「102.4cmあったウエストはなんと88cmに。驚きのマイナス14.4cm」「なんとマイナス19.6cmのお腹引き締めに成功」などの表示で、

商品の電気刺激によって腹部の筋肉が鍛えられることにより、1か月又は6週間で腹部の痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた」

<具体例②>
「商品を腹部に使用すれば、振動によって腹部の肉が柔らかくなり、かつ、 電気刺激によって腹部の筋肉が刺激されることにより、4週間で腹部の痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた」

消費者庁の資料では、EMSに全く効果がないと言っているわけではありません。EMSを使用するだけで筋肉が刺激され、やせられるという表現の根拠が販売会社の資料からは確認できず、優良誤認表示であると書かれています。

つまり、今回の商品について、EMSをただつけるだけでやせるという表現は、広告では使えない、ということです。

措置命令を受けた景品表示法違反の内容についてはこちらの記事で詳しく説明しています

家庭用EMS機器の広告で使えないNG表現例

以下の表現は問題があると指摘された表現です。

・顕著なダイエット効果を得られるかのような「目に見える痩せ効果」
・使うだけで「脂肪を燃焼します」

EMSの効果と科学的根拠・医学的根拠

EMSの効果については、いくつかの医学論文などで、筋力増強や筋肥大効果・筋持久力向上効果などが発表されています。

ただ、中には効果が限定的だったり、明確な効果が臨床試験で見られなかったりするものもあります。対象者の年齢や状況によっても異なるようです。

ダイエット効果を訴求する場合の理屈としては以下の流れでしょう。

筋力増強 ⇒ 基礎代謝UP ⇒ 脂肪燃焼 ⇒ 体重減少

ただ、仮に筋力が増強したとしても、それによって必ずしも体重が減るとは言えません。そのため、ダイエット効果を訴求するのはリスクが高いと言えます。

EMSの論文の具体例


EMSにかんする論文をいくつか紹介します。筋肉への効果はある程度認められていることが分かります。

論文①

<方法>
・対象は外来リハビリテーションまたは通所リハビリテーションを利用する65歳以上の高齢者22名(平均年齢:80.3±5.2歳,男性11例・女性11例)

・EEMT法(電気的遠心性筋力トレーニング:Electric Eccentric Muscle Training)の実施として低周波治療器と粘着導子による電気刺激を用いた。右側大腿四頭筋(右側)の内側広筋、大腿直筋、の筋腹の近位と遠位に粘着導子を貼付。

・刺激条件は、刺激周波数を 20Hz

・1日20分間、週2回、12週間行わせ、その間に週2回の頻度の全身調整運動を主とした一般的理学療法を行った。

<結果>
・筋力増強効果を期待したが、効果は認められなかった。
・筋持久力と持続歩行距離については向上の可能性が認められた。

参照:高齢者に実施するEEMT法(電気的遠心性収縮筋力トレーニング)の筋力・筋持久力・持続歩行距離改善効果

論文②

<方法>
・被験者は健康な女子大学生9名
・1日1回80分間、30日間にわたり腹部に電気刺激(EMS)を負荷

<結果>
体重、腹部周径、全身脂肪率、体幹部脂肪率、全身脂肪量、体幹部脂肪量、腹部全体脂肪断面積、および腹部皮下脂肪断面積が減少した。

筋肉量に関しては、体幹部推定筋肉量および腹直筋と大腰筋の筋断面積では増大したが、側腹筋筋断面積では減少した。

また統計解析において、腹部周囲径、腹直筋断面積、および大腰筋断面積で有意差が見られた。

参照:早稲田大学卒論「腹部体脂肪の減量に対する電気刺激の効果」

EMSの内臓への影響

内臓への副作用なしという研究もあるものの、リスクや使用をやめたほうがいい場合もあります。

例えば、腹部肥満成人における電気筋肉刺激によるウエスト周囲径への影響を調査した試験(12週間)では、副作用なしと報告されています(試験)。

ただ、全身EMSについては、横紋筋融解症を誘発する可能性が指摘されています(参照)。

また以下のような方は使用をやめたほうがいいでしょう。
・ペースメーカーがある
・妊娠中
・血栓症の既往歴がある、疑いがある

EMSの事故事例

事故情報データバンクに登録されている類似の事故事例として以下のものがあると消費者庁資料にあります。

・首のあたりにEMS(電気筋肉刺激)のマットを当てられ、2時間電気をかけると言われたが、1時間もしないうちに気分が悪くなり耐えられなくなった
・美顔器を顎と鼻にすべらせたが、頭の中がグルグル回っているような感覚に襲われた
・スポーツクラブの宣伝販売で、美顔器ローラーを右の頬に当てられ、強く上げられたため、右頬が上がったような状態になった。4日後の夕方にめまいがして吐き気がひどく倒れてしまった
・お肌がきれいになるという美顔器を1,2回説明書どおり、頭に使ったところ、めまいがした
・美顔器を使用していたら、心臓の動悸がして、使用をやめたらなくなった
・美顔器の使用2日後にめまいがするなど体調を悪くした
引用元:消費者庁

まとめ

EMSは若い人の筋力増強だけでなく、高齢者のリハビリなどにも用いられています。

販売や広告にかかわる場合には表現に注意が必要です。特にダイエット訴求には注意しましょう。

また使用にあたって注意すべき場合がありますので、何かしら異変が生じた方や、リスくの高い症状がある方は使用をやめましょう。

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